「発売前の曲をネット配信容疑、会社員を書類送検」のニュースを見て思ったこと

asahi.com(朝日新聞社):発売前の曲をネット配信容疑、会社員を書類送検 - 社会

人気ロックバンド「DIR EN GREY(ディルアングレイ)」の発売前のCDに入った曲などを、インターネットの動画配信サイトで流したとして、警視庁が千葉市の男性会社員(22)を著作権法違反(公衆送信権の侵害)の疑いで書類送検していたことがわかった。

 麻布署などによると、会社員は昨年10月末、動画配信サイト「ニコニコ動画」で、ディルアングレイの発売前のCDアルバムに収録された全13曲や、アルバムジャケットの写真を無許可で配信し、著作権を侵害した疑いがある。会社員は調べに「海外のサイトで既に配信されていたものをダウンロードし、流した。発売前に入手していることをネットを通じて示したかった」などと話しているという。

この事件なんだけど実はかなり珍しいケースなんじゃないのかなあと

今回の事件に近い例

例えば日本なら主にwinnyやshare、世界的に見ればBittorrentなどP2P関連で著作権法違反や児童ポルノなどで個人が逮捕なり民事訴訟などを起こされるケースはよくある。またYoutubeや日本だとTVブレイクなど動画共有サイト自身が提訴されるケースもそう珍しくはない。そういう様々な著作権関連の事件や訴訟の中でも、動画共有サイトにアップロードしたその個人がいきなり著作権法違反で書類送検されるというのは私が知るかぎりですけどほとんど聞いたことが無い。これに近い例となると2006年にGoogleVideoにFFVIIアドベントチルドレンの動画をアップロードした人物がスクウェア・エニックスに特定された事件でしょうか
Google VideoにFF動画を無断アップロード、スクエニが身元を特定

 スクウェア・エニックスは20日、2005年9月14日発売に発売した映像作品「ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン」の動画全編が、2005年10月ごろに米Googleの「Google Video」上にアップロードされていた件で、この動画を無断アップロードした人物の身元を特定したと発表した。

 2005年10月に、Google VideoファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン全編の動画ファイルが無断でアップロードされていることが判明して以来、スクウェア・エニックスでは、米Googleに対してこの動画ファイルの削除を要請。動画ファイル自体は削除されたものの、その後も調査を続行し、アップロードした人物の身元を特定した。

 スクウェア・エニックスでは、この人物に対して損害賠償請求訴訟だけでなく、刑事告訴も視野に入れて準備を進めていた。しかし、この人物が Google Videoにアップロードしたことを認めて謝罪したほか、損害賠償金の支払いに応じたため、4月17日付で和解したという。

ちなみにこの事件の約半年後にGoogleYoutubeを買収しています

こういう事件はまた起きる?

今回の件は「発売前のリーク音源をアップロードした」という事や海外のアップローダーへのリンクを貼っていたりしていたため、反応も自業自得というか当然の対応といった感じでそれほど大きな騒ぎにはなっていませんが、多分こういうケースじゃなくても著作権者がアップロードした人の情報公開を求めたらニコニコ動画は普通に応じるでしょう。ニコニコ動画を運営しているニワンゴの親会社のドワンゴ、その筆頭株主エイベックス・グループ・ホールディングスなのを考えれば著作権絡みで訴訟なんて起こされたくないでしょうし


ただ、もしもまたニコニコ動画著作権法違反によって個人への逮捕なり訴訟なりが起きたとしたら、それがニコニコ動画においてよく行われてるようなケースだった場合、他の動画制作者が一気に動画を引き上げる可能性もあると思う。そういった事を考えると今回のケースがある意味特殊なケースだったことが幸いしたと思うとともに、いかに今後こういう個人への逮捕や訴訟を起こされないようにするかというかが重要になってくるんじゃないかと。


まあ著作権で問題になるような動画をアップロードする方が悪いと言われればそれまでなんだけど、ニコニコ動画のような動画共有サイトは基本的に動画をアップロードする人がいる事によって成り立っている以上、動画をアップロードする人へ可能な限りこういう問題にならないように配慮していくことも大切なんじゃないかと思う