日本映像ソフト協会2008年上半期統計調査からみるアニメの売上の現状
一般社団法人日本映像ソフト協会(JVA)
2008年上半期統計調査(pdf) 資料(pdf)
日本映像ソフト協会が上半期(1月〜6月)の統計調査を出しているので去年の数字と比べて見てみようかと思います
※去年の数字は日本映像ソフト協会報No.124(pdf)と日本映像ソフト協会報 No.127(pdf)から
まずビデオソフト全体としての2008年上半期の数字は
販売用 | 前年同期比 | レンタル店用 | 前年同期比 | 総売上 | 前年同期比 | |
---|---|---|---|---|---|---|
2008上半期 | 899億43百万円 | 92.8% | 486億28百万円 | 97.0% | 1415億91百万円 | 94.9% |
2007年の上半期と比較してみると
販売用 | 前年同期比 | レンタル店用 | 前年同期比 | 総売上 | 前年同期比 | |
---|---|---|---|---|---|---|
2008上半期 | 899億43百万円 | 92.8% | 486億28百万円 | 97.0% | 1415億91百万円 | 94.9% |
2007上半期 | 969億円 | 94.9% | 501億39百万円 | 105.3% | 1478億48百万円 | 95.9% |
2007通期 | 2089億57百万円 | 94.4% | 1066億29百万円 | 104.7% | 3172億47百万円 | 97.5% |
全体としての状況はこちらがわかりやすいです
2008年上半期、アニメDVDの売上が落ちたと言うけれど - Obra de Sobra よしなしごと
上半期のアニメの売上状況
まずは全体の構成比の順位
販売用 | レンタル店用 | |
---|---|---|
日本のアニメーション | 27.4%(1位) | 19.9%(2位) |
レンタル店用が海外のTVドラマ(アジアのTVドラマ含む)に抜かれたとはいえ、販売用は依然として1位とビデオソフトの売上に占めるアニメのウェイトは大きい
次に売上。といっても前年同期比〜%という数字しかないのですが
販売用(前年同期比) | レンタル店用(前年同期比) | |
---|---|---|
日本のアニメーション(一般用) | 86.5% | 88.1% |
ちなみに2007年上半期の日本アニメーション(一般向け)の売上は
販売用 | 構成比 | 前年同期比 | レンタル店用 | 構成比 | 前年同期比 | |
---|---|---|---|---|---|---|
日本アニメーション(一般向け) | 284億55百万円 | 29.4% | 115.2% | 110億2百万円 | 21.9% | 85.4% |
だったのでそこから見ると2008年上半期日本アニメーション(一般用)の売上金額は販売用で約246億、レンタル店用で約96億円といったところですかね
通期はどうなるか
2006年と2007年の通期でのアニメの売上はこうなっている
販売用 | 前年同期比 | レンタル店用 | 前年同期比 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
2006年通期 | 542億67百万円 | 85.9% | 252億20百万円 | 147.1% | 794億87百万円 |
2007年通期 | 582億27百万円 | 107.3% | 215億35百万円 | 85.4% | 797億62百万円 |
ビデオソフトの売上が2004年以降下降傾向が続いていてアニメのDVDも売れないと言われている割には全体の売上としては堅調だったりする(旧作のDVDボックスとかの効果もあるんだろうけど)しかし2008年上半期は販売用、レンタル店用とも2桁のマイナス。下期はDVD/BD共売上好調が伝えられているマクロスFやコードギアスR2そして崖の上のポニョがあり、またビデオソフトの売上は下期に偏る傾向があるためかなり巻き返すとは思うけど経済状況の悪化も懸念されるし2007年の売上を上回れるかどうかは微妙なところか
売上低下の原因は?
真っ先に思い浮かぶのが動画共有サイトやP2Pの影響。ただこれに関してはMADは別にしてアニメ本編のアップロード状況については2006年、2007年のほうが酷かったと思う。特に動画共有サイト大手のYoutubeそして2007年のニコニコ動画に関してはそれが言えるかと。現在は双方ともアニメ本編のアップロードについては対策が進んできていて特にニコニコ動画はニコニコ動画、著作権侵害のテレビ番組動画をすべて削除へ--放送局に申し入れ - CNET Japanの宣言以降はアニメ本編アップロードはかなり目立たなくなってきている。Youtubeはまだ残りやすいほうだけどそれでもYotubeのアニメリンク集なんかから辿ってみたりするとだいたい削除はされている
またP2Pについてはwinny、share共アニメの放流で逮捕者が出て以降2chダウンロード板をみてるとかなり放流者が減少していて、放映中アニメの共有については少なくとも2006年、2007年よりは下火になっているのは間違いないと思う
もちろん動画共有サイトもアニメ本編のアップロードについて比較的甘いVeohやyoukuといったところが台頭してきていたり、P2PでもPDやBittorrentという存在があるため影響がまったく無いわけじゃないけどただ単に動画共有やP2Pのせいで売上が悪いと言える状況でも無いと思う。個人的には経済状況、アニメの質、そして放映エリアの偏りこの3つのほうが動画共有やP2Pより影響が大きいと思うけど、そのあたりアニメの販売、製作会社がどう考えているのか。上場している企業の場合今後の決算でそのあたりの考えがわかるかもしれないですね