全国的に影響が出る可能性がある事を東京都が決めてしまうのはどうかと思う

現在何かと話題になっている東京都青少年健全育成条例改正問題こと「非実在青少年規制」ですが、この条例案についてはいろいろな問題点が指摘されています。その問題点の中で東京都の条例ではあるものの全国的に影響が出る可能性があるという点があります


その理由の一つが単純に東京都に出版社が集中していること
全国出版社数について:【 FAX DM、FAX送信の日本著者販促センター 】

全国出版社数について

突然ですが、問題です。全国に出版社ってどのくらいあると思いますか?

(1)1,500社前後  (2)3,000社前後  (3)4,500社前後  (4)7,000社前後

出版年鑑によると(3)の 4,311社となっています。そのうち80%近くが東京都に集中し、関西地区は合計でも10%にも満たない。


そして有害図書(不健全図書)と指定された場合の流通事情があります
有害図書 - Wikipedia

出版業界の自主規制ルールとして「東京都の不健全図書(有害図書)として連続3回、もしくは1年間に5回以上指定された出版物(雑誌)は、特別な注文等がない限り取次業者では扱わない」というルールが定められており、そのためこのルールに該当した出版物は事実上一般書店での販売が困難となる。その場合出版社は成人向けに限定した形でアダルトグッズショップや直接販売などの通販・チャンネルで販売を継続するか、もしくは廃刊・絶版するかの選択を余儀なくされることが多い。


また大手コンビニチェーンや書店の中には「前記の取次停止ルールに該当する出版物を発行している出版社の出版物は、有害図書指定されていない他の出版物も含めて一切取り扱わない」という方針を示しているところもあり、そのためコンビニ販売が主力となる雑誌類を抱えている出版社の中には、万が一の事態に備えて成人向け雑誌・書籍部門を別会社として本体から切り離す動きも見られる(例:毎日コミュニケーションズMCプレス。また白夜書房のアダルト雑誌部門がコアマガジンに移管されたのもこの動きに関係していると見られる)。


有害図書に指定された書籍(「完全自殺マニュアル」(鶴見済)など)は、大手や一部の書店で販売されていない。大手書店では有害図書を販売することによるイメージダウンを懸念した結果である。また小さな書店の場合では区別陳列のスペース確保と、年齢認証などの煩雑さなどから取り扱わない場合も多くあり事実上の発売禁止措置、禁書指定に近い。

あと詳しい話はhttp://d.hatena.ne.jp/killtheassholes/20100228#p3を読んでみて下さい
それでこのあたりの話を見て思ったのが全国的に影響が出る、もしくは出る可能性がある事を条例として東京都といういち地方公共団体が決めるのはどうかと。この案の是非はともかくとして案を提出、そして議論する場所は都議会じゃなくて国会なんじゃないかなと


あとこの条例案が可決か否決か。もしくはこのニュースにあるように先送り(継続審議)になるのかわかりませんが、もし否決か先送りになった場合はおそらくもう一度、というかそれこそ可決されるまで条案を再提出(なにかしらの条案の変更はするでしょうが)してくる可能性はある思います。これもちょっと疑問で、もし可決された条例を改廃する場合は基本的に
条例 - Wikipedia

選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く)の制定又は改廃の直接請求をすることができる(74条)。

という事をして直接請求をしないといけない(それでも改廃できるかどうかは議会次第ですが)。でも否決、先送りの場合に同じような条例案を再提出するのに特にこういうある種の枷があるわけではありません。個人的には先送りはまだしも否決された条例案を再提出する場合(条案の変更があったとしても)などは直接請求じゃないと再提出を原則禁止にするとか何かしらの枷が無いと、可決も否決も同じ議決なのにその重さに差が出てしまうのではないかなと思っていたりします