2011年6月の全国接触率調査から見る地デジの普及状況

東日本大震災で大きな被害が出た宮城県岩手県福島県を除く地域の地上デジタル放送(以下地デジ)への完全移行が7/24といよいよ秒読み段階に入ってきました。それでちょっと気になったのが結局地デジはどのくらい普及しているのだろうかと。その事についての資料のひとつとして地上デジタルテレビ放送のご案内|総務省が公表している地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査の結果(平成22年12月調査)(PDF)があるのですがこれによると、

地上デジタルテレビ放送対応受信機の世帯普及率※1は、受信機普及台数の伸長を反映し、昨年9月に実施した前回調査※2 から増加して約95%となった。
※1 チューナー内蔵テレビ、チューナー内蔵録画機、外付けチューナー、チューナー内蔵パソコン、ケーブルテレビ用セットトップボックスのいずれかを保有している世帯の割合。
※2 総務省、社団法人デジタル放送推進協会地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査”(2010年9月)

となっています。しかしこの調査にはNEWSポストセブン|「地デジ普及率95%」総務省発表は80歳以上の高齢世帯を除外という話もあるようです。また調査の時期が2010年12月と半年以上前のため、別の調査でかつ比較的最近の調査結果はないのかなと思っていたのですが以前にも利用させていただいたNHK放送文化研究所が公開している「全国接触率調査」に参考になりそうな質問項目があり、その回答結果から全国接触率調査による地デジの普及状況を見てみようと思います。

2011年6月の全国接触率調査から見る地デジの普及状況

放送に関する世論調査 | NHK放送文化研究所
2011年6月全国接触者率調査(PDF)より
※調査時期や調査方法などは以下のようになります。

2.調査時期
2011年6月6日(月)〜12日(日)
3. 調査方法
配付回収法(日記式調査票に1日単位で記入)
4.調査対象
全国7歳以上の国民
5.調査相手
住民基本台帳から層化無作為2段抽出
3,600人(12人×300地点*)
6.調査有効数(率)
2,646人(73.5%)

東日本大震災のため、岩手・宮城・福島県の6地点で調査中止。


この調査の回答の中から「質問5 お宅には、テレビが何台ありますか。」「質問6 それでは、「地上デジタル放送」を受信しているテレビは何台ありますか。」についての回答結果を見るとこうなっています。

−テレビ台数−
質問5 お宅には、テレビが何台ありますか。

1台 27.0%
2台 31.7%
3台 21.5%
4台 10.8%
5台以上 7.3%
ない 1.5%
無回答 0.2%

地上デジタル放送受信テレビ台数−
質問6 それでは、「地上デジタル放送」を受信しているテレビは何台ありますか。

1台 38.1%
2台 28.5%
3台 12.7%
4台 5.6%
5台以上 2.9%
ない 10.8%
わからない 1.1%
無回答 0.3%

テレビ自体はほとんどの世帯が所持していいるものの、地デジを受信しているテレビについてはまだ「ない」と回答している世帯の割合が10.8%ほど存在しています。もっともこの質問はテレビについてなので、ワンセグやPCで地デジを受信しているケースは含まれていないようです。そのため地デジを見ることが出来る割合だともう少し上乗せがあるかと思われます。
ちなみこの調査は2008年6月からのものが公開されており上記「それでは、「地上デジタル放送」を受信しているテレビは何台ありますか。」についての回答の割合は以下のよう推移しています。

2008年6月からの「それでは、「地上デジタル放送」を受信しているテレビは何台ありますか。」についての回答の推移
2008年6月 2008年11月 2009年6月 2009年11月 2010年6月 2010年11月 2011年6月
1台 27.8% 31.9% 35.9% 38.6% 39.0% 43.1% 38.1%
2台 7.6% 8.9% 11.6% 13.5% 18.5% 21.9% 28.5%
3台 1.7% 2.2% 3.0% 4.3% 6.1% 9.5% 12.7%
4台 0.4% 0.5% 0.8% 1.3% 2.4% 3.0% 5.6%
5台以上 0.2% 0.1% 0.3% 0.5% 0.9% 1.3% 2.9%
ない 59.2% 53.8% 46.5% 39.8% 31.3% 20.1% 10.8%
わからない 2.5% 2.2% 1.3% 1.7% 1.6% 0.9% 1.1%
無回答 0.6% 0.4% 0.3% 0.2% 0.2% 0.2% 0.3%

2011年6月の調査で面白いところは地デジを受信しているテレビの台数が1台と答えている割合が2010年11月に比べて減少していることです。代わり2台、3台あると答えている割合がかなり多くなっています。上記の「テレビが何台ありますか。」の質問に対する回答を見てもらえればわかりますがテレビを複数所持している世帯が多いため、2台目、3台目の地デジ対応テレビへの買い替えや地デジチューナによる対応が進んできていることの表れかと思います。

感想

総務省の調査とNHK放送文化研究所の全国接触率調査。どちらが実態に近いのかいろいろ意見はあるとは思いますが、私個人の体感としてはNHK放送文化研究所の調査のほうが実態に近いのではないかと思います。それでもし2011年6月の全国接触率調査の結果が6月時点での地デジの普及状況だとしたら、地デジ完全移行の約1ヶ月半前でまだ1割くらいの世帯が地デジを受信しているテレビが「ない」と答えているわけで、PCやワンセグでの地デジの受信、さらに完全移行直前の駆け込み需要を考えたとしても、7/24までに全ての世帯に地デジが普及するのはかなり難しいのではないかと思います。