6月と10月に行われた「原発とエネルギーに関する意識調査」の比較

NHK放送文化研究所福島第一原発の事故が起きた事からか原発とエネルギーに関する意識調査」という調査を6月、8月、10月と行なっています。その調査で6月の調査と10月の調査は同じ質問をしている項目が多いので、単純に比較できるわけではありませんが同じ質問項目の回答を抜き出して意識や考え方に変化があったのか、それとも無かったのか見てみました。


※資料はNHK放送文化研究所「原発とエネルギーに関する意識調査」単純集計表(PDF)「原発とエネルギーに関する意識調査」(2011年10月)単純集計表(PDF)より。
※調査概要などは以下のようになります。

6月の調査 10月の調査
調査時期 6月24日(金)〜6月26日(日) 10月28日(金)〜10月30日(日)
調査相手 全国の20歳以上の男女2652人 全国の20歳以上の男女2620人
調査回答数(回答率) 1813人(68.4%) 1775人(67.7%)

※調査方法も両方共電話法(RDD追跡法)。
※性別、年代、職業、地域なども集計表に記載されてますのでそちらも見てください。
※各数字は後に訂正される可能性があります。

原子力発電に関する質問

原子力発電に関するニュースや情報の中で、あなたが最も関心があるのはどんなことですか。次に読み上げる4つの中から、1つ選んでお答えください。

回答項目 6月の回答 10月の回答
1 福島第一原子力発電所の事故の影響 39.3% 33.7%
2 全国の原発の運転停止にともなう電力不足 12.3% 8.2%
3 全国の原発の安全対策 21.1% 25.4%
4 今後のエネルギー政策 22.3% 27.1%
5 その他 0.4% 0.3%
6 関心はない 0.1% 0.5%
7 わからない、無回答 4.5% 4.7%

あなたは、今後、国内の原子力発電所をどうすべきだと思いますか。次に読み上げる4つの中から、1つ選んでお答えください。

回答項目 6月の回答 10月の回答
1 増やすべきだ 3.0% 2.1%
2 現状を維持すべきだ 24.4% 23.2%
3 減らすべきだ 44.7% 42.3%
4 すべて廃止すべきだ 21.4% 24.3%
5 その他 0.3% -
6 わからない、無回答 6.2% 8.2%

あなたは、定期検査や地震のために運転を停止している全国の原発が運転を再開することについて、賛成ですか。反対ですか。それともどちらともいえませんか。

回答項目 6月の回答 10月の回答
1 賛成 15.8% 18.4%
2 反対 31.8% 28.5%
3 どちらともいえない 49.0% 48.9%
4 わからない、無回答 3.3% 4.2%

あなたは、福島第一原発以外の原発でも、付近の住民が避難するような事故が起きる不安を、どの程度感じますか。次に読み上げる4つの中から、1つ選んでお答えください。

回答項目 6月の回答 10月の回答
1 大いに感じる 51.3% 48.7%
2 ある程度感じる 38.7% 37.1%
3 あまり感じない 7.3% 9.2%
4 まったく感じない 0.9% 1.4%
5 わからない、無回答 1.9% 3.5%

あなたは、国の原発に関する安全管理を、どの程度信頼していますか。次に読み上げる4つの中から、1つ選んでお答えください。

回答項目 6月の回答 10月の回答
1 大いに信頼している 2.9% 2.9%
2 ある程度信頼している 24.2% 23.3%
3 あまり信頼していない 48.7% 47.7%
4 まったく信頼していない 21.7% 21.6%
5 わからない、無回答 2.5% 4.5%

あなたは、原子力発電は、今後安全基準や対策を強化すれば、安全なものにできると思いますか。れともできないと思いますか。次に読み上げる4つの中から、あなたの考えに近いものを1つ選んでお答えください。

回答項目 6月の回答 10月の回答
1 十分できると思う 7.2% 6.6%
2 ある程度はできると思う 41.1% 39.3%
3 あまりできないと思う 33.6% 33.7%
4 まったくできないと思う 14.0% 14.5%
5 わからない、無回答 4.0% 5.8%

あなたは、仮に電気料金が上がっても、原子力発電を減らすべきだと思いますか。減らすべきではないと思いますか。それともどちらともいえませんか。

回答項目 6月の回答 10月の回答
1 減らすべき 51.8% 45.3%
2 減らすべきではない 11.5% 11.0%
3 どちらともいえない 31.8% 36.2%
4 わからない、無回答 4.9% 7.4%

電力に関する質問

ところで、発電に関して、次に読み上げるAからDの事柄はどの程度重要だと思いますか。それぞれについて、「非常に重要」、「ある程度重要」、「あまり重要でない」、「まったく重要でない」の中からお答えください。

A・事故の可能性が少ないこと
回答項目 6月の回答 10月の回答
1 非常に重要 65.9% 58.9%
2 ある程度重要 22.0% 22.7%
3 あまり重要でない 4.1% 6.9%
4 まったく重要でない 2.2% 2.0%
5 わからない、無回答 5.7% 9.6%
B・電力を安定的に十分供給すること
回答項目 6月の回答 10月の回答
1 非常に重要 52.0% 50.0%
2 ある程度重要 36.1% 35.4%
3 あまり重要でない 4.1% 5.0%
4 まったく重要でない 1.6% 1.2%
5 わからない、無回答 6.2% 8.5%
C・発電経費が安く、電気料金が安いこと
回答項目 6月の回答 10月の回答
1 非常に重要 33.6% 32.7%
2 ある程度重要 42.6% 42.4%
3 あまり重要でない 14.7% 13.4%
4 まったく重要でない 2.2% 1.9%
5 わからない、無回答 6.8% 9.6%
D・温暖化防止など、環境に配慮されていること
回答項目 6月の回答 10月の回答
1 非常に重要 53.5% 52.4%
2 ある程度重要 33.2% 30.7%
3 あまり重要でない 5.2% 6.4%
4 まったく重要でない 1.4% 1.7%
5 わからない、無回答 6.7% 8.8%

あなたは、今より不便になっても、電気の使用量を減らす生活に変えるべきだという考え方に賛成ですか。反対ですか。それともどちらともいえませんか。

回答項目 6月の回答 10月の回答
1 賛成 53.0% 45.2%
2 反対 8.3% 11.6%
3 どちらともいえない 34.4% 37.0%
4 わからない、無回答 4.3% 6.2%

あなたは、今後発電に使うエネルギー源は、何を最も増やすべきだと思いますか。次に読み上げる6つの中から、1つ選んでお答えください。

回答項目 6月の回答 10月の回答
1 石油 1.9% 2.2%
2 石炭 0.5% 1.1%
3 天然ガス 7.6% 7.0%
4 水力 7.3% 7.9%
5 原子力 6.6% 5.9%
6 太陽光や風力などの再生可能な自然エネルギー 68.6% 65.7%
7 その他(具体的に) 0.4% 0.3%
8 わからない、無回答 7.2% 9.9%

この回答結果を見て様々な意見があるとは思いますが、個人的には「どちらともいえない」や「わからない、無回答」という回答の割合が全体的に増えているのが気にかかりました。福島第一原発の事故が起きてしまい、その後に事故の実態や原発及び電力に対する様々な主張、議論、情報などが時間が経過するにつれ多く出てくる事により、かえって判断がつかなくなっている人が増えているのかもしれないと思ったりしました。