日本映像ソフト協会の「2009年上半期統計調査」から見るビデオソフトの売上動向

社団法人日本映像ソフト協会(JVA)2009年上半期統計調査(pdf)とその資料(pdf)にて2009年上半期のビデオソフトの売上状況が公開されたのでちょっとまとめてみました

2009年上半期(1月〜6月)のビデオソフトの売上

※この調査からHD DVDが調査対象外になっています

ビデオソフトの総売上
総売上 前年同期比
1277億31百万円 90.3%


そしてフォーマット毎の構成比はこうなっています

構成比
DVDビデオ 93.1%
ブルーレイ 6.6%
ビデオカセット 0.1%
UMD 0.2%


前年の2008年上半期の総売上は1415億91百万円(前年同期比94.9%)だったことを見ると、売上の減少幅がより大きくなってきている。またブルーレイについては構成比率が前年同期より1.6%伸びており不況下ではありますがブルーレイへの移行は着実に進んでいるようです

DVDビデオのジャンル毎の売上

ビデオソフトの売上でもっとも大きな割合を占める「DVDビデオ」のジャンル毎の売上ですが、販売用についてはJVA、'09年上半期のビデオソフト売上を発表。BDは6.6% -AV Watchの記事で具体的な数字が出ているのですが、その他の数字は資料にも前年比〜%という数字しか出ていないので(そのうち詳しい数字も公開されると思いますが)、日本映像ソフト協会会報 No.130(pdf)にある「2008年上半期統計調査報告」の数字と比較しておおよその売上金額も出してみました

販売用
ジャンル 金額 前年同期比
日本のアニメーション(一般向け) 224億47百万円 91.2%
音楽(邦楽) 147億27百万円 91.5%
日本のTVドラマ 71億52百万円 113.6%
邦画(TVドラマを除く) 60億95百万円 73.0%
洋画(TVドラマを除く) 54億74百万円 47.3%

販売用については一部構成比も公表されていて「日本アニメーション(一般向け)」30.4%、「音楽(邦楽)」19.9%、「日本のTVドラマ」9.7%となっています

レンタル店用

※金額は「2008年上半期統計調査報告」の数字から計算して出した数字のため約〜としてあります

ジャンル 金額 前年同期比
洋画(TVドラマを除く) 約104億44百万円 78.2%
日本のアニメーション(一般向け) 約85億41百万円 88.1%
アジアのTVドラマ 約43億06百万円 86.4%
海外のTVドラマ 約71億46百万円 101.8%
邦画(TVドラマを除く) 約65億98百万円 104.2%
日本のTVドラマ 約36億74百万円 126.2%


個人的にまず気になったのが「日本のTVドラマ」が販売用もレンタル店用も前年同期より伸びていること。日本のTVドラマは視聴率的に厳しくなってきているなんて話も聞いていたので、DVDビデオの売上が比較的好調なのはちょっと意外でした。まあそれだけDVDビデオの販売に力を入れてきた結果なのかもしれません
次に洋画(TVドラマを除く)の販売用の売上金額が急落していることが気にかかりました。前年同期の2008年上半期の洋画の売上金額が115億76百万円(前年同期比42.0%)だったことを見ると、いかに売上が急落してきているかがわかるかと思います。ただ売上の数量だと「日本アニメーション(一般向け)」構成比24.1%に次ぐ2位で20.1%を占めていてそう悪いわけでは無いです。ではどうしてここまで売上金額が下落したか?という要因の一つがAV Watchの記事にもありますが洋画のDVDの平均単価が急激に下落したことかと思います。2007年上半期に1,815円*1だった平均単価が2009年上半期には1.189円まで下落しており、その影響が大きいのかなと。そして後述しますがアニメ同様に洋画もブルーレイへの移行が進んでいるジャンルでその影響もあるかと思います

ブルーレイの売上

次にブルーレイの売上について。上記にも書きましたが今回の調査からHD DVDが調査対象外になり、ブルーレイのみの数字になっています

ブルーレイの総売上
販売用 構成比 レンタル店用 構成比 総売上 前年同期比
77億52百万円 91.8% 6億85百万円 8.1% 83億43百万円 386.8%

ブルーレイのジャンル別売上

ブルーレイの売上は販売用、レンタル店用ともほとんどを「日本のアニメーション(一般向け)」と「洋画(TVドラマを除く)」が占めており、資料にもその2つのみの数字が表記されています
※ブルーレイのジャンル毎の数字は割合しか記載されていないので、金額はその割合から計算したものです。そのため約〜としてあります

販売用
ジャンル 金額 構成比 前年同期比
日本アニメーショ(一般向け) 約43億87百万円 56.6% 939.2%
洋画(TVドラマを除く) 約18億44百万円 23.8% 140.9%
レンタル店用

※ブルーレイのレンタル店用には前年同期比の数字がありません

ジャンル 金額 構成比
洋画(TVドラマを除く) 約3億06百万円 44.8%
日本アニメーショ(一般向け) 約2億23百万円 32.7%

ブルーレイについてはなんと言っても販売用のアニメの急激な伸びでしょうね。最近でもBlu-ray「けいおん! 」第1巻がTVアニメで最高の初動売上 -AV Watchという記事がありましたが、マクロスFコードギアスR2のブルーレイ版のヒット以降さまざまなアニメがブルーレイ版を投入してきており、アニメに関してはブルーレイがかなり浸透してきているようです

アニメの売上に対するブルーレイの存在感

ちなみ販売用の日本アニメーション(一般向け)のDVDビデオとブルーレイを足した金額を前年同期と比較してみるとだいたいこうなっています

日本アニメーション(一般向け)販売用の2008年上半期と2009年上半期の比較

※2008年上半期のブルーレイの金額は日本映像ソフト協会会報 No.130(pdf)より計算。ただしHD DVDの金額が含まれています(全体に占めるHD DVD割合は3.7%)

DVDビデオ ブルーレイ 合計
2008年上半期 246億06百万円 約4億73百万円 約250億79百万円
2009年上半期 224億47百万円 約43億87百万円 約268億34百万円

DVDビデオの売上だけだと前年同期より下回っていますが、ブルーレイを足した場合だと前年同期を上回っている。ただこれは販売用のみの数字なのでレンタル店用も含むとまた違ってきます。とはいえJVA、'09年上半期のビデオソフト売上を発表。BDは6.6% - AV Watchでは

■ BD好調も「全体の売上を押し上げるまでには至っていない」

 統計委員会の木村委員長は、今期のビデオソフト売上が前年同期比で1割減となった結果を踏まえ、「“残念ながら”という結果となった。原因として、DVDビデオ市場が成熟期に入ったことと、個人消費の冷え込みにより売上が伸びなかった」と説明。

 また、BDについては「前年同期比で386.8%と4倍近い伸長をみせているものの、金額では84億4,300万円と、まだビデオソフト全体の売上を押し上げるまでには至っていない」と分析した。

と述べていて全体としてはまだブルーレイの存在感はそう大きくないようですが、アニメに関してはブルーレイが充分にアニメの売上を押し上げる存在になってきているのではないかと思います