2009年度「音楽メディアユーザー実態調査」から見るCDや着うたフルを購入するきっかけ
一般社団法人 日本レコード協会にて2009年度「音楽メディアユーザー実態調査」が公開されました。この調査の中から気になった点を見てみようと思います
2009年度「音楽メディアユーザー実態調査」の注意点
その前にこの調査を読むにあたり一つ注意しておかなければならない点があります。それは2009年の調査方法が2008年までとは全然違う方法になったということです。今回2009年の調査方法は「インターネットアンケート調査」になっていますが、2008年までは「質問紙による面接留置き自記入式*1」でした。そのため2009年の調査と2008年の調査では回答傾向がかなり変化しています
2009年度「音楽メディアユーザー実態調査」から見る楽曲を知るきっかけとCD・着うたの購入のきっかけ
さて2009年度「音楽メディアユーザー実態調査」の調査結果は
音楽視聴はテレビよりもYouTube-——日本レコード協会調べ | RBB TODAY
音楽を楽しむために使うサービス1位はYouTube テレビ上回る - ITmedia NEWS
とニュースにもなっています。そのニュースの中で主に取り上げられているのが「この半年間に、音楽を楽しむために利用した商品やサービス」という調査の結果でニュースのタイトルにもなっていますが、私個人として気になったのは「楽曲の認知・購入経路」の調査結果です。その中から「新品CD・着うたフル・インターネット配信で購入した楽曲の発売したきっかけ」、「新品CDを購入したきっかけ」、「着うたフルを購入したきっかけ」を見てみるとこうなっています
2009年度「音楽メディアユーザー実態調査」実施 | プレスリリース | 社団法人 日本レコード協会
2009年度音楽メディアユーザー実態調査報告書(PDF)より
「着うたフルを購入したきっかけ」
そしてそれぞれ上位10媒体を見てみるとこうなります
新品CD・着うたフル・インターネット配信で購入した楽曲の発売を知ったきっかけ | 割合 | |
---|---|---|
1 | テレビCM(楽曲のCM) | 28.9% |
2 | アーティストの公式サイト(ブログ以外) | 23.2% |
3 | テレビ番組(音楽番組) | 21.9% |
4 | 友人 | 18% |
5 | CD・レコード店に置いてある | 17.1% |
6 | テレビ番組(ドラマ) | 16.1% |
7 | テレビCM(一般商品のCM) | 15.3% |
8 | FMラジオ | 13.7% |
9 | YouTube | 13.1% |
10 | CDを販売しているECサイト | 11.5% |
新品CDを購入したきっかけ | 割合 | 着うたフルを購入したきっかけ | 割合 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
1 | アーティストの公式サイト(ブログ以外) | 19.2% | 1 | テレビCM(楽曲のCM) | 23% | |
2 | テレビCM(楽曲のCM) | 16.6% | 2 | テレビ番組(音楽番組) | 18.9% | |
3 | テレビ番組(音楽番組) | 14.4% | 3 | テレビ番組(ドラマ) | 18.8% | |
4 | CD・レコード店に置いてあるCD | 13.9% | 4 | 着うた・着うたフルのHP | 15.6% | |
5 | 友人 | 10.8% | 5 | テレビCM(一般商品のCM) | 15.1% | |
6 | CDを販売しているECサイト | 10.4% | 6 | 友人 | 13.8% | |
7 | アーティストの公式ブログ | 9.8% | 7 | YouTube | 13.5% | |
8 | YouTube | 9.5% | 8 | アーティストの公式サイト(ブログ以外) | 9% | |
9 | テレビ番組(ドラマ) | 9.4% | 9 | FMラジオ | 8.7% | |
10 | テレビCM(一般商品のCM) | 9.2% | 10 | ニコニコ動画 | 7.2% |
発売を知ったきっかけ、購入したきっかけともテレビ関連が上位に多くありますが、その中でもアーティストの公式サイトやYouTubeといったネット関連の媒体も上位にあります。ちなみにYoutubeとニコニコ動画を合わせて動画共有サイトとして見ると発売を知ったきっかけでは20.5%、新品CDを購入したきっかけでは15.2%、着うたフルを購入したきっかけでは20.7%と、だいたいテレビ番組(音楽番組)くらいに楽曲の発売を知ったきっかけ及び購入のきっかけになっているようです
個人的な雑感
2009年のこの調査を読んでいるとなんとなくYouTubeのような動画共有サイトを悪く見せたがっている?という気がしないでもないですが、いくつかの調査結果を見ると
「この半年間に、音楽を楽しむために利用した商品やサービス」の調査結果はYouTube49.6%、ニコニコ動画23.9%
「楽曲を録音する際の録音源」の調査結果はYouTube22.8%、その他無料音楽配信サイト(なぜかニコニコ動画が含まれている)12.5%
「新品CD・着うたフル・インターネット配信で購入した楽曲の発売を知ったきっかけ」の調査結果はYoutube13.1%、ニコニコ動画7.5%
「新品CDを購入したきっかけ」の調査結果はYouTube9.5%、ニコニコ動画5.7%
「着うたフルを購入したきっかけ」の調査結果はYouTube13.5%、ニコニコ動画7.2%
と動画共有サイトの影響は良い面もあれば悪い面もあって、簡単に結論づけるのは難しいと思う
あとこれは一通り2009年度「音楽メディアユーザー実態調査」の調査結果を読んでみて思ったことですが、最初に書いたとおり2009年の調査方法は「インターネットアンケート調査」だったためか、何というかネットユーザーの傾向が強く出すぎているような感じがします。できればインターネットのアンケート調査だけでなく、今までの「質問紙による面接留置き自記入式」と組み合わせるような調査方法にしたほうが良かったのではないかと
*1:2007年からはグループインタビューなどのサブの調査もしている