職務質問の効果

年末になったからなのかわかりませんが、この前久しぶりに職務質問を受けました。それでちょっと思ったのがこの職務質問はどれくらい犯罪摘発に効果があるものなのか?と。それを警察庁の統計から見てみました
※各数字は警察庁Webサイトの統計資料である捜査活動に関する統計等より

職務質問が端緒となる刑法犯の認知件数

捜査活動に関する統計等の中で平成20年(2008年)の犯罪「罪種別 認知の端緒別 認知件数」を見ると刑法犯の総認知件数(交通業過は除く)は1,818,023件、その内職務質問が端緒になる認知件数は94,364件となっています。全体の端緒別の中での割合だと

認知の端緒 件数 割合
被害者・被害関係者の届出 1,629,366件 89.62%
職務質問 94,364件 5.19%
取調べ 37,475件 2.06%
第三者からの届出 15,369件 0.85%
警備会社からの届出 12,148件 0.67%
告訴 7,454件 0.41%
現認 6,771件 0.37%
常人逮捕同行 2,294件 0.13%
聞込み 946件 0.05%
119番転送 797件 0.04%
犯跡発見 789件 0.04%
告発 610件 0.03%
自首 520件 0.03%
他機関からの引き継ぎ 163件 0.01%
その他 8,957件 0.49%

※「119番転送」とは救急車の出動要請を受けた消防機関からの通報
※「犯跡発見」とは、警らその他の警察活動中における、殺害死体又は受傷被害者の発見、侵入窃盗又は器物損壊の犯跡の発見等をいう


となっています。認知件数は警察によって犯罪の発生が認知された件数(そのため実際に発生した犯罪の件数とは異なる)なので、被害者や被害関係者からの届け出が圧倒的に多いのは当然として、その次に来るくらい職務質問による認知件数は多い。ちなみに統計(警察庁)の捜査活動に関する統計等では平成12年(2000年)からの数字を見ることができますが、その平成12年(2000年)からの総認知件数と職務質問が端緒となる認知件数はこうなっています

刑法犯総認知件数 職務質問による認知件数
平成12年(2000年) 2,443,470件 73,934件
平成13年(2001年) 2,735,612件 81,534件
平成14年(2002年) 2,853,739件 90,746件
平成15年(2003年) 2,790,136件 114,703件
平成16年(2004年) 2,562,767件 131,028件
平成17年(2005年) 2,269,293件 124,555件
平成18年(2006年) 2,050,850件 123,330件
平成19年(2007年) 1,908,836件 113,591件
平成20年(2008年) 1,818,023件 94,364件

職務質問が端緒となる刑法犯の検挙件数

次に職務質問が端緒による検挙件数ですが、同じく平成20年(2008年)の犯罪から「罪種別 主たる被疑者特定の端緒別 検挙件数 (警察活動)」を見ると刑法犯の総検挙数(交通業過は除く)は559,405件、その内職務質問が端緒になる検挙件数は131,490件になります。全体の端緒別(ただし上記と違い警察活動のみ)の割合だと

検挙の端緒 件数 割合
被疑者取調べ 233,945件 41.8%
職務質問 131,490件 23.5%
その他の警察活動 66,048件 11.8%
参考人の取調べ 20,075件 3.6%
現認 8,575件 1.5%
聞込み 5,327件 1.0%
盗品捜査 3,788件 0.7%
鑑識活動 3,755件 0.7%
面通し 1,298件 0.2%
手口捜査 1,179件 0.2%
遺留品捜査 1,002件 0.2%
該当無し 82,923件 14.8%

※鑑識活動は指掌紋、足跡、被疑者写真、その他を合計した数字です
となります。この職務質問が端緒となる検挙数には検問や張込、見張立番中なども含まれています。通常私たちが職務質問を受ける機会が多いのは警察官のパトロール中かと思いますが、それにあたる「徒歩・自転車警ら中」「自動車警ら中」が端緒となる検挙数は

徒歩・自転車警ら中 44,181件
自動車警ら中 46,786件
合計 90,967件

となっています


また上記と同じく平成12年(2000年)からの刑法犯による総検挙件数(交通業過は除く)と職務質問が端緒となる検挙数はこうなっています

刑法犯総検挙数 職務質問による検挙数 (徒歩・自転車・自動車警ら中による検挙数)
平成12年(2000年) 568,283件 106,120件 77,418件
平成13年(2001年) 531,281件 112,713件 83,556件
平成14年(2002年) 581,910件 121,717件 89,393件
平成15年(2003年) 636,287件 147,338件 109,155件
平成16年(2004年) 649,708件 163,904件 118,090件
平成17年(2005年) 633,119件 158,589件 113,633件
平成18年(2006年) 625,249件 158,977件 112,611件
平成19年(2007年) 590,351件 150,289件 105,656件
平成20年(2008年) 559,405件 131,490件 90,967件

職務質問をする時に意識して欲しい事

こう見ていると職務質問が端緒となるケースは検挙にまでいきやすい。ずいぶん前の話ですが管轄外からパトカーが来るほどアキバは検挙件数アップには良い狩り場? : アキバBlogという記事がありましたが、この数字見てるとあり得る話なのかなと。まあそれだけ職務質問は犯罪を摘発するには効果があるということなのでしょう
ただ職務質問というのは警察官職務執行法第2条を見ると
警察官職務執行法

(質問)
第2条 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。

犯罪に関与している疑いがあるから質問しているという事になる。実際に職務質問をした件数がどれくらいなのかはわかりませんが1日3回も警察官に職務質問された男 | ガジェット通信 GetNewsなんて事もあるくらいですから膨大な件数になるのでしょう。しかし当たり前の話ですが職務質問を受ける大多数の人は別に犯罪を犯している訳では無いので、多くのは人は職務質問を受ける事を不快に感じているのではないかと思う
とはいえ職務質問が犯罪の摘発に効果があるのは間違いないのと思うので、職務質問をする事自体は個人的には仕方ないかなと。ただ、職務質問をする警察官には職務質問というのはされる側にとっては基本的に不快であるという意識は持ってほしいです。そういう意識も無く横柄な態度で職務質問をしていると警察へ対する無駄な反感を買う可能性もありますし、さらに言えばそういう反感が警察の捜査や活動などに民間人の協力を得られにくくなる要因にもなりかねないですから