もしパソコン、携帯音楽プレーヤーに補償金を課したらどのくらいの額になるのだろうか

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音楽や芸能、映画など各分野の著作権団体で組織する「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」は2009年2月5日、私的録音録画補償金についての会見を開き、パソコンや携帯音楽プレーヤーなどへの賦課を含めた全面的な見直しが必要との見解を表明した。

この記事を読んで思ったのですが仮にPCや携帯音楽プレーヤーに課金したとして、どのくらいの金額になるのだろうかと。そのあたりを国内の出荷台数から大雑把に見てみようと思います


まずはパソコン。2007年のパソコンの国内出荷台数はこうなっている
IDC、2007年国内PC出荷台数は1%減の1,414万台

 IDC Japan株式会社は4日、2007年国内のPC出荷台数は前年比1%減の1,414万台になったと発表した。個人向けの出荷が2.8%増加したが、ビジネス向けが3.1%減少した。

 個人向けでは、オリンピックなどの影響で他の家電製品に個人消費が移ったが、Vistaの発売もあり、特にモバイルPCに需要が戻ったという。一方、薄型TVの低価格化でデスクトップPCが伸びなかった。このため546万台で2.6%のプラス成長にとどまった。企業向けでは、2年連続マイナスの 867万台(3.1%減)となったが、2007年第4四半期(10〜12月期)は前年同期比9.1%増で、5四半期ぶりにプラス成長となった。

次に携帯音楽プレーヤー。JEITA2008年民生用電子機器国内出荷統計12月国内出荷実績を見てみるとこうなっている

デジタルオーディオプレーヤー 2008年1月〜12月累計 6657千台


それで現在私的録画、録音補償金の補償金額は以下のように決められている
wikipedia:私的録音録画補償金制度

補償の額

30条2項で「相当な額」とされている補償金の額は、指定管理団体が機器や記録媒体の製造業者等の団体に意見を聴いた上で定め、文化庁長官が文化審議会に諮問をした上で許可を与えることとされている(104条の6)。


2005年5月現在の補償金額は次に掲げる額に消費税相当額を加えたもの。
*録音(私的録音補償金管理協会私的録音補償金規程より)
o 機器
基準価格(カタログに表示された価格の65%)の2%。ただし、録音機能が1つの機器であれば上限は1000円、2つの機器であれば上限は1500円。
o 記録媒体
基準価格(カタログに表示された価格の50%)の3%。


*録画(私的録画補償金管理協会の私的録画補償金規程より)
o 機器
基準価格(カタログに表示された価格の65%)の1%。ただし、録画機能が1つの機器であれば上限は1000円。
o 記録媒体
基準価格(カタログに表示された価格の50%)の1%。

仮に一台に課金される金額をパソコンを1000円、携帯音楽プレーヤーを500円とし出荷した台数に全て課金したとして
パソコン
1,414万台×1000円=141億4000万円
携帯音楽プレーヤー
665万7000台×500円=33億2850万円

もちろんこんな計算は絵空事にすぎない話です。特にパソコンは上記の記事にもありますが国内出荷数のうち約60%がビジネス向けでありそれに課金するわけにいかないでしょうから実際に取れる額はもっと少ないでしょう。ただ2007年度の両補償金の収入をみると私的録画補償金が約16億円*1私的録音補償金の収入が約10億円*2程度なのでいくらかの制限があったとしてもパソコン、携帯音楽プレーヤーに課金できるようになれば大幅な増収になるのは間違いないかと


とはいえその補償金の分配は私的録画補償金のほうは15団体*3私的録音補償金は3団体*4でそれぞれの分配比率で分けてさらに権利者に配分する形。そしてその権利者数は膨大な数になると思う。正直パソコンや携帯音楽プレーヤーに課金した程度の増収でそんなに権利者に行く金が増えるのかなあという気もしますが