私的録画補償金をどこの団体にいくら分配している?

この記事で話題にした私的録画補償金協会(以下SARVH)ディスクロージャー資料の一つである「平成20年度事業報告書」ですが、この報告書には受領した私的録画補償金をどこの団体にいくら分配したかという事も書いてあるのでちょっとまとめてみました
※資料は
ディスクロージャー資料 | SARVH
平成20年度事業報告書・決算報告書(pdf)より

分配の原資

まず平成20年度(2008年4月1日〜2009年3月31日)に特定機器や特定記録媒体から受領した補償金が1,881,493,396円になります。ただこのお金をそのまま分配してるわけではなくて、

管理手数料(5.2%相当) 98,000,000円
共通目的基金(20%) 356,698,679円
クレーム基金への繰り入れ 71,339,736円

合計526,038,415円が控除され、次に

クレーム基金戻入(18年度分) 62,160,108円
未払権利者分配基金 17,826,104円
受取利息 418円

合計79,986,630円が加算され,、差し引き1,435,441,611円が各団体への分配する基金となります

SARVHの会員団体に対する分配額

次にこの1,435,441,611円の分配についてですが、SARVHは「私的録画著作権者協議会」日本芸能実演家団体協議会日本レコード協会 (RIAJ)」 の3団体から成り立っていて、この3団体への分配額はこうなっています

権利者区分 正会員団体名 分配額 比率
著作権 私的録画著作権者協議会 976,100,295円 68%
実演家 日本芸能実演家団体協議会 416,278,068円 29%
レコード製作者 日本レコード協会 (RIAJ) 43,063,248円 3%

この中で私的録画著作権協議会についてはその会員団体への分配額も事業報告書の中で公表しています

私的録画著作権協議会の会員団体への分配額

※私的録画著作権協議会への分配金は上記にあるように976,100,295円

権利者区分 団体名 分配額
音楽著作権 日本音楽著作権協会JASRAC 229,670,667円
文芸著作権 日本脚本家連盟(文芸3団体) 229,670,657円
映像著作権 映像製作者委員会(映像7団体) 516,758,981円

さらに日本脚本家連盟は文芸3団体、映像製作者委員会についてはその加盟7団体に対する分配額も公表されています

日本脚本家連盟の文芸3団体への分配額

日本脚本家連盟に分配された金額は229,670,657円ですが、クレーム基金の控除と戻入、あと分配手数料が控除され、分配の原資は218,174,140円になります

団体名 分配額 比率
日本脚本家連盟 189,828,818円 87.01%
日本シナリオ作家協会 20,148,807円 9.24%
日本文藝家協会 8,196,515円 3.76%
映像製作者委員会の加盟7団体への分配額

※映像製作者委員会に分配された金額は516,758,981円ですが、クレーム基金の控除と戻入があり分配の原資は514,467,649円になります

団体名 分配額 比率
日本民間放送連盟 190,661,711円 37.06%
日本放送協会NHK 138,700,479円 26.96%
全日本テレビ番組製作社連盟 91,163,667円 17.72%
日本映画製作者連盟 34,109,205円 6.63%
日本動画協会 30,765,166円 5.98%
日本映像ソフト協会 15,073,901円 2.93%
日本映画製作者協会 13,993,520円 2.72%

権利者への分配額は?

この事業報告書に書かれている各団体への分配額は以上のようになります。こう見ると詳しく分配状況が書かれている感じですが、実際はその分配された団体の下に多くの権利者がいるわけで、そういう権利者にどれくらい分配されているかについては「(団体名)の分配規定に従い、それぞれの権利者、製作者に分配した」と書かれているだけです。もっともそこまでSARVHが調べる必要も無いかもしれませんし、仮に調べていたとしても権利者でも無い人たちに公開する必要は無いでしょうが、当の権利者たちはそのあたり把握しているのかどうかちょっと気になりました