匿名掲示板における発信者情報開示請求の成功率

 最近、名誉毀損等による「発信者情報開示請求」についてのニュースを目にしますが、実際どれくらい発信者情報開示請求は成功するのか?

 発信者情報開示請求をする先は匿名掲示板やTwitter等のSNSに対して行う事が多いと思われますが、それらの中で2ch.scは発信者情報開示請求の成否を全て公開しているで、最初に2ch.scに対して発信者情報開示請求がされた2015年3月から2019年12月末までの発信者情報開示請求数と開示数を調べてみました。

2ch.scに対する発信情報開示請求の成否

※発信者情報開示請求の件数は規制情報@2ch掲示板より引用。

2ch.scに対してなされた発信者開示請求の件数(2015年3月~2019年12月末) 78件*1

・開示が成功した件数(一部開示も含む) 30件

・発信者情報開示請求の成功率 約38%

 この発信者情報開示請求の中には、ログが残っている可能性がまず無いであろう数年前の投稿に対する発信者情報開示請求もありますが、基本的には投稿から3ヶ月以内になされた発信者情報開示請求がほとんどです。

 よく発信者情報開示請求におけるIPアドレスのログ保存期間は3ヶ月程度と言われます。ですが2ch.scの開示を見ていると3ヶ月以内の投稿に発信者情報開示請求して「ログ無し」の回答は珍しくありません。
 私が把握している最短記録だと、2018年5月16日の投稿に対して2018年6月7日に発信者情報開示請求を求めるスレ立て。これで「ログ無し」の回答だった事もあります。

5ちゃんねるにおける発信者情報開示請求

 まあ、2ch.scに対して発信者情報開示請求をするのは基本的にはレアケースで、ほとんどは5ちゃんねる(5ch.net)に対して行われる方が一般的だと思います。

 しかし、2ちゃんねるの管理人がジム・ワトキンス氏に変わってからは、発信者情報開示請求のやり取りを非公開にしており、「2ちゃんねる」から「5ちゃんねる」に名称変更以後もそれが続いているため、外部から発信者情報開示請求の成否を知る事は出来ません。

 ただ、西村博之氏が管理人であった2011年~2014年3月までの発信者情報開示請求の成否については規制情報板にまだ残っているので、調べてみるとこうなっています。

2011年~2014年4月までの発信者情報開示請求の成否

※発信者情報開示請求の件数は規制情報 - 5ちゃんねる掲示板より引用。

・発信者情報開示請求数 467件。

・開示が成功した件数(一部開示も含む) 366件。

・発信者情報開示成功率  約78%。

 正直、こんなに開示が成功していたとは思っていませんでした。3ヶ月以上前の投稿に対する発信者情報開示請求でも成功しているケースが多いです。
 もし、このログの管理を今でも続けているのならば、5ちゃんねるに対する発信者情報開示請求は2ch.scに比べれば開示の成功が期待できるかもしれません。
 

*1:但し、5ch.netから転載された投稿に対する発信者情報開示請求は除く