在京民放キー局の2011年度第1四半期決算から見る番組制作費と視聴率

在京民放キー局の2011年度(2012年3月期)の第1四半期の決算が出揃いましたので、その決算の資料から番組制作費と視聴率などを見てみました。


※2010年度の番組制作費や推移などは2010年度(2011年3月期)の在京民放キー局の決算から見る番組制作費 - longlowの日記を見てください。
※各数字は以下のサイトにある決算の資料などから参照しました。
日本テレビ
http://www.ntv.co.jp/ir/library/presentation/booklet/index.html

TBS
http://www.tbsholdings.co.jp/ir/library/setsumeikai.html

フジテレビ
http://www.fujimediahd.co.jp/ir/presentation.html

テレビ朝日
http://company.tv-asahi.co.jp/contents/ir_setex/index.html

テレビ東京
http://www.txhd.co.jp/ir/library/kessan/index_110805_01.html


第1四半期の決算

最初に各局の第1四半期決算はこうなっています。
※括弧内の数字は前年同期比。また括弧内の数字が無いものは比較が出来ないため(−)となっています。
※△は損失です。

連結
日本テレビ TBS フジテレビ テレビ朝日 テレビ東京
売上高 700億2200万円(−3.9%) 794億7100万円(−4.5%) 1401億600万円(−3.1%) 573億4300万円(−1.8%) 264億3500万円(−2.0%)
営業利益 55億2700万円(−32.1%) 7億1700万円(−38.8%) 75億1700万円(−2.2%) 28億4700万円(20.3%) 6億1200万円(−12.8%)
経常利益 75億2100万円(−39.6%) 22億8600万円(7.8%) 89億2500万円(−12.9%) 37億8100万円(14.8%) 7億7100万円(−4.6%)
四半期純利益 46億3000万円(−37.0%) 18億1400万円(−) 60 億1900万円(9.3%) 21億8000万円(54.8%) 2億5400万円(208.8%)
単独(個別)

日本テレビは単独(個別)の第1四半期決算の記載はありません。
※TBSは前年同期比の数字が記載されていません。

TBS フジテレビ テレビ朝日 テレビ東京
売上高 494億7000万円(−) 772億9200万円(−6.9%) 479億2400万円(−9.1%) 216億2400万円(−9.8%)
営業利益 6900万円(−) 44億9100万円(−33.2%) 16億3000万円(−1.9%) △3億1200万円(−)
経常利益 10億4500万円(−) 46億6500万円(−31.8%) 23億8700万円(−18.4%) 16億900万円(93.1%)
四半期純利益 10億3900万円(−) 26億5300万円(−27.8%) 14億2800万円(−3.4%) 15億3500万円(284.8%)

第1四半期の番組制作費

そして第1四半期の番組制作費は以下のようになります。
※番組制作費にどのような費用が含まれるかは局及び年度によって違うのでその点を考慮して見て下さい。

2011年度第1四半期番組制作費 2010年第1四半期番組制作費 前年同期比 伸び率
日本テレビ 231億2500万円 236億7100万円 −5億4600万円 −2.3%
TBS 238億7700万円 242億2600万円 −3億4900万円 −1.5%
フジテレビ 241億円 258億円 −17億円 −6.5%
テレビ朝日 185億9500万円 198億7900万円 −12億8300万円 −6.5%
テレビ東京 77億8900万円 89億3900万円 −11億5000万円 −12.9%


2010年度決算時における2011年度の番組制作費の見込みからすると、

2011年度番組制作費見込み

※フジテレビは番組制作費の見込みを出していません。

日本テレビ 約915億円(+0.7%)
TBS 950億円(−0.2%)
テレビ朝日 779億円(+3.0%)
テレビ東京 335億円(+0.2%)

どの局も第1四半期からかなり番組制作費を削ってきた感じがします。それだけ震災による影響が第1四半期では大きかったのかもしれません。

第1四半期の視聴率

最後に第1四半期の視聴率ですが、個人的にはこれが一番驚きました。

第1四半期(2011年4月4日〜2011年7月3日)の視聴率

※ゴールデン(GH)、プライム(PT)、全日の視聴率はテレビ東京決算説明会配布資料(PDF)より。
※プライム2(PT2)はテレビ朝日決算説明会資料(PDF)より。
※括弧内は前年同期比です。
※HUTは総世帯視聴率*1の事です。

GH(19:00〜22:00) PT(19:00〜23:00) 全日(6:00〜24:00) PT2(23:00〜1:00)
NHK 12.1%(+0.1) 10.6%(−0.1%) 6.6%(±0.0%) *
日本テレビ 12.2%(+0.6%) 12.1%(+0.4%) 7.3%(−0.5%) 6.1%(−0.1%)
TBS 10.2%(+0.6%) 10.3%(+0.4%) 6.7%(±0%) 4.7%(−0.4%)
フジテレビ 12.5%(−0.1%) 12.6%(−0.1%) 8.0%(−0.3%) 6.7%(−0.6%)
テレビ朝日 10.9%(−0.7%) 11.5%(−0.7%) 7.1%(−0.2%) 8.4%(−0.4%)
テレビ東京 5.4%(−0.6%) 5.1%(−0.6%) 2.5%(−0.3%) 2.6%(−0.2%)
その他 6.5%(+0.1%) 6.1%(−0.1%) 4.3%(+0.2%) *
HUT 63.0%(−0.5%) 61.5%(−1.2%) 40.4%(−1.0%) *

PTと全日のHUTが前年同期に比べかなり大きなマイナスとなっています。ちなみ1997年度からのHUTの推移と合わせてみるとこんな感じになります。

1997年度以降のHUT(総世帯視聴率)の推移

※以前テレビ東京のサイトに1997年度以降のHUTが掲載されていたのですが、どうやら掲載をしなくなってしまったようです。そのため1997年度から2008年度までの数字はこの記事で使うためにメモしておいたものになります。2009〜2011年度第1四半期はテレビ東京の決算説明会資料からの抜粋です。

GH(19:00〜22:00) PT(19:00〜23:00) 全日(6:00〜24:00)
1997年度 70.1% 68.7% 44.5%
1998年度 70.5% 69.2% 45.3%
1999年度 69.4% 68.4% 45.4%
2000年度 68.6% 67.5% 44.8%
2001年度 68.7% 67.7% 45.1%
2002年度 68.0% 67.0% 44.7%
2003年度 67.0% 66.2% 44.1%
2004年度 68.3% 67.3% 44.9%
2005年度 67.6% 66.8% 44.6%
2006年度 65.8% 65.2% 43.3%
2007年度 65.8% 64.5% 43.3%
2008年度 66.0% 64.6% 43.4%
2009年度 64.3% 63.1% 42.6%
2010年度 63.9% 62.7% 41.8%
(2011年度第1四半期) 63.0% 61.5% 40.4%


まだ第1四半期の結果ではありますが1997年度以降GH、PT、全日とも過去最低を記録した2010年度を下回るHUTとなっています。

雑感

あくまで第1四半期の結果とはいえこのHUTの下落ぶりにはかなり驚きました。特に全日のHUTの低下傾向は著しく、今年度は地上デジタル放送への完全移行による影響*2やオリンピックやサッカー男子ワールドカップ、WBCなど視聴率の底上げが期待できそうな大きなスポーツイベントも特に無さそうなので、場合によっては今年度の全日のHUTが40%を割る事もあり得るかなと思います。

*1:Households Using Television:総世帯視聴率。調査対象となる世帯全体で、どのくらいの世帯がテレビ放送を放送と同時に視聴していたのかという割合。

*2:詳しくは【連載】地デジの足音 (10) あと648日の回 - アナログ停波で視聴率が大崩壊する!? | 家電 | マイコミジャーナル