「ファイル共有ソフトの利用に関する調査〜クローリング調査〜」を読んでみた

こちらに続いて今度は「クローリング調査」を中心に見ていこうと思います。このクローリング調査は昨年から行われていています。調査対象は昨年は「Winny2」「share EX2」「WinMX3」だったのですが今年は「Winny2」「share EX2」GnutellaLimeWireCabos等)になっています
ちなみ2008年のアンケート調査でのファイル共有ソフトのシェアはこんな状況です
ファイル共有ソフトの「現在利用者」、初めて1割を超える〜利用実態のアンケート調査、クローリング調査の結果まとまる〜(2008/12/12)〜
アンケート調査結果(概要)(pdf)より

ファイルの流通状況

まずはファイル流通状況から
資料は
ファイル共有ソフトの「現在利用者」、初めて1割を超える〜利用実態のアンケート調査、クローリング調査の結果まとまる〜(2008/12/12)〜
クローリング調査結果(概要)(pdf)より

ファイルの流通状況(Winny編)



著作権と推測されるコンテンツ」は別枠になっているためこれをコンテンツ流通状況のほうと合わせてみるとだいたいこんな感じになる

アダルト 28.2%
同人 15.7%
音楽 11.6%
アニメ 11.6%
コミック 8.4%
不明ファイル 5.2%
情報 3.2%
映像 3.3%
書籍 2.3%
ゲーム 1.5%
アプリ 0.7%
映像(海外) 0.6%
PV 0.6%
映画 0.2%
映画(海外) 0.2%
危険ファイル 0.1%
その他 6.0%

グラフにしてみるとこうなる

アダルトに次いで多いが同人というのが結構意外な感じがします。またWinnyはサイズが大きいファイルをアップロードするのに少々難点があるため(扱える最大ファイルサイズが2GB)映像系や容量の大きいゲーム系の流通はあまり多くないです

ファイルの流通状況(Share編)



こちらも同じくコンテンツ流通状況と合わせてみます

アダルト 30.9%
アニメ 17.3%
コミック 8.4%
映像 8.1%
同人 6.6%
不明ファイル 5.7%
音楽 5.5%
ゲーム 3.1%
映像(海外) 2.4%
映画(海外) 2.3%
PV 1.6%
情報 1.2%
アプリ 1.0%
書籍 0.9%
映画 0.7%
危険ファイル 0.1%
その他 3.6%

同じくグラフにしてみます

こちらはアニメを筆頭に映像系の流通が多い。Shareは最大ファイルサイズが32Gまで扱えることと一次ファイルの流通が早いこともあってサイズが大きくなりがちなファイルの流通が多い。ただし後で詳しく触れますが流通数自体はWinnyに比べてかなり少ないです

ファイルの流通状況(Gunutella編)



これはグラフ等は必要ないかなとw
アンケート調査だと「ダウンロード経験があるファイル」や「過去一年間でファイル種類別ダウンロード数」で「音楽ファイル/日本のアーティスト」「音楽ファイル/海外のアーティスト」が一位二位を占めているのですがこれがその原因でしょう。Gunutellaに関してはあまり知識が無かったのでここまで音楽ファイルに偏っているとは思わなかったです


ノード数と流通量

次にWinnyとShareに関してのノード*1数及び流通量について

Winny

http://www2.accsjp.or.jp/news/release081212.html#crawl
※ポート0のノードに関しては含まれていません

「ノード」は、約18万台を収集。全数としては約19万台と推定。
「ファイル」は、約530万件を収集。全数としては約600万件と推定。

昨年の調査だと
http://www2.accsjp.or.jp/news/release071221.html#crawl

「ノード」※4は、約26万4千件。
「ファイル」は、約484万6千件。

Winnyはノード数の減少が目立つ。これはネットエージェントの調査でも同様に減少傾向が見られている

Share

http://www2.accsjp.or.jp/news/release081212.html#crawl

「ノード」は、約20万台を収集。全数としては約21〜22万台と推定。
「ファイル」は、約71万件を収集。全数としては約75〜80万件と推定。

昨年の調査だと
http://www2.accsjp.or.jp/news/release071221.html#crawl

「ノード」は、約20万件。
「ファイル」は、約54万9千件。

ノード数はほぼ変化無しですがファイル数が増加傾向といえどもWinnyに比べるかなり少ない。Shareは性質上「歯抜け*2」と呼ばれる現象が起きてしまうため実際にダウンロードが完走できるようなファイルはさらに少ないのではないかと思われる

ちょっとした雑感

ファイル共有の被害についていろいろ取り沙汰されますが、このクローリング調査やアンケート調査の「過去一年間にダウンロードしたファイル数」を見ていると
アンケート調査結果(概要)(pdf)

音楽業界がファイル共有に対して神経質になる(RIAAの訴訟とか)のがわからなくもないと思うとともに、声を上げているほどの被害があるのか?という業界もあるような。というか本当に声を上げたいのはアダルト業界なんだろうなあ

*1:「ノード」とは、ネットワークに接続しているPC等の端末を指す

*2:歯抜けについてはwikipedia:Shareを参照