2009年のファイル共有におけるコンテンツの流通状況

こちらの記事ではファイル共有のソフトのほうの利用状況を見てみましたが、今度は流通しているコンテンツの状況を見てみようと思います


まずはアンケート調査からファイル共有目的と実際にダウンロードしたファイルの種類について見てみます
第8回「ファイル共有ソフト利用実態調査」 | 調査報告書 | 活動報告 | ACCS
ファイル共有ソフトの利用に関する調査〜アンケート調査〜概要版(pdf)

ファイル共有ソフトの利用目的(年齢別と利用ソフト別)



ダウンロード経験があるファイルの種類(年齢別と利用ソフト別)



ファイル共有ソフトの目的もダウンロードしたファイルも圧倒的に「音楽ファイル」が多い。逆に共有ソフトShare違法配信事件、全国で11人逮捕 - MSN産経ニュースなど度々逮捕者を出している「ゲーム」「アニメ」は全体としてはそれほど多くない。ついでに去年の「ダウンロード経験があるファイルの種類」の比較してみるとこうなります
※2008年の数字はファイル共有に関する調査〜アンケート調査〜(2008年)(pdf)より

2009年 2008年
音楽ファイル/日本のアーティスト 71.7% 77.4%
音楽ファイル/海外のアーティスト 42.0% 41.2%
映画/日本 33.8% 35.1%
映画/海外 31.8% 31.4%
アダルト 30.4% 27.5%
アニメ/日本 26.4% 28.1%
マンガ・雑誌・書籍などの文書 17.8% 18.6%
ゲームソフト 17.3% 17.2%
テレビドラマ/日本 15.0% 16.6%
写真集・画像集 14.6% 16.0%
ミュージッククリップ 13.3% 16.6%
テレビドラマ/海外 11.9% 9.6%
ビジネスソフト 10.9% 11.2%
その他のテレビ番組 8.5% 8.5%
アニメ/海外 6.8% 5.2%

クローリング調査からみるコンテンツの流通状況

次にクローリングの調査から実際にファイル共有で流通しているコンテンツの状況ですが、この調査で対象になっているのは「Winny2」「ShareEX2」Gnutellaで、それぞれのコンテンツの流通状況を見てみます
第8回「ファイル共有ソフト利用実態調査」 | 調査報告書 | 活動報告 | ACCS
ファイル共有の利用に関する調査〜クローリング調査〜概要版(pdf)より

Winny2のコンテンツの流通状況



著作物と類推されるコンテンツは別枠になっているため、これをコンテンツ流通状況のほうと合わせてみるとだいたいこうなります

アダルト 28.50%
同人 16.50%
アニメ 11.90%
音楽 9.04%
コミック 8.52%
不明ファイル 4.40%
ゲーム 3.95%
映像 3.61%
情報 2.80%
書籍 2.47%
PV 0.76%
映像(海外) 0.66%
アプリ 0.52%
映画(海外) 0.38%
危険ファイル 0.20%
映画 0.19%
合法 0.00%
その他 5.56%


ShareEX2のコンテンツの流通状況



上記と同じく著作物と類推されるコンテンツは別枠になっているため、これをコンテンツ流通状況のほうと合わせてみるとだいたいこうなります

アダルト 32.20%
アニメ 16.17%
コミック 8.06%
同人 7.90%
不明ファイル 6.80%
映像 6.27%
音楽 5.95%
映像(海外) 3.58%
映画(海外) 2.58%
ゲーム 2.21%
書籍 1.68%
映画 1.05%
アプリ 0.94%
PV 0.89%
情報 0.30%
危険ファイル 0.20%
合法 0.00%
その他 3.21%


Gnutellaのコンテンツの流通状況



上記と同じく著作物と類推されるコンテンツは別枠になっているため、これをコンテンツ流通状況のほうと合わせてみるとだいたいこうなります

音楽 87.61%
不明ファイル 8.20%
アダルト 1.20%
PV 1.08%
アプリ 0.99%
映画(海外) 0.54%
映像 0.09%
映像(海外) 0.09%
アニメ 0.09%
映画 0.00%
ゲーム 0.00%
書籍 0.00%
コミック 0.00%
同人 0.00%
合法 0.00%
情報 0.00%
危険ファイル 0.00%
その他 0.09%


去年のクローリング調査と比べるとWinny2とShareEX2についてはあまり変化が無いのですが、Gnutellaは著作物と類推されるコンテンツ(ほとんど音楽)が約10%上昇し、その分アダルトが下落しています

次はGnutellaか?

逮捕者が出るなど何かとニュースで話題になるのはゲームやアニメのファイルですが、実際に最も需要がありまた流通もしているのは音楽ファイルだということがわかります。そして音楽ファイルをダウンロードするためによく使われているのは、これまた何かと話題になるWinnyやShareよりGunutella(LimeWireCabos等)が使われています。おそらくここまでGunutella系が広まっているのは、まずLimeWireCabosなどのクラインとの使い勝手の良さでしょう。ファイル共有で躓きやすいルーターのポート開放をしなくても基本的に使えるというのは大きい。そして携帯の違法着うたサイトなどと違い国内で逮捕者が今のところ出ていないのもまた大きいかと
日本の音楽配信は携帯のほうに極端に偏っているため、現状は摘発や訴訟も携帯の違法着うたサイトのほうに集中していますが、ファイル共有におけ音楽ファイルの共有がGnutellaにおいて非常に活発化してきているため、2010年のダウンロード違法化を機にWinny、Share並にGnutellaでも国内で摘発、訴訟が起きてくるかもしれません