プロバイダ責任制限法とブログのコメント

はてなブックマークでブログのコメント欄承認制について何やら盛り上がってるようですがその事自体については好きにすればいいんじゃないかぐらいの感想しかないんだけど、ただプロバイダ責任制限法の事を考えるとブログのコメントの扱いはなかなかに難しい
(以下法律に疎い人間が書いてるのでツッコミどころ、間違い等がある場合はご指摘ください)

プロバイダ責任制限法とブログ

プロバイダ責任制限法、正確には「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」という長い名前の法律ですがいろいろ話題になった法律でもあるのでご存知の人も多いと思いますが詳しい内容は以下のサイトを見るなりして下さい
プロバイダ責任制限法関連情報Webサイト
lawjapan.net - 


でこの法律の第一条、第二条

(趣旨)

第一条
この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利につき定めるものとする。

定義)

第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 特定電気通信 不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この号において同じ。)の送信(公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を除く。)をいう。
二 特定電気通信設備 特定電気通信の用に供される電気通信設備電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。)をいう。
三 特定電気通信役務提供者 特定電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者をいう。
四 発信者特定電気通信役務提供者の用いる特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を記録し、又は当該特定電気通信設備の送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を入力した者をいう

この条文で「特定電気通信」という言葉が出てくる。具体的にこの特定電気通信というのは
特定電気通信とは 〜 exBuzzwords用語解説

特定電気通信とは、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信のこと。
インターネット上のWebページや電子掲示板(BBS)などが該当する。
いわゆる放送や、特定の者に対して発信される電子メールなどは該当しない。

wikipedia:特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律

不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法第2条第1号に規定する電気通信)の送信。具体的にはウェブサイト、電子掲示板(BBS)、ウィキ(Wiki)、ソーシャル・ネットワーキング・サービスSNS)などが該当する。ただし、公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信(いわゆる放送)は、放送法や有線テレビジョン放送法などで規制されることから対象外とされる。電子メール等の1対1の通信は「不特定の者によって受信」にあたらず、その集合体に過ぎないメールマガジンもあたらない。


それでこの法律によって責任を負う対象になるのは「特定電気通信役務提供者」なんだけど特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の逐条解説(pdf)を見ると特定電気通信役務提供者というのは

「特定電気通信役務提供者」とは、ウェブホスティングを行う者や電子掲示板の管理者など、特定電気通信の用に供される電気通信設備を用いて他人の通信を媒介している者である

となっている。ブログだとコメント欄が無い場合は単に「発信者」となるためこの法律の対象外になると思うのだが、コメント欄があり第三者も書き込める場合はその管理をブログの運営者がやることになるだろうから電子掲示板の管理人と同じ扱いになる可能性は高いんじゃないかと

コメントと削除要請

実際にこういう相談があったようです
大阪で顧問弁護士をお探しなら、リーガルブレスD法律事務所にご相談を
http://www.ys-law.jp/article/13252866.html

<質問>

 当社はブログを通じて、他社より仕入れた商品を販売しています。

 このブログでは、当社取扱商品について、閲覧者が自由にコメントを記載できるようなシステムにしているのですが(匿名でのコメントも可能)、今般、一部商品について、製造業者を誹謗中傷するようなコメントが記載されました。

 このため、製造業者が当社に対して、当該コメントを削除するよう要請してきたのですが、この要請を無視した場合、当社は民事上の責任を問われる可能性はあるのでしょうか。また、この要請に応じて削除した場合はどうなるのでしょうか。


<回答>

 本件の場合、いわゆるプロバイダ責任制限法(正式名称は特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)に規定する民事免責の要件に該当するかの否かがポイントとなります。

 例えば、書込まれた情報が名誉毀損著作権侵害など権利侵害であることか明らかであり、かつ当該情報を削除することが容易であった場合には、削除要請を放置したことによる不法行為責任を負う可能性は否定できないと考えられます。

 一方、削除要請に応じた場合ですが、本件のような匿名で誰でもコメント記載可能というのであれば、削除しても民事責任を問われる可能性は低いと考えられます。
上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。

(以下の解説も読むことをお勧めします)

ブログのコメント欄に第三者に対するあきらかな名誉毀損著作権侵害にあたるような書き込みがあり、かつブログの運営者が削除ができる状態で権利侵害された権利者から削除要請があったとき下手に放置したりすると最悪ブログの運営者が不法行為責任を負う可能性がある。また削除するならするで面倒な手続きをしなければならない事もある送信防止措置手続-名誉毀損・プライバシー関係送信防止措置手続


そういうことを考えると様々なコメントが多い大手のブログなんかは承認制以前にコメント欄自体無くしたほうが楽で安全ではあるんだろうなあ。とはいえ反応が全く見えないのもそれはそれでなんかなあという気もする。なんというか上手く考えがまとまらないんだけどはてなブックマークのコメントをもう一歩前に進めたようなサービスがあるといい感じに落としどころになりそうなそんな感じがする