バンクーバーオリンピックとパラリンピックの国ごとのメダル獲得数の比較
バンクーバー冬季パラリンピックが21日(日本時間22日)に終了しました。そこでオリンピックとパラリンピックのメダル獲得数を並べて比較してみました
オリンピックとパラリンピックの国ごとのメダル獲得数
※バンクーバー冬季オリンピックの実施競技は7競技*186種目。メダル総数は258個
※バンクーバー冬季パラリンピックの実施競技は5競技*264種目(アルペン、クロスカントリー、バイアスロンは障害ごとにスタンディング(立位)・シッティング(座位)・ビジュアルインペアード(視覚障害)とクラス分けがある)。メダル総数は192個
※メダルの獲得数はOlympic Games Medals, Results, Sports : Vancouver 2010 Winter OlympicsとParalympic Games : Vancouver 2010 Winter Paralympics、それと英語版、日本語版wikipediaのバンクバーオリンピックおよびパラリンピックの項目を参照
国名 | オリンピックメダル獲得数(内訳) | 国名 | パラリンピックメダル獲得数(内訳) | |||
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1 | アメリカ | 37個(金9・銀15・銅13) | 1 | ロシア | 38個(金12・銀16・銅10) | |
2 | ドイツ | 30個(金10・銀13・銅7) | 2 | ドイツ | 24個(金13・銀5・銅6) | |
3 | カナダ | 26個(金14・銀7・銅5) | 3 | カナダ | 19個(金10・銀5・銅4) | |
4 | ノルウェー | 23個(金9・銀8・銅6) | 3 | ウクライナ | 19個(金5・銀8・銅6) | |
5 | オーストリア | 16個(金4・銀6・銅6) | 5 | アメリカ | 13個(金4・銀5・銅4) | |
6 | ロシア | 15個(金3・銀5・銅7) | 6 | スロバキア | 11個(金6・銀2・銅3) | |
7 | 韓国 | 14個(金6・銀6・銅2) | 6 | オーストリア | 11個(金3・銀4・銅4) | |
8 | 中国 | 11個(金5・銀2・銅4) | 6 | 日本 | 11個(金3・銀3・銅5) | |
8 | スウェーデン | 11個(金5・銀2・銅4) | 9 | ベラルーシ | 9個(金2・銀0・銅7) | |
8 | フランス | 11個(金2・銀3・銅6) | 10 | イタリア | 7個(金1・銀3・銅3) | |
11 | スイス | 9個(金6・銀0・銅3) | 11 | フランス | 6個(金1・銀4・銅1) | |
12 | オランダ | 8個(金4・銀1・銅3) | 11 | ノルウェー | 6個(金1・銀3・銅2) | |
13 | チェコ | 6個(金2・銀0・銅4) | 13 | オーストラリア | 4個(金0・銀1・銅3) | |
13 | ポーランド | 6個(金1・銀3・銅2) | 14 | スペイン | 3個(金1・銀2・銅0) | |
15 | イタリア | 5個(金1・銀1・銅3) | 14 | スイス | 3個(金1・銀2・銅0) | |
15 | 日本 | 5個(金0・銀3・銅2) | 16 | フィンランド | 2個(金0・銀1・銅1) | |
15 | フィンランド | 5個(金0・銀1・銅4) | 16 | スウェーデン | 2個(金0・銀0・銅2) | |
18 | オーストラリア | 3個(金2・銀1・銅0 | 18 | ニュージーランド | 1個(金1・銀0・銅0) | |
18 | ベラルーシ | 3個(金1・銀1・銅1) | 18 | 韓国 | 1個(金0・銀1・銅0) | |
18 | スロバキア | 3個(金1・銀1・銅1) | 18 | チェコ | 1個(金0・銀0・銅1) | |
18 | クロアチア | 3個(金0・銀2・銅1) | 18 | ポーランド | 1個(金0・銀0・銅1) | |
18 | スロベニア | 3個(金0・銀2・銅1) | ||||
23 | ラトビア | 2個(金0・銀2・銅0) | ||||
24 | イギリス | 1個(金1・銀0・銅0) | ||||
24 | エストニア | 1個(金0・銀1・銅0) | ||||
24 | カザフスタン | 1個(金0・銀1・銅0) |
比較して思ったこと
こう見比べてみると
(1)・オリンピックもパラリンピックもメダル獲得順位がほぼ同じくらい良い国
(2)・オリンピックよりパラリンピックのほうのメダル獲得順位が大幅に良い国
(3)・パラリンピックよりオリンピックのほうのメダル獲得順位が大幅に良い国
という感じに分けることができそうです
それでまず(1)に該当しそうな国はカナダとドイツ。カナダは開催国という面もあることを考えるとドイツは本当にすごい。健常者、障害者とも冬季スポーツが浸透している証拠だと思う
次に(2)に該当しそうな国ですがまずはロシア。オリンピックのほうは過去最低のメダル獲得数でメダル獲得順が6位でしたがパラリンピックのほうは堂々の1位。ちなみにロシアのパラリンピックの金メダリストには13万5000ドル(約1215万円)の功労金が贈られるとか*3。そしてロシア以上に極端にパラリンピックで好成績を残したのがウクライナ。この国はオリンピックのほうではメダル獲得数が0だったのがパラリンピックでは獲得数が19個とカナダと同数の3位。スロバキアも似たような傾向にありますが何か理由があるのでしょうか
そして(3)に該当しそうな国ですが、ちょっと意外なところかもしれませんがまずはスウェーデン、ノルウェー。かつてスウェーデン、ノルウェーを含む北欧諸国はオリンピック、パラリンピック共メダル獲得数上位の常連だったのですが2006年のトリノから急激に北欧諸国のパラリンピックのメダル獲得数が減少しています。これはトリノからメダルの価値を上げるためメダルの数を減らそうという事になり
パラリンピック - Wikipedia
メダルの数を減らすため、障害の度合いによってポイントが加算された選手が競い、総合得点で競うルールが採用された。
というルールになった影響なのでしょうか?そして次に中国と韓国。この2国は前述のウクライナと逆の傾向で、中国はオリンピックではメダル獲得数が11個で8位なのに対してパラリンピックではメダル獲得数が0、韓国はオリンピックではメダル獲得数が14個で7位なのに対してパラリンピックではメダル獲得数が1個で18位。こちらの要因の一つはおそらく中国や韓国が力を入れているスケート系の競技がパラリンピックには無い事ではないかと思います*4
韓国が冬季オリンピックの開催地に選ばれなかったのはパラリンピックに力を入れていないから?
さてこの記事を書くにあたって過去の冬季オリンピックとパラリンピックのメダル獲得数なども見ていたのですが、それで気になったのが韓国だったりします。韓国は平昌(ピョンチャン)で冬季オリンピックを開催するために2010年、2014年と開催地として立候補しましたがいずれも僅差で落選していて、2018年の冬期オリンピックにも開催地として立候補しています。そのため競技の強化にも力を入れていて2002年のソルトレイクシティ大会からのオリンピックのメダル獲得数の推移を見てみると
開催地 | 韓国の冬季オリンピックのメダル獲得数 | メダル獲得数順位 |
---|---|---|
2002ソルトレイクシティ | 4個(金2・銀2・銅0) | 14位 |
2006トリノ | 11個(金6・銀3・銅2) | 7位 |
2010バンクーバー | 14個(金6・銀6・銅2) | 7位 |
順調にメダル数を増やして強化の成果が見えるのですが、反面パラリンピックはどうかというと
開催地 | 韓国の冬季パラリンピックのメダル獲得数 | メダル獲得数順位 |
---|---|---|
2002ソルトレイクシティ | 1個(金0・銀1・銅0) | 22位 |
2006トリノ | 0個 | * |
2010バンクーバー | 1個(金0・銀1・銅0) | 18位 |
この状況。さらに英語版wikipediaのパラリンピックの項目には大会ごとの各国の選手数も記載されているのですが、韓国はソルトレイクシティが6人、トリノが3人という選手数。パラリンピックも出場するためには
日本障害者スポーツ協会 パラリンピックとは?
この大会に出場するためには、
1・大会で定められた標準記録を突破
2・世界ランキングの上位に入り出場権を獲得
3・世界選手権大会や地域選手権大会で出場権を獲得
などの厳しい条件をクリアしさらに国内の競技団体に選考されなければならない。
とあるようにある程度世界で実績を残さないと出場できないため、選手数の少なさとこの結果はそれだけ強化に力を入れていないという感じに見られかねない。現在のオリンピックはパラリンピックとセットであるため、このあたりが開催地の選考にあたって微妙に問題視された可能性はあるのかなと
まあそのためなのかどうかわかりませんが韓国は2010年のバンクーバーのパラリンピックでは選手数を大幅に増やし(25人)*5、そしてパラリンピックの5競技全てに選手が出場しています。ただ車いすカーリングで銀メダルを獲得した以外はあまり良い結果ではありませんでした。しかしこれでパラリンピックの競技も強化に力を入れていますよというアピールはできそうなので、2018年の選考でパラリンピックのほうで問題視される可能性は低いのではないかなと思います*6
あくまで私個人の勝手な憶測ですけどね
*1:スキー、スケート、アイスホッケー、ボブスレー、バイアスロン、カーリング、リュージュ
*2:アルペン、クロスカントリー、バイアスロン、アイススレッジホッケー、車いすカーリング
*3:CNN.co.jp:ロシア大統領、パラリンピックのメダル獲得数にはご満悦
*4:ちなみ1998年の長野パラリンピックまではアイススレッジスピードレースというスケート系の競技がありました
*5:急激に増えた要因の一つはアイススレッジホッケーに出場したためでもあります
*6:ただパラリンピック:韓国、銀メダル獲得=車いすカーリング | Chosun Online | 朝鮮日報の記事を読むと練習環境や選手を取り巻く状況はかなり厳しそうではあります