全国コンサートツアー事業者協会の基礎調査報告書から見る音楽ライブの状況
以前に音楽のライブについて
坂本龍一、タダになった音楽は再び「ライブ」へ回帰する - すごもり -
レコードからライブへと変化する音楽産業 - Radium Software
このような記事がありましたが、そのライブ(コンサート)が日本ではどのような状況なのかを「社団法人全国コンサートツアー事業者協会(ACPC)」が公開している基礎調査報告書から見てみようと思います。
※各数字はhttp://www.acpc.or.jp/index.htmlにある年別基礎調査報告書より
※コンサート約款第一条に
コンサート約款
第一条<定義>
この約款に於いて「コンサート」とは、常設又は、仮設の演奏会場において催される音楽演奏会のうち、当日入場券又は前売り入場券を販売して行われる有料のもののみをいいます。
とあることから公演数や動員数(入場者数)などの各数字はチケットを販売するような有料のライブ(コンサート)が対象と思われます。
2009年の公演数、動員数、売上、著作権使用料
まず2009年ライブ(コンサート)全体の公演数、動員数(入場者数)、総売上額、著作権使用料額などですが以下のようになっています。
2009年 | |
---|---|
公演数 | 17,391本 |
総動員数 | 2605万9902人 |
総売上額 | 1255億400万円 |
著作権使用料額 | 15億3900万円 |
それで公演数と動員数は1989年、総売上は1996年、著作権使用料額は2003年からの数字が基礎調査推移表に記載されていてグラフ化するとこうなります。
ジャンル別公演数、動員数から見る音楽のライブの状況
次に上記の数字の中で音楽のライブがどのくらい割合を占めているのかをジャンル別の公演数、動員数から見てみます。
※パフォーミングアーツはミュージカルやバレエ等の公演です
国内アーティストの公演数 | 海外アーティストの公演数 | 合計 | |
---|---|---|---|
ロック・ポップス | 13,077 | 813 | 13,890 |
歌謡曲・演歌 | 394 | 5 | 399 |
ジャズ・フュージョン | 197 | 29 | 226 |
クラシック | 205 | 75 | 280 |
パフォーミングアーツ | 1,127 | 402 | 1,529 |
その他 | 993 | 74 | 1,067 |
合計 | 15,993 | 1,398 | 17,391 |
国内アーティストの動員数 | 海外アーティストの動員数 | 合計 | |
---|---|---|---|
ロック・ポップス | 2001万2516人 | 227万3392人 | 2228万5908人 |
歌謡曲・演歌 | 71万333人 | 1万2332人 | 72万2665人 |
ジャズ・フュージョン | 18万3359人 | 3万4261人 | 21万7620人 |
クラシック | 29万5668人 | 12万5609人 | 42万1277人 |
パフォーミングアーツ | 73万4143人 | 75万7303人 | 149万1446人 |
その他 | 75万2560人 | 16万8426人 | 92万986人 |
合計 | 2268万8579人 | 337万1323人 | 2605万9902人 |
これらのジャンルの中で音楽のライブは「ロック・ポップス」「歌謡曲・演歌」「ジャズ・フュージョン」「クラシック」になるかと思いますが、国内アーティストと海外アーティストを合わせると公演数は14,795で全体の約85%。動員数は2364万7470人で全体の約90%と大部分を占めています。
ということはおそらく売上の大部分も音楽のライブからと思われます。仮に2009年の売上の8割が音楽のライブからとすると約1000億円。2009年の音楽ソフトの生産金額が3165億円、有料音楽配信の売上が910億円で合わせて4075億円*1。しかも生産金額の下落傾向が止まらない音楽ソフトや売上の伸びが止まってきている有料音楽配信と違い、ライブは着実に伸びてきている状況ですから音楽産業の関係者、中でもアーティストにとってはライブの重要性は以前にも増して大きくなってきているのではないかと思います。