就農を考える場合に参考になるかもしれない数字 -生産農業所得-

農業に関する数字のひとつに「生産農業所得」というものがあります
図録▽農業生産と農業所得の金額推移

 農業の産出額は農業者段階の農産物価格(いわゆる農家庭先価格)をベースにしている。農業所得(生産農業所得)は産出額から飼料代・肥料代や機械償却費などの物的経費を差し引き、補助金等を加えたものであり、農業者の人件費、地代、利子を含んでいる。

http://www.city.yatsushiro.kumamoto.jp/ar/article_view.phtml?id=12839

生産農業所得とは、農業粗生産額から生産に要した物的経費を差し引き、さらに生産手段にかかる間接税を控除し、それに経常補助金を加えて算出しています。

・生産農業所得=農業粗生産額×生産農業所得率+米需給安定対策助成金+水田農業確立助成金


この数字の推移が上記にある図録▽農業生産と農業所得の金額推移に解説と共に記載されています

次ぎに、生産農業所得の推移を見ると、1970年代後半、1990年代前半には、5兆円に達する年もあったが、最近は、かなり減少し、3.1兆円(2006年)となっている。

 3.1兆円で何人が食べていけるかという点であるが、もし平均所得が500万円必要だとすると、62万人が食べていける勘定となる。実際の所は農業従事者が556万人、農業が主の者だけだと335万人いる(2005年、図録0530)。

 農業総産出額にしめる生産農業所得の割合が、所得率、すなわち農業者の手元に残る割合であるが、1975年当時は50%を越えていたのに対して、最近は 4割を切っている(2006年には37.0%)。所得率には、農業生産に肥飼料や機械などの物的資材をどれだけ使うか、また農業資材と農産物の相対価格動向が影響を与える。

都道府県別の農家一家当たりの生産農業所得

またこの数字は農林水産省で公表されていて都道府県別から市町村別までの詳細な数字を見ることができます。そこで都道府県別の「農家一家当たりの農業生産所得」の数字を抜き出してみました
統計書名:生産農業所得統計より平成18年(2006年)の数字

都道府県 農家一家当たりの農業生産所得
北海道 633万3千円
青森 199万4千円
岩手 96万2千円
宮城 101万2千円
秋田 91万6千円
山形 142万9千円
福島 101万6千円
茨城 154万円
栃木 148万9千円
群馬 130万4千円
埼玉 97万4千円
千葉 176万6千円
東京 67万7千円
神奈川 95万6千円
新潟 110万円
富山 61万円
石川 59万7千円
福井 55万5千円
山梨 103万円
長野 65万7千円
岐阜 54万7千円
静岡 134万1千円
愛知 119万4千円
三重 72万5千円
滋賀 36万4千円
京都 65万4千円
大阪 46万6千円
兵庫 37万6千円
奈良 57万円
和歌山 131万3千円
鳥取 62万2千円
島根 44万6千円
岡山 45万5千円
広島 48万5千円
山口 38万9千円
徳島 94万2千円
香川 42万3千円
愛媛 83万8千円
高知 108万4千円
福岡 91万9千円
佐賀 99万3千円
長崎 89万9千円
熊本 140万5千円
大分 79万9千円
宮崎 189万8千円
鹿児島 146万2千円
沖縄 184万3千円


都道府県別だとこうなっていますが、市町村別の数字や主に都道府県によって公表されている「一人当たりの農業生産所得」の数字だったりするとかなり差が出てきます。例として群馬県吾妻郡の数字を見てみると
http://www.pref.gunma.jp/cts/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=20570

・生産農業所得一覧(平成18年)
農家1戸当たり生産農業所得 農業従事者1人当たり生産農業所得
吾妻郡 226万円 253万8千円
中之条町 61万8千円 90万2千円
東吾妻町 126万9千円 165万4千円
長野原町 257万3千円 293万8千円
嬬恋村 748万7千円 452万2千円
草津町 267万4千円 605万3千円
六合村 60万8千円 149万1千円
高山村 70万3千円 97万9千円

こうなっている


こういう数字をどう見るかは人それぞれ意見があるかとは思います。ただこの不況によって脚光を浴びつつある就農を考える場合なんかは参考になる資料の一つではないかと