朝日新聞とTBSの収益構造

朝日新聞100億円赤字に転落 広告大幅落ち込み、部数も減少 : J-CASTニュース
この朝日新聞が100億の赤字を出したという話。でも本当に問題なのは朝日新聞の最新版「おサイフ事情」をチェックしてみる - ガベージニュース(旧:過去ログ版)で詳しく解説していますが

新聞部数の発行数減や経費削減などで売上原価が−2.0%と縮小しているが、それ以上に売上が落ち込み、−4.4%を記録している。%値はさほど大きく無いが元々の額が巨大なため損失額も大きく、「本業の新聞事業だけで約5億円の赤字」を計上している。去年同期では75億円近い黒字を出していただけに大問題……というより新聞事業そのものがこのままではビジネスとして立ち行かなくなっていく可能性もある。

と本業である新聞事業で5億円とはいえ赤字を出しているところにある


朝日新聞J-castの記事にもあるように不動産を大量に保有しておりバランスシートも健全のためすぐにどうこうなる問題ではないけど、当然このままというわけにもいかないでしょう。となれば新聞事業を黒字化するために売上自体を増やすか売上原価、販管費を減らす(リストラ)といったことをしないといけない。現状値上げでもしない限り売上増は見込めないだろうし、リストラするにしても去年の決算を見ると給料手当を約14億円削減するなど人件費を中心にリストラを進めてはいるようなのですが事業の性質上固定費が多くそう削れる部分も多くない

じゃあどうするかという答えがTBSの収益構造にあるのかなと

TBSの収益構造

TBSは民放の中でもちょっと変わった収益構造をしていて2009年3月期第2四半期決算を見ると本業である放送事業でほとんど収益を上げていない。では何で収益を上げているのかというと
2009年3月期第2四半期決算説明会配布資料(pdf)


主要テレビ局銘柄の第2四半期決算をグラフ化してみる……(3)放送事業と利益、TBSの特殊事情は継続中、そして小まとめ - ガベージニュース(旧:過去ログ版)

テレビ局、しかもキー局であるからには放送事業が主事業に他ならない、はず。しかしTBSは稼ぎのほとんどを「映像・文化事業※」「不動産事業」からまかなっていることになる。放送事業からの営業利益はわずか8%。1割にも満たない。第1四半期では「TBSはテレビの稼ぎと不動産の稼ぎが同じテレビ局」と表現したが、第2四半期では「DVDのセールスや不動産事業で成り立っているテレビ局」と書き記してもあながち間違いではなくなってしまう。


しかも別記事で後述するが、利益率(利益÷売上)では放送事業が0.6%に過ぎないのに対し、不動産事業では実に36.1%の数字をはじき出している。一概に放送事業と不動産事業を比較するのはやや難があるが、本業の数十倍もの割の良い商売をサイドビジネスで実施している計算になる。また、放送事業があって初めて成立しうる映像・文化事業も利益率は9.3%と高い部類。TBSにとって、果たして本業は放送事業なのだろうか。それとも不動産事業や映像・文化事業がメインであり、放送事業は存続するためだけのお飾りなのだろうか。

上記の図及び記事を見てわかるように「映像・文化事業」と「不動産事業」で収益を上げている。映像文化事業は映画の興行収入やドラマのDVDの売上が入っているので放送事業の一環と言ってもいいかもしれませんが不動産事業は放送とは全く関係が無い。その事業が高収益を上げTBSを支えている構造になっている
それで朝日新聞は現在「大阪・中之島プロジェクト」と題した超高層ビルを2棟建てるなど大阪本社の立て替え計画を進めています(詳しくはこちら)完成はまだまだ先の話ですが朝日新聞としてはこの計画によってTBSのように不動産事業での収益を上げ、現状収益を上げづらくなってきている新聞事業の代わりの収益源としていこうとしていく狙いもあるのかなと
メディア系の企業は広告収入の悪化もあって本業が厳しくなってきているところが多くなってきている。今後TBSのように本業以外のサイドビジネスに手を出す、力を入れていく企業が増えていくのかもしれない