視聴率の調査世帯構造からみる今後のテレビ

視聴率を測定するさい関東の場合600世帯を抽出して測定しています、その抽出方法もビデオリサーチのHPにて公表されています。他にも世帯視聴率、個人視聴率の計算方法。標本誤差がどれくらいあるのか。どれくらいの間隔で調査世帯をローテーションさせているのか等視聴率調査に関する事は結構詳しく公表されています(詳しくはこちら)。
しかしひとつ公表されてない事として「調査世帯の人口構造」があります。その前にまず視聴率には世帯視聴率と個人視聴率があるのですがその個人視聴率区分をビデオリサーチはG1〜G9に分けています。そしてよく使われるのがG1という以下の区分なのですが
* C (男女4〜12歳)
* T (男女13〜19歳)
* M1(男性20〜34歳)
* M2(男性35〜49歳)
* M3(男性50歳以上)
* F1(女性20〜34歳)
* F2(女性35〜49歳)
* F3(女性50歳以上)
このCからF3のそれぞれの割合を基本的に公表していない。一応国勢調査住民基本台帳、そしてビデオリサーチ独自の調査を元に各調査地域の人口構造に近いように調査世帯を選んでいる言われてます。そのビデオリサーチの推計データがこれです関東地区の人口
視聴率対象人口の内訳だと

C (男女4〜12歳) 8.2%
T (男女13〜19歳) 6.7%
M1(男性20〜34歳) 11.0%
F1(女性20〜34歳) 10.2%
M2(男性35〜49歳) 11.5%
F2(女性35〜49歳) 10.7%
M3(男性50歳以上) 19.6%
F3(女性50歳以上) 21.9%

これ見るとわかるけどCとT合わせても14.9%しかない。子供向けのアニメや番組が視聴率取れないのは当然かなと。またM3、F3で41.5%を占める*1、視聴率を取ることだけ考えれば50代以上の層をターゲットにした番組を作れば効率はよさそうな感じがします

50代以上を対象にした番組は今後増えるのか

しかしこういう話があるようです
視聴率の嘘800ホント200第9章 F1神話を打ち破れるか?

何故F1が一番重要かと言うと、多くのTVスポンサーにとって自社の商品購入に一番繋がるのがF1層だからです。次に重要なのがM1です。この2つを合せて「M1・F1神話」と呼ぶこともあります。

営業からの要請によって、今のタイムテーブルはとかく若い層に受ける番組ばかりが並びがちです。このような風潮に一石を投じようとして、僕は「捨てたもんじゃない50代」というリポートを書きかけたことがあります。

しかし、調べれば調べるほど、M3・F3は商品購買力に欠けているのです。50代と言えば、どこの会社でも部長〜取締役など、会社の中枢を担う人たちであるはずで、この人たち(あるいはこの人たちの配偶者)が30代の平社員より購買力が低い訳がないと思うのですが、金はあっても使わないということなのか、却々良いデータが得られません。

それともっと大きな問題は、M3・F3というカテゴリはあくまで「50歳以上」であるということです。つまり、ここには(理屈の上では)100歳の人も含まれるのです。会社の役員と100歳のご隠居が同じグループとして扱われている訳で、これは全く理解できません。

この記事が書かれたのが2002年なので団塊世代の一斉退職が始まってきている今とはまた状況は違うかもしれませんが現在の社会状況を考えるとそう簡単にM3、F3の層がテレビのCMにのせられるかというと難しいかなという気がします。またこの年齢になれば嗜好も固定化してくるでしょうしね


とはいえM3、F3が一番長くテレビを見てる層でもある(資料が少し古いですが)
NHK放送文化研究所
2005年 国民生活時間調査報告書(pdf)


wikipedia:テレビ離れ

2005年度のNHKの「国民生活時間調査」[4]によれば、日曜日にテレビを見る時間は10代男性が1995年の3時間34分から2005年に2時間25分、20代男性は3時間34分から2時間45分に減少している。行為率(テレビを観る人の割合)も同様に10代が1996年の94%から84%へ、20代は85%から74%に減少した。ただし、この行為率は全年齢層で微減している。この中で「若い男女は各曜日を通して視聴時間が短い。一方、70代以上は1日5時間以上テレビを見ており、無職や主婦、農林漁業者も同様に長時間視聴している」としている。

これらを総括すると、無職や高齢者の視聴時間は増加しているが、テレビを視聴する人は全体的に微減しており、その中で特に若い男性がテレビを見なくなっていると言える


調査対象人口の多いM3、F3という層をターゲットにすれば視聴率は取りやすいがCM効果が低い。しかしM1、F1をターゲットにすると視聴率を取るのが難しくなるがCM効果は高い。こういうジレンマが今のテレビ局にはあるじゃないかなと

まあそれでも視聴率という数字がテレビ局の力を表すほぼ唯一の指標である以上M3、F3を対象にした番組は増えると思います。と同時にCM効果の高いM1、F1(特にF1)についてはピンポイントでその層を狙うような番組がでてくるんじゃないかととも思います。逆に調査対象人口も購買力も低い子供向けの番組は今以上に駆逐されていくだろうなとも。もしかしたら子供の頃はテレビを見なくて大人になるにつれテレビを見るようになる。。。なんて時代がきたりして

*1:調査世帯のローテーションでM3、F3はもっと増えてるとも言われてる