不況とパチンコホールの売上
経済産業省の特定サービス産業動態統計調査(2009年5月分確報)を読んでいたのですが、その中で「パチンコホール」の動向がなかなか興味深い
2008年1月から2009年5月までの「パチンコホール」の売上高
※長期データ|特定サービス産業動態統計調査より「パチンコホール」の2008年1月から2009年5月までの売上高と前年同月比の数字を抜粋
※2009年1月より調査対象の追加があったためリンク係数が発生しているので、2008年1月〜2008年12月までの売上高はそのリンク係数で計算した数字です(小数点以下は切り捨ててあります)
※リンク係数についてはこちらを参照して下さい
売上高 | 前年同月比 | |
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2008年1月 | 860億56百万円 | ▼16.1% |
2008年2月 | 785億54百万円 | ▼12.5% |
2008年3月 | 816億57百万円 | ▼13.0% |
2008年4月 | 794億96百万円 | ▼13.1% |
2008年5月 | 817億77百万円 | ▼14.3% |
2008年6月 | 779億62百万円 | ▼11.4% |
2008年7月 | 808億65百万円 | ▼9.1% |
2008年8月 | 857億93百万円 | ▼1.3% |
2008年9月 | 788億74百万円 | ▼2.4% |
2008年10月 | 774億35百万円 | 0.3% |
2008年11月 | 740億84百万円 | 0.4% |
2008年12月 | 803億46百万円 | ▼0.3% |
2009年1月 | 872億86百万円 | 1.4% |
2009年2月 | 784億60百万円 | ▼0.1% |
2009年3月 | 837億45百万円 | 2.6% |
2009年4月 | 816億89百万円 | 2.8% |
2009年5月 | 851億42百万円 | 4.1% |
ここでは表記しませんでしたが2007年は1年通して前年同月比がマイナスという状況でかなり長期に渡って売上高の落ち込みがあったのですが、その落ち込みが2008年の10月あたりから歯止めがかかり、2009年に入ってからは2月にわずかに前年同期比でマイナスとなったもののその他の月は前年同月を上回っており売上が回復しつつあります
売上が回復したのは不況になったから?
売上の減少に歯止めがかかった2008年10月というとリーマン・ブラザーズ破綻によるリーマンショックによって景気の悪化が本格化しだした時で、その後も不況は続いているわけですがパチンコホールの売上はそれに反比例するかのように売上が回復しています。ということはこの不況がパチンコホールには追い風になっているということなのでしょうか。実際パチンコホールもそうですが、台を製造するメーカーも売上が良くなっているようです
パチンコ人気回復の兆し? 「不況に強い」神話が浮上 : J-CASTニュース
パチンコ機メーカー、1割強増益の見通し
うちは、通年で最高益を出すようになっていますよ。2009年も、今の調子をキープしたいと思っています」
パチンコホール最大手のマルハン(京都市)では、自社の業績をこう話す。
パチンコ人口は近年、娯楽の多様化、出玉規制などから、ピーク時の半分の約1500万人にまで落ち込んでいた。全日本遊技事業協同組合連合会によると、その影響で、「ここ数年間は、全国で毎年1000店ぐらい減ってきた」。
それなのに、2008年末ごろから業界で増益予想が出始めているのだ。大和総研では、12月15日付リポートで、パチンコ・パチスロ業界関連セクターの投資判断を「強気」とした。それによると、パチンコホールは中小の倒産が続く一方、大手の業績が上がってきており、ホール全体の粗利が確実に改善に向かっているという。パチンコ機メーカーについても、主要各社の09年3月期の営業利益を前期比で13%増と予測している。
リポートでは、不況に強いとされる業界の強みが徐々に発揮されるようになってきている、としている。
それにしてもパチンコ及びパチスロはなぜ不況に強いんだろうと不思議に思う。他のギャンブル、例えば競馬や競輪の2009年に入ってからの売上を見てみると
上半期JRA売り上げ前年比94・4%▼(競馬) ― スポニチ Sponichi Annex ニュース
中央競馬は14日で上半期の開催を終え、入場人員は364万2041人で前年比99・1%。売り上げは1兆2455億4349万7400円は同94・4%のダウン。G1・10レース中8レースで入場人員が前年を上回ったが、売り上げでアップしたのはフェブラリーS(103・8%)、桜花賞(105・9%)だけ。
とあまり芳しくない。競輪は2009年上半期の売上は出ていないようですが、6月に行われたG1レース「高松宮記念杯競輪」の売上が
「高松宮杯」売り上げ1割減 大津競輪 赤字脱却きびしく:京都新聞
大津びわこ競輪場(大津市)で21日まで開催された「高松宮記念杯競輪」の車券売り上げが、前年度比で1割減となる123億7000万円にとどまったことが、22日分かった。
だったことを見るとおそらく前年より売上が伸びているとは考えにくい。ということはギャンブル全般が決して不況に強いというわけでは無いと思う。ではパチンコが不況に強い要因を個人的に考えてみると
1・パチンコホールはどこにでもあるため、遊びに行くのに時間やお金がかからない
2・不況により時間ができた人たちのちょうど良い時間つぶしに利用されている
あたりかな?もっともこんな記事を書いておいてなんですが私はパチンコやパチスロをやらないので、実際にパチンコ、パチスロをやる人からすればまた別の考えがあるとは思いますが