司法統計から見る新受の訴訟件数の推移

弁護士「仕事がない！」人数は2倍、訴訟件数3分の2。大半が年収100万円以下 (1/2) : J-CASTテレビウォッチ

荘口「7年前の司法制度改革により弁護士の数は約2倍となっています。でも、裁判所が受理した訴訟件数は2003年度が600万件でしたが11年度は400万件と減少しています」

この記事を読んでいてどのように訴訟件数が減少してきているのか興味が湧いたので、最高裁判所のサイトにある「司法統計」から件数の推移を調べてみました。
※各件数は裁判所 | 司法統計にある2000年度（平成12年度）から2011年度（平成23年度）までの「民事・行政事件編」、「刑事事件編」、「家事事件編」、「少年事件編」より参照。
※各数字は後に訂正される可能性があります。
※2017年10月29日　追記
2016年までの新受件数は1952年（昭和27年）から2016年（平成28年）までの裁判所における新受件数と弁護士数の推移を見てください。

2000年度（平成12年度）から2011年度（平成23年度）までの新受件数の推移

※件数は最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所、家庭裁判所において、その年度で新規に受理された訴訟数（事件数）で既存や未済は含まれていません。
※各事件の概要についていは司法統計　各事件編についてを見てください。

	民事事件	行政事件	刑事事件	家事事件	少年事件	合計
2000年度	3,045,266	6,443	1,638,040	560,935	286,470	5,537,154
2001年度	3,091,493	6,518	1,649,943	596,478	287,682	5,632,114
2002年度	3,291,575	6,779	1,654,770	638,195	284,868	5,876,187
2003年度	3,513,064	7,436	1,636,718	638,716	274,267	6,070,201
2004年度	3,165,197	7,886	1,607,589	699,553	261,806	5,742,031
2005年度	2,705,183	8,126	1,568,158	717,769	236,531	5,235,767
2006年度	2,613,371	8,218	1,495,046	742,661	214,801	5,074,097
2007年度	2,247,171	8,366	1,341,657	751,499	197,639	4,546,332
2008年度	2,243,867	8,571	1,238,800	766,013	175,734	4,432,985
2009年度	2,400,075	8,490	1,215,143	799,572	173,946	4,597,226
2010年度	2,170,467	8,884	1,158,440	815,052	165,058	4,317,901
2011年度	1,976,276	9,022	1,105,825	815,522	153,128	4,059,773

年度ごとの新受件数の詳細

2000年度（平成12年度）

	民事事件	行政事件	刑事事件	家事事件	少年事件	合計
最高裁判所	5,576	900	2,901	-	-	9,377
高等裁判所	34,851	2,424	10,199	-	-	47,474
地方裁判所	1,158,708	2,790	316,462	-	-	1,477,960
簡易裁判所	1,846,131	329	1,308,478	-	-	3,154,938
家庭裁判所	-	-	-	560,935	286,470	847,405
合計	3,045,266	6,443	1,638,040	560,935	286,470	5,537,154

2001年度（平成13年度）

	民事事件	行政事件	刑事事件	家事事件	少年事件	合計
最高裁判所	5,575	872	3,248	-	-	9,695
高等裁判所	34,880	2,483	10,726	-	-	48,089
地方裁判所	1,179,362	2,790	336,418	-	-	1,518,570
簡易裁判所	1,871,676	373	1,299,551	-	-	3,171,600
家庭裁判所	-	-	-	596,478	287,682	884,160
合計	3,091,493	6,518	1,649,943	596,478	287,682	5,632,114

2002年度（平成14年度）

	民事事件	行政事件	刑事事件	家事事件	少年事件	合計
最高裁判所	5,997	819	3,657	-	-	10,473
高等裁判所	36,136	2,699	11,371	-	-	50,206
地方裁判所	1,298,906	3,032	355,324	-	-	1,657,262
簡易裁判所	1,950,536	229	1,284,418	-	-	3,235,183
家庭裁判所	-	-	-	638,195	284,868	923,063
合計	3,291,575	6,779	1,654,770	638,195	284,868	5,876,187

2003年度（平成15年度）

	民事事件	行政事件	刑事事件	家事事件	少年事件	合計
最高裁判所	5,958	896	4,263	-	-	11,117
高等裁判所	34,910	2,690	12,132	-	-	49,732
地方裁判所	1,351,510	3,451	380,968	-	-	1,735,929
簡易裁判所	2,120,686	399	1,239,355	-	-	3,360,440
家庭裁判所	-	-	-	638,716	274,267	912,983
合計	3,513,064	7,436	1,636,718	638,716	274,267	6,070,201

2004年度（平成16年度）

	民事事件	行政事件	刑事事件	家事事件	少年事件	合計
最高裁判所	6,217	902	4,437	-	-	11,556
高等裁判所	35,032	2,961	12,573	-	-	50,566
地方裁判所	1,229,558	3,734	380,771	-	-	1,614,063
簡易裁判所	1,894,390	289	1,209,808	-	-	3,104,487
家庭裁判所	-	-	-	699,553	261,806	961,359
合計	3,165,197	7,886	1,607,589	699,553	261,806	5,742,031

2005年度（平成17年度）

	民事事件	行政事件	刑事事件	家事事件	少年事件	合計
最高裁判所	6,284	983	4,484	-	-	11,751
高等裁判所	35,609	3,436	12,969	-	-	52,014
地方裁判所	951,715	3,473	371,000	-	-	1,326,188
簡易裁判所	1,711,575	234	1,179,705	-	-	2,891,514
家庭裁判所	-	-	-	717,769	236,531	954,300
合計	2,705,183	8,126	1,568,158	717,769	236,531	5,235,767

2006年度（平成18年度）

	民事事件	行政事件	刑事事件	家事事件	少年事件	合計
最高裁判所	6,722	908	4,381	-	-	12,011
高等裁判所	33,394	3,015	13,197	-	-	49,606
地方裁判所	907,079	3,927	354,280	-	-	1,265,286
簡易裁判所	1,666,176	368	1,123,188	-	-	2,789,732
家庭裁判所	-	-	-	742,661	214,801	957,462
合計	2,613,371	8,218	1,495,046	742,661	214,801	5,074,097

2007年度（平成19年度）

	民事事件	行政事件	刑事事件	家事事件	少年事件	合計
最高裁判所	5,719	932	4,502	-	-	11,153
高等裁判所	31,830	3,033	11,921	-	-	46,784
地方裁判所	804,670	4,112	324,406	-	-	1,133,188
簡易裁判所	1,404,952	289	1,000,828	-	-	2,406,069
家庭裁判所	-	-	-	751,499	197,639	949,138
合計	2,247,171	8,366	1,341,657	751,499	197,639	4,546,332

2008年度（平成20年度）

	民事事件	行政事件	刑事事件	家事事件	少年事件	合計
最高裁判所	5,786	1,018	4,050	-	-	10,854
高等裁判所	32,782	3,222	11,300	-	-	47,304
地方裁判所	818,890	4,056	308,958	-	-	1,131,904
簡易裁判所	1,386,409	275	914,492	-	-	2,301,176
家庭裁判所	-	-	-	766,013	175,734	941,747
合計	2,243,867	8,571	1,238,800	766,013	175,734	4,432,985

2009年度（平成21年度）

	民事事件	行政事件	刑事事件	家事事件	少年事件	合計
最高裁判所	5,936	991	3,856	-	-	10,783
高等裁判所	33,193	3,334	10,823	-	-	47,350
地方裁判所	843,318	3,821	298,962	-	-	1,146,101
簡易裁判所	1,517,628	344	901,502	-	-	2,419,474
家庭裁判所	-	-	-	799,572	173,946	973,518
合計	2,400,075	8,490	1,215,143	799,572	173,946	4,597,226

2010年度（平成22年度）

	民事事件	行政事件	刑事事件	家事事件	少年事件	合計
最高裁判所	6,298	1,112	4,024	-	-	11,434
高等裁判所	37,781	3,390	10,419	-	-	51,590
地方裁判所	812,885	4,173	285,691	-	-	1,102,749
簡易裁判所	1,313,503	209	858,306	-	-	2,172,018
家庭裁判所	-	-	-	815,052	165,058	980,110
合計	2,170,467	8,884	1,158,440	815,052	165,058	4,317,901

2011年度（平成23年度）

	民事事件	行政事件	刑事事件	家事事件	少年事件	合計
最高裁判所	6,596	1,031	3,976	-	-	11,603
高等裁判所	38,592	3,384	10,501	-	-	52,477
地方裁判所	739,204	4,381	274,513	-	-	1,018,098
簡易裁判所	1,191,884	226	816,835	-	-	2,008,945
家庭裁判所	-	-	-	815,522	153,128	968,650
合計	1,976,276	9,022	1,105,825	815,522	153,128	4,059,773

弁護士数との比較と雑感

弁護士の人数（正会員数）と新受件数を比較するとこんな感じになります。
※弁護士数（正会員数）は日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations：基礎的な統計情報の弁護士数の推移（PDF）より参照。

	弁護士数	新受件数
2000年度	17,126	5,537,154
2001年度	18,243	5,632,114
2002年度	18,838	5,876,187
2003年度	19,508	6,070,201
2004年度	20,224	5,742,031
2005年度	21,185	5,235,767
2006年度	22,021	5,074,097
2007年度	23,119	4,546,332
2008年度	25,041	4,432,985
2009年度	26,930	4,597,226
2010年度	28,789	4,317,901
2011年度	30,485	4,059,773
2012年度	32,088	*

弁護士の人数は司法制度改革により2000年度と比べると約187%ほど増加しているのに対して、新受の訴訟件数は2003年度をピークに減少傾向が続き2011年度は2003年度に比べると約66.8%ほどの件数に減少しています。しかも、多くの弁護士にとって飯の種で一つであろう民事事件の減少が著しく、案件が少なく厳しい収入状況の弁護士が出てきてしまうのも無理もないかなと。
それにしても、新受の訴訟件数がここまで減少傾向にあるとは思っていませんでした。今後もこの傾向が続くのかどうかはわかりませんが、もし続くとなるとこの先司法試験の合格者数を減少させ弁護士の人数の増加にストップをかける事はできても、増やした弁護士の人数を減らすという訳にもいかないでしょうから、弁護士にとっては裁判以外の仕事をどう確保するかが生き残る鍵になるのかなと思ったりしました。