都知事選終了後の注目点〜選挙運動収支報告書について〜

猪瀬直樹氏の辞任に伴う東京都都知事選挙が2月9日に行われ舛添要一氏が当選となりました。それで、この都知事選に立候補した候補者の陣営にとって選挙が終了・・・という訳ではなく、重要な仕事がまだ残っていたりします。それが「選挙費用収支報告書」の作成と提出です。

選挙運動収支報告書とは

選挙費用収支報告書は公職選挙法189条で作成と提出が義務付けられている書類で条文は下記のようになっています。
公職選挙法

(選挙運動に関する収入及び支出の報告書の提出)
第百八十九条  出納責任者は、公職の候補者の選挙運動に関しなされた寄附及びその他の収入並びに支出について、第百八十五条第一項各号に掲げる事項を記載した報告書を、前条第一項の領収書その他の支出を証すべき書面の写し(同項の領収書その他の支出を証すべき書面を徴し難い事情があつたときは、その旨並びに当該支出の金額、年月日及び目的を記載した書面又は当該支出の目的を記載した書面並びに金融機関が作成した振込みの明細書であつて当該支出の金額及び年月日を記載したものの写し)を添付して、次の各号の定めるところにより、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会参議院比例代表選出議員の選挙については、中央選挙管理会)に提出しなければならない。
一  当該選挙の期日の公示又は告示の日前まで、選挙の期日の公示又は告示の日から選挙の期日まで及び選挙の期日経過後になされた寄附及びその他の収入並びに支出については、これを併せて精算し、選挙の期日から十五日以内に
二  前号の精算届出後になされた寄附及びその他の収入並びに支出については、その寄附及びその他の収入並びに支出がなされた日から七日以内に
2  前項の報告書の様式は、総務省令で定める。
3  第一項の報告書には、真実の記載がなされていることを誓う旨の文書を添えなければならない。

条文中に出納責任者とありますが、出納責任者というのは選挙運動に関する収入と支出の責任者で立候補者は必ず1名を選任しなけばなりません(公職選挙法180条・立候補者本人が出納責任者になることも可です)。それで、出納責任者は選挙運動期間中の収入と支出を指定された報告書の様式に従って作成し、投票日(選挙の期日)から15日以内*1選挙管理委員会に提出しなければなりません。もし提出されなかったり、内容に虚偽があったりした場合は出納責任者が3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金に処せられる可能性があります(公職選挙法246条)。

選挙運動収支報告書について気になる陣営

というわけで、都知事選が終了した後も選挙運動収支報告書を作成するための事務処理にまだ追われている陣営もあるんじゃないかと思いますが、その選挙運動収支報告書についてちょっと気になる陣営があります。それは家入一真さんの陣営です。
家入一真さんは今回の都知事選ではネットを駆使した選挙戦で話題となりましたが、過去にはお金の問題を何かと起こしていた人でもあり、キチンとした選挙運動収支報告書を作成し提出を出来るのかという点。まあ、これは出納責任者がしっかりとした人なら大丈夫かとは思いますが。
そして、もう一点気になるのが選挙運動収支報告書の中身です。この選挙運動収支報告書は選挙管理委員会に提出され受理された日付から3年間保存されます(公職選挙法191条)。その間選挙管理委員会*2に行って閲覧を請求すれば誰でも選挙運動収支報告書を無料で閲覧することができます(コピーも可)。今回の都知事選で家入一真さんはクラウドファンディングで1月31日まで寄付を募っていましたら、少なくとも都知事選が告示された1月23日から1月31日までの寄付の状況*3と、選挙運動期間中の具体的な支出の金額*4を知ることができます。家入一真さんは選挙運動をほぼネット上で行っていましたら、それでどのくらいの支出になったのかというのは気になるところで、私は東京から離れた所に住んでいますが機会があれば閲覧をしてみたいかなと思っています。
また、家入一真さんは「インターネッ党」という政治団体を立ち上げ総務省にも届け出をすませたそうですが*5、政治団体は政治資金規正法により政治資金収支報告書の提出を義務付けられます。
政治資金収支報告書 - Wikipedia

政治資金規正法においては、政治団体に対し、原則として毎年3月31日までに、その前年中にあったすべての収入と支出及び12月31日現在で保有する資産等について記載した政治資金収支報告書を作成し、総務大臣または都道府県選挙管理委員会に提出することを義務付けている。

収入及び支出の総額、項目毎の金額を記載するほか、一定額以上の寄附を受けたり支出をした場合などは、寄附をした者の氏名や、支払先の名称等も記載しなければならない。また、12月31日現在で保有する一定の基準以上の預貯金や不動産、借入金等についても記載する必要がある。

この政治資金収支報告書は要旨なら総務省|政治資金収支報告書及び政党交付金使途等報告書にて公開されるため、今後はこちらも注目かと個人的に考えています。

*1:選挙の期日経過後になされた収入と支出については、その収支がなされたから7日以内に報告書を提出。

*2:都知事選だと東京都選挙管理委員会、場所は都庁。

*3:10,001円以上寄付した人・団体は名前と職業も公開されます。

*4:支出の分類は人件費、家屋費、通信費、交通費、印刷費、広告費、文具費、食糧費、休泊費、雑費。

*5:家入一真氏「都知事選は『はじまり』」 インターネット新党を設立 (THE PAGE) - Yahoo!ニュース