アメリカの映画の興行収入とホームエンタテイメント市場の動向

一般社団法人日本映像ソフト協会(JVA)が公表している日本映像ソフト協会会報 No.138」(PDF)中で「2009年 米国映像ソフト市場の実績について」と題した特集にてアメリカの映画の興行やホームエンタテイメントの市場などのデータが載っていたので、そのあたりを中心にアメリカの映画の動向を見ていこうと思います

2009年のアメリカの映画の興行収入と推移



2009年のアメリカの映画の興行収入は初めて100億ドルを突破して105億9310万ドルとなっています。それにしてもスゴイと思うのが2008年に比べ興行対象作品数が88作品も減少し、しかも入場料金の値上がりが続いているにも関わらず2008年に比べ動員数が大幅に増えている事。もっとも2008年はヒット作が「ダークナイト」ぐらいだったのが、2009年は「ニュームーン トワイライト・サーガ」、「トランスフォーマー リベンジ」、「ハリー・ポッターと謎のプリンス」、「カールじいさんの空飛ぶ家」とヒット作が多かったことが大きな要因ではあるのでしょうが、この不況下でもこれだけの動員力があるというのは、アメリカという国での映画の地力の強さを感じます
ちなみに日本はどうだったかというと以下の通りになります
一般社団法人日本映画製作者連盟
2010年記者発表資料(2009年度統計)(PDF)より

日本も同じような傾向ではありますが、アメリカと比べると少し勢いが弱い感じもします

ホームエンタテイメントの市場の動向

次に映画のDVD、ブルーレイ、オンラインサービスなどのホームエンタテイメント市場を見てみます



こちらは好調な興行収入とは逆に落ち込んでいます。要因はDVDなどのディスクセルの不振。この落ち込みのため

興行、ホームエンタテイメントを総合した2009年お映画タイトル収入は284億ドル、わずかながら前年割れとなった。ディスクセル(含ブルーレイ)の落ち込みが顕著で、結果その収入が15年ぶりに劇場興収を下回ることとなった

という状況になったようです。また映画の収入の内訳は以下のようになっています
上記とは出典が違うため数字が異なっています

映画館で映画を見ることへの回帰

イギリスの音楽市場の話で
レコードからライブへと変化する音楽産業
という記事がありましたが、アメリカの映画の世界でも上記のように興行収入がディスクセルの売上を上回る状況になってきているなど*1映画館で映画を見る、つまりライブで見ることへの変化、というか回帰が起きているのかもしれません

*1:ただディスクセルの不振についてはDVDからブルーレイ、オンラインサービスなどへの過渡期という事情もありますが