2010年のアニメの売上をまとめてみました

一般社団法人日本映像ソフト協会(JVA)が発行している日本映像ソフト協会会報 No.145(PDF)にて2010年のビデオソフトの売上などの統計調査が公開されました。そこで昨年に続き2010年のアニメの売上等をまとめてみました。
※最新(2016年)の売上は【2016年】アニメのビデオソフトの売上をまとめてみましたを見てください。
※他の年の売上は以下を見てください。

2009年のアニメの売上をまとめてみた
日本映像ソフト協会の資料から見る2011年のアニメのビデオソフトの売上
【2012年】アニメのビデオソフトの売上をまとめてみました
【2014年】アニメのビデオソフトの売上をまとめてみました
・補足資料
アニメの売上補足資料 その1(販売用の売上)
アニメの売上補足資料 その2(レンタル店用の売上)

2010年のビデオソフトの売上

まず最初に2010年のビデオソフト全体の売上ですが以下のようになっています。

合計金額 構成比 前年比 合計数量 構成比 前年比
DVDビデオ 2192億9000万円 82.3% 88.0% 7719万4473 85.8% 94.0%
ブルーレイ 471億9100万円 17.7% 195.7% 1268万7382 14.1% 236.6%
UMD 6700万円 0.0% 15.4% 6万4291 0.1% 20.2%
ビデオソフトの総売上 2665億4800万円 100.0% 97.3% 8994万6136 100.0% 102.4%

日本映像ソフト協会会報 No.145の本文に、

下半期実績では前年同期比100.6%と前年同期並であったが、上半期の前年同期割れ(前年同期比93.6%)が影響した。年間実績では2004年の3,753億9,300万円をピークに6年連続で前年割れが続いているが、08年実績の前年比が88.9%、09年が95.8%、本年が97.3%であり、徐々に減少率は穏やかなものとなってきている。

とあるように総売上は前年比マイナスではありますが減少幅はかなり小さくなってきておりそろそろ底が見えたかなと思ったのですが、東日本大震災によりまた先行きが不透明な状態になってしまった感もあります。

ジャンル別売上

次にDVD、ブルーレイ、ビデオソフト全体(DVD+ブルーレイ+UMD)の流通ジャンル別の売上は以下のようになっています。
※「子供向け」の目安は10才以下を対象とした作品を指しています。

DVDジャンル別売上

ブルーレイジャンル別売上

ビデオソフト全体(DVD+ブルーレイ+UMD)の流通ジャンル別売上

2010年アニメのビデオソフトの売上

そして上記のジャンル別売上からアニメのジャンルである「日本のアニメーション(一般向け)」、「海外のアニメーション(一般向け)」、「日本の子供向け(アニメーション)」、「海外の子供向け(アニメーション)」を抜き出してみるとこうなります。
※マイナス計上となったものは前年比ERR(エラー)となっています。

DVDビデオ
合計金額 前年比
日本のアニメーション(一般向け) 443億5100万円 80.0%
海外のアニメーション(一般向け) 39億5100万円 94.5%
日本の子供向け(アニメーション) 59億1600万円 103.2%
海外の子供向け(アニメーション) 12億6400万円 69.5%
(内訳)
販売用 前年比 レンタル店用 前年比
日本のアニメーション(一般向け) 298億4200万円 77.1% 140億6600万円 86.7%
海外のアニメーション(一般向け) 21億300万円 96.6% 18億900万円 91.5%
日本の子供向け(アニメーション) 23億1100万円 100.7% 35億5000万円 104.6%
海外の子供向け(アニメーション) 8億3500万円 63.4% 4億1800万円 83.8%
ブルーレイ
合計金額 前年比
日本のアニメーション(一般向け) 225億8300万円 210.9%
海外のアニメーション(一般向け) 24億2200万円 551.7%
日本の子供向け(アニメーション) 2200万円 440.0%
海外の子供向け(アニメーション) 3500万円 700.0%
(内訳)
販売用 前年比 レンタル店用 前年比
日本のアニメーション(一般向け) 254億7800万円 214.4% 4900万円 20.5%
海外のアニメーション(一般向け) 22億8000万円 592.2% 1億4200万円 263.0%
日本の子供向け(アニメーション) 2200万円 440.0% 0 ERR
海外の子供向け(アニメーション) 2500万円 520.0% 900万円 ERR
アニメのビデオソフト全体の売上

※この数字は各種調査報告|社団法人日本映像ソフト協会にある2010年(1月〜12月)の各メディア毎のジャンル別実績(PDF)より抜粋。

合計金額 前年比
日本のアニメーション(一般向け) 700億800万円 103.1%
海外のアニメーション(一般向け) 63億7300万円 137.9%
日本の子供向け(アニメーション) 59億3800万円 103.5%
海外の子供向け(アニメーション) 12億9900万円 70.8%
(内訳)
DVDビデオ ブルーレイ UMD
日本のアニメーション(一般向け) 443億5100万円 255億8300万円 7400万円
海外のアニメーション(一般向け) 39億5100万円 24億2200万円 0
日本の子供向け(アニメーション) 59億1600万円 2200万円 0
海外の子供向け(アニメーション) 12億6400万円 3500万円 0

2001年からの売上金額、売上数量の推移

※金額、数量は各種調査報告|社団法人日本映像ソフト協会にある年間売上統計より。
※2007年よりビデオカセットの売上が調査対象外になり、2008年よりブルーレイの売上が加算されています。

売上金額
日本のアニメ(一般向け) 海外のアニメ(一般向け) 日本の子供向け(アニメ) 海外の子供向け(アニメ) アニメ合計
2001年 430億3700万円 80億6900万円 222億6700万円 20億9200万円 754億6500万円
2002年 745億3000万円 146億6000万円 160億4200万円 23億9300万円 1076億2500万円
2003年 664億2500万円 92億3600万円 160億7200万円 38億6400万円 955億9700万円
2004年 587億8500万円 172億1100万円 134億100万円 31億9300万円 925億9000万円
2005年 834億500万円 111億5700万円 137億2200万円 18億7200万円 1101億5600万円
2006年 801億1600万円 72億7200万円 149億1200万円 11億9700万円 1034億9700万円
2007年 801億7600万円 55億1800万円 92億5400万円 15億5000万円 964億9800万円
2008年 703億8300万円 38億3700万円 75億2000万円 19億8100万円 837億2100万円
2009年 679億2000万円 46億2100万円 57億3800万円 18億3600万円 801億1500万円
2010年 700億800万円 63億7300万円 59億3800万円 12億9900万円 839億6000万円
日本のアニメの売上金額
日本のアニメ(一般向け) 日本の子供向け(アニメ) 合計
2001年 430億3700万円 222億6700万円 653億400万円
2002年 745億3000万円 160億4200万円 905億7200万円
2003年 664億2500万円 160億7200万円 824億9700万円
2004年 587億8500万円 134億100万円 721億8600万円
2005年 834億500万円 137億2200万円 971億2700万円
2006年 801億1600万円 149億1200万円 950億2800万円
2007年 801億7600万円 92億5400万円 894億3000万円
2008年 703億8300万円 75億2000万円 779億300万円
2009年 679億2000万円 57億3800万円 736億5800万円
2010年 700億800万円 59億3800万円 760億1800万円
アニメ全体の売上金額の動向

※単位は百万円

ジャンル毎の売上金額の動向


売上数量
日本のアニメ(一般向け) 海外のアニメ(一般向け) 日本の子供向け(アニメ) 海外の子供向け(アニメ) アニメ合計
2001年 9,313,338枚 2,203,195枚 6,717,928枚 1,019,548枚 19,254,009枚
2002年 17,243,046枚 3,740,465枚 2,013,019枚 1,320,997枚 24,317,527枚
2003年 13,389,524枚 2,852,661枚 4,152,457枚 3,776,444枚 24,171,086枚
2004年 12,658,023枚 7,298,981枚 3,913,846枚 2,523,206枚 26,394,056枚
2005年 18,430,346枚 4,742,196枚 4,393,859枚 1,790,840枚 29,357,241枚
2006年 17,918,005枚 2,965,878枚 3,903,544枚 1,802,296 26,589,723枚
2007年 17,668,466枚 2,136,334枚 3,122,334枚 1,742,985枚 24,670,119枚
2008年 16,757,885枚 1,471,531枚 2,535,361枚 1,704,319枚 22,469,096枚
2009年 15,689,547枚 1,693,685枚 1,933,678枚 1,509,749枚 20,826,659枚
2010年 14,873,977枚 2,628,607枚 1,981,584枚 1,532,143枚 21,016,311枚
日本のアニメの売上数量
日本のアニメ(一般向け) 日本の子供向け(アニメ) 合計
2001年 9,313,338枚 6,717,928枚 16,031,266枚
2002年 17,243,046枚 2,013,019枚 19,256,065枚
2003年 13,389,524枚 4,152,457枚 17,541,981枚
2004年 12,658,023枚 3,913,846枚 16,571,869枚
2005年 18,430,346枚 4,393,859枚 22,824,205枚
2006年 17,918,005枚 3,903,544枚 21,821,549枚
2007年 17,668,466枚 3,122,334枚 20,790,800枚
2008年 16,757,885枚 2,535,361枚 19,293,246枚
2009年 15,689,547枚 1,933,678枚 17,623,225枚
2010年 14,873,977枚 1,981,584枚 16,855,561枚
アニメ全体の売上数量の動向

ジャンル毎の売上数量の動向


日本のアニメ(一般向け)の2010年を見ると売上数量が前年比減なのに売上金額が前年比増になっているのはブルーレイ版による単価上昇の効果なのかなと思いました。


売上金額、売上数量、テレビアニメの放映数、DVD・ブルーレイのタイトル数の比較

※テレビアニメの放映数は日本のテレビアニメ作品一覧 (年代別) - Wikipedia、DVD、ブルーレイの発売タイトル数価格.comDVDソフト アニメ 発売日表より集計。それぞれwikipeiaと価格.comからの数字なので参考程度に見てください。
※テレビアニメの放映数は放送開始日を基準としています。また単発や特別番組(例:金曜ロードショールパン三世)なども含まれています。
※発売タイトル数には海外アニメや子供向けアニメ、クレイアニメ等も含まれています。またDVDBOXや再販、廉価商品、初回限定版等も含まれています。
※発売タイトル数はDVD・ブルーレイのみでビデオカセット等は含まれていません。

アニメ全体の売上金額 アニメ全体の売上数量 テレビアニメの放映数 発売タイトル数
2001年 754億6500万円 19,254,009枚 87 1,401
2002年 1076億2500万円 24,317,527枚 91 1,894
2003年 955億9700万円 24,171,086枚 99 1,988
2004年 925億9000万円 26,394,056枚 124 2,273
2005年 1101億5600万円 29,357,241枚 114 2,488
2006年 1034億9700万円 26,589,723枚 172 2,876
2007年 964億9800万円 24,670,119枚 151 2,919
2008年 837億2100万円 22,469,096枚 141 2,605
2009年 801億1500万円 20,826,659枚 133 2,730
2010年 839億6000万円 21,016,311枚 97 2,909

放映数が減少傾向なのにDVD・ブルーレイの発売タイトル数が増加しているのは一つの作品でもDVD版とブルーレイ版があり、さらに初回特典版や限定生産版など数種類のタイトルが出ていることや、アニメはブルーレイの普及が非常に進んでいるため過去作のブルーレイ版が出てきている事も要因なのではないかと思います。


雑感

2006年あたりから減少傾向が続いていたアニメの売上ですがようやく歯止めがかかったかなという感じでしょうか。しかし最初に2010年の年間の数字を見たときは私個人としてはちょっと驚きました。というのも2010年の上半期(1月〜6月)の売上を見ると、

2010年上半期(1月〜6月)のアニメの売上(DVDビデオ+ブルーレイ+UMD

日本映像ソフト協会会報 No.142(PDF)より2010年上半期統計調査報告から抜粋。

販売用 前年同期比 レンタル店用 前年同期比
日本のアニメーション(一般向け) 246億8600万円 91.3% 57億9900万円 66.2%
海外のアニメーション(一般向け) 13億1000万円 84.1% 8億1800万円 101.5%
日本の子供向け(アニメーション) 7億7000万円 79.7% 13億9700万円 92.8%
海外の子供向け(アニメーション) 1億3000万円 17.1% 1億9600万円 64.7%

このような状況だったため、下半期の売上がかなり健闘したものと思われます。その要因の一つがブルーレイで45万枚、DVDで37.4万枚を年間で売り上げた「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.」*1でしょうか(ただこの作品は発売日が5/26のため売上の一部は上半期のほうにも入っていると思います)。また他のアニメの中にも*2下半期の売上が好調だったのが多かったのかもしれません。
そして2011年の予測ですが、とりあえず2011年2月度のビデオソフト売上速報(PDF)を見るとビデオソフト全体の売上は1月〜2月までだとほぼ前年並であり、アニメも2010年くらいの売上はキープできそうかなと思っていたのですが東日本大震災、及び原発事故による電力事情の悪化などが起きてしまった事、さらにその事に因る景気への悪影響などが最大消費地である関東にかなりの影響が出てくる可能性が高く、特に上半期は厳しい状況になってしまうかなと。とはいえ「魔法少女まどか☆マギカ」のように話題作になれば『魔法少女まどか☆マギカ』最終回の影響でBDの注文数の勢いが半端ないらしい・・・まどか難民きそうだな|やらおん!というような状況にもなるわけで、今後話題作が増えていけばまた違ってくるかもしれませんし、是非そうなってくれることを私としても願っています。