2008年のビデオソフトの売上(総括)と2009年の予想

一般社団法人日本映像ソフト協会(JVA)が発行している「日本映像ソフト協会報 No.133(pdf)に2008年のビデオソフトの売上の統計調査が記載されているのでいろいろ見てみようと思います

ビデオソフトの全体の売上

まず2008年度のビデオソフトの売上について。総売上は2860億98百万円(前年比88.9%)。そして販売用、レンタル店用、業務用それぞれの売上は以下の通り

売上金額 構成比 前年比
販売用(個人向) 1753億56百万円 63.6% 83.9%
レンタル店用(個人向) 989億34百万円 35.9% 92.8%
業務用 14億37百万円 0.5% 86.5%

またこの統計調査には1978年からの売上金額の推移が載っておりそのグラフを見るとこうなっている

2008年の売上は2001年の売上(2940億01百万円)よりも下回っておりいかに2008年ビデオソフトの売上が厳しかったかわかるかと思います。それと2008年からはブルーレイ*1の売上が出るようになっていて売上金額は98億60百万円(前年比301.5%)と大幅に売上を伸ばしてはいるのですが、ビデオソフトの売上に占める割合はまだ3.4%程度でブルーレイのみのジャンル別売上を見てみても

ジャンル 販売用 構成比 前年比 レンタル店用 構成比
日本のアニメーション(一般向け) 43億67百万円 48.0% 839.8% 6億07百万円 79.7%
洋画(TVドラマを除く) 39億78百万円 43.7% 184.8% 87百万円 11.4%

アニメと洋画の2ジャンルに極端に偏っていてまだまだ一般に普及しているとは言い難い状況です

ジャンル別の売上

次にジャンル毎の売上を見てみます

ジャンル 販売用 構成比 前年比 レンタル店用 構成比 前年比
邦画(TVドラマを除く) 138億88百万円 7.9% 80.2% 124億43百万円 12.6% 79.1%
日本のTVドラマ 126億87百万円 7.2% 110.4% 69億81百万円 7.1% 107.7%
洋画(TVドラマを除く) 247億95百万円 14.1% 58.9% 267億68百万円 27.1% 84.3%
海外のTVドラマ 81億61百万円 4.7% 50.6% 158億96百万円 16.1% 74.1%
アジアの映画 7億28百万円 0.4% ERR 7億85百万円 0.8% ERR
アジアのTVドラマ 80億62百万円 4.6% ERR 98億82百万円 10.0% ERR
日本のアニメーション(一般向け) 472億98百万円 27.0% 81.2% 179億82百万円 18.2% 83.5%
海外のアニメーション(一般向け) 20億50百万円 1.2% 60.1% 15億15百万円 1.5% 72.8%
日本の子供向け(アニメーション) 37億26百万円 2.1% 74.1% 37億57百万円 3.8% 89.0%
日本の子供向け(アニメーション以外) 39億76百万円 2.3% 84.0% 10億77百万円 1.1% 78.6%
海外の子供向け(アニメーション) 15億03百万円 0.9% 125.8% 4億59百万円 0.5% 137.8%
海外の子供向け(アニメーション以外) 1億39百万円 0.1% 44.1% 27百万円 0.0% 34.2%
音楽(邦楽) 303億37百万円 17.3% 117.8% 4百万円 0.0% 13.8%
音楽(洋楽) 26億32百万円 1.5% 62.1% 7百万円 0.0% 50.0%
ビデオカラオケ 41百万円 0.0% 205.0% 0円 0.0% ERR
芸能・趣味・教養 127億43百万円 7.3% 79.9% 10億56百万円 1.1% 90.6%
ゲーム 0円 0.0% 0.0% 0円 0.0% ERR
スポーツ 8億95百万円 0.5% 81.0% 9百万円 0.0% 9.9%
学校教育・企業教育・語学教育 1億82百万円 0.1% 131.9% 5百万円 0.0% 50.0%
成人娯楽 17百万円 0.0% 7.4% 5百万円 0.0% 250.0%
その他 14億96百万円 0.9% 95.9% 2億76百万円 0.3% 91.7%
合計 1753億56百万円 100.0% 83.9% 989億34百万円 100.0% 92.8%


販売用、レンタル店用ともほとんどのジャンルで前年比でマイナスとなっている。特に2005年ごろからビデオソフト全体の売上が落ち込む中、比較的堅調な推移だった日本アニメーション(一般向け)でも販売用472億98百万円(前年比81.2%)、レンタル店用で179億82百万円(前年比83.5%)と二桁以上のマイナスになってしまっている。そのような逆風の中で販売用で売上を伸ばしたのが日本のTVドラマ音楽(邦楽)。特に音楽(邦楽)、いわゆるミュージックビデオなどが該当するわけですがこの売上が303億37百万円(前年比117.8%)で洋画の売上が極端に落ち込んだ事もあり、販売用の売上では日本アニメーション(一般向け)に次ぐ構成比第二位に躍進している。音楽業界は有料音楽配信は好調なもののCDの売上は減少しつづけている中でミュージックビデオの売上が伸びてきているというのなかなか興味深い

2009年の予想

2008年のビデオソフトの売上が落ちた要因の一つは間違いなくサブプライム問題に端を発した不況でしょう。その影響は2009年になっても引き続き出ており、今のところ2009年の1月と2月のビデオソフトの売上速報が公表されているのですが1月〜2月の累計で売上が前年比88.1%*2と引き続き落ち込んでいるなど2009年もビデオソフトの売上は厳しい結果になるのではないかと思う
そしてこの不況が与えそうなもう一つの影響がブルーレイの普及度。HD DVDとブルーレイの争いにようやく決着が付きブルーレイは急速に普及してきています。実際2009年1月〜2月の累計値でも全体の売上は落ち込んでいるもののブルーレイは前年比447.0%増と全体に占める割合はまだ少ないですが着実に売上を伸ばしてきている。またビデオソフトのメーカーで大手の一角であるバンダイナムコホールディングス決算短信を見ても、ビデオソフトの売上減少の要因を不況だけでなくブルーレイへの端境期であると見ていること*3などビデオソフトのメーカーがブルーレイにかける期待は大きいと思われる。しかしこの不況が長引けばブルーレイの普及に足止めがかかっていまう可能性もある
もしかしたら2009年はビデオソフトのメーカーにとって二重の意味で苦しい年になってしまうかもしれません