Togetter - まとめ「エロゲの違法コピーにまつわる話」を読んで疑問に思ったこと
Togetter - まとめ「エロゲの違法コピーにまつわる話」
このまとめでエロゲの違法DLの状況を
エロゲ業界の人々に話を聞く。2007年の市場規模は300億円くらいで、ユーザーは200万人。だけど購入する人は50万人。あとの150万人は違法DL。正規ユーザーの三倍の不正規ユーザーという業界である話に驚く。
ASAILABO
2007年の話でエロゲのユーザー数200万人の内150万人が違法DLだと述べています。エロゲはファイルサイズが大きいためDSのソフトのようにWebサイト上での流通はほぼ無いと思われる。なので違法DLというのはおそらくファイル共有によるダウンロードの事だと思います。それでこの違法DLのユーザー数を見たとき疑問に思うことがあり社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)が毎年行っている「ファイル共有ソフト利用実態調査*1」の2007年に行われた第6回の調査をもう一度読んでみました
※資料は
ACCS - 社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会
第6回「ファイル交換ソフト利用実態調査」 | 調査報告書より
2007年のファイル共有ソフトのシェア
この調査の中でまずどのようなファイル共有ソフトが利用されているかですが2007年はこうなっています
主に利用しているファイル共有ソフト
ソフト名 | 割合 |
---|---|
Winny | 28.4% |
LimeWire | 18.3% |
cabos | 15.1% |
WinMX | 10.3% |
share | 10.2% |
Bittorrent | 8.0% |
Freenet | 3.8% |
kazae | 0.5% |
PerfectDark | 0.5% |
その他 | 4.8% |
これらのファイル共有ソフトの中である程度シェアを持つソフトの内LimeWire、cabos等のGnutella系はほぼ音楽ファイルしか流通していない*2ので、エロゲのファイルがそれなりに流通しているのは2007年だとWinny、share、WinMX、Bittorrent(以下BT)あたりになる
第6回「ファイル交換ソフト利用実態調査」のクローリング調査によるWinnyとshareのノード数
そして2007年の調査ではWinny、share、WinMXのクローリング調査をしていてWinnyとshareに関してはノード数も公開しています。ちなみノード数とはどういう数字なのかというと
Winny ノード数の推移分析 【NetAgent Co., Ltd.】
Winnyのノード数に関して
ノードとは「Winnyをインストールされたパソコンが、インターネットに接続された状態で、 Winnyを起動している(=Winnyをその時点で使用している)状態での、固有の認識番号のようなもの」を示します。
1人で複数台のパソコンをWinnyに使用する人は非常に少ないと考えられる事から、1ノード=1ユーザとカウントしています。
shareのノード数はすこしwinnyと違っていて
Share ノード数の推移 【NetAgent Co., Ltd.】
Shareのノード数に関して
Shareのノード数は単に発見されたノードを集計するだけでは計測できません。Winnyとは違い、ノード情報の寿命が長いため、発見されたノードを集計すると1日約90万ノード発見できますが、既に多くのノードはIPアドレスが変更されている、または、Shareが起動されていません。そのため、発見されたファイル情報より更新日時(ダウンロードしたファイルブロックの最新の日時)がその日と同じファイルを持つノードを集計、重複を除いたノード数が最もShareネットワークの実態ノード数に近いと考えられ、この値を1日のノード数として発表しています。ダウンロードしたファイルが全く存在しないノードは集計されていません。
それでこの第6回「ファイル交換ソフト利用実態調査」でのクローリング調査ではwinnyとshareのノード数はこうなっています
ファイル交換ソフト利用実態概要(2007年)(PDF)
ネットエージェントのクローリング調査によるWinnyとshareのノード数(2007年)
share
Share ノード数の推移 【NetAgent Co., Ltd.】
これらの調査から見て大目に見積もったとして2007年のwinnyのノード数は50万、shareが20万程度くらいかな。WinMXはノード数を公開しておらず、BTはクローリング調査をしていませんが「主に利用しているファイル共有ソフト」のアンケート調査ではWinMXはshareと同じくらいの割合、BTはそれよりすこし少ないくらいなので仮にWinMXのノード数を20万程度、BTを15万程度とすると、エロゲがある程度流通しているファイル共有ソフトの合計ノード数は115万ぐらいでしょうか。まあ単純にノード数=ユーザー数というわけではないですが目安としてはこのくらいかと
エロゲをダウンロードしている割合は?
さらにこれは当たり前の話ですがファイル共有ソフトのユーザーすべてがエロゲをダウンロードしているわけではありません。アンケート調査によればファイル共有ソフトの利用目的、およびダウンロード経験のあるファイルのジャンルはこうなっています
ファイル交換ソフトの利用に関する調査 アンケート調査報告書(2007年)(PDF)
エロゲはジャンルとしてはソフトウェアになると思いますが、ダウンロード経験があるファイルのジャンルでみるとソフトウェアは全体で23.1%。さらにファイル共有の利用目的の調査では「無料でソフトウェアがDLできる」と回答しているのが14.8%、「無料でゲームがDLできる」回答しているのが10.4%となっています。この割合はファイル共有ソフトの種類によって変わるでしょうが、個人的にはエロゲを目的にファイル共有ソフトを利用しダウンロードしている割合は全体の一割もいないくらいじゃないかと思う
違法DL150万人の可能性
第6回「ファイル交換ソフト利用実態調査」やネットエージェントの調査から見るWinny、shareのノード数、そしてファイルの需要や実際にダウンロードしているファイルから考えると、エロゲの違法ダウンロードのユーザーが150万人というは流石に多すぎるかと。ただ2007年のアンケート調査だとソフトウェアのダウンロード数の平均値はwinnyが3.7本、shareが11.6本、WinMXが9.9本、BTが17.9本となっているので、エロゲをダウンロードしている人数×ダウンロードした本数を延べ人数として、かつBTなどは海外ユーザーも多いためそういう海外の人数も含めれば150万人という可能性もあり得るのかな?まあできればこの「150万人が違法DL」という数字がどういう調査から出てきたのか知りたいところですね。
*2:2009年のファイル共有の利用に関する調査〜クローリング調査〜概要版(PDF)によると流通しているファイルの内、音楽ファイルが全体の約87%。著作物と推測されるファイルの中では96.7%を占める