ネットカフェの個室透明化について気になること

2012年になってからネットカフェについてこんな記事がありました。
午後の蒐集 : 【話題】 大阪のネットカフェ、全店で個室の密室状態解消(画像あり)
密室改善「脱・犯罪の温床」 ネットカフェ「ガラス張り」


大阪と愛知のネットカフェで個室ブースを透明化したという話ですが、透明化の理由として以下のような事が挙げられています。
密室改善「脱・犯罪の温床」 ネットカフェ「ガラス張り」

透明化の背景には、個室が犯罪に悪用されることが挙げられる。県警によると、ネットカフェなどの個室で発生した性犯罪は2010年、全国で21件に上った。名古屋市中区のマンガ喫茶でも昨年1月、女性客の個室に男が押し入る事件が発生。置き引きなどの被害も頻発している。家出した少年少女の“隠れ家”になることも多いといい、この点でも抑止効果が期待される。

このネットカフェの個室ブースの透明化は全国的な流れになっていきそうですが、個人的に気になるのはこれでかえって置き引きなどの窃盗犯が増えなきゃといいなと。それというのもネットカフェでどういう犯罪(刑法犯)が起きているのかを、警察庁が公開している「犯罪情勢」から見てみると以下のようになっているからです。

警察庁の犯罪情勢から見るネットカフェで起きている犯罪

統計|警察庁にある「犯罪情勢」においてネットカフェ・マンガ喫茶が調査対象になったのは平成21年(2009年)からのため、資料は平成21年の犯罪情勢(PDF)平成22年の犯罪情勢(PDF)と、平成23年(2011年)は現時点では上半期の犯罪情勢のみ公開されていますので平成23年上半期の犯罪情勢(PDF)から抜粋。


※「凶悪犯」、「粗暴犯」、「知能犯」、「風俗犯」、「その他刑法犯」の説明は以下のようになります。
・「凶悪犯」・・・殺人、強盗、放火、強姦
・「粗暴犯」・・・暴行、傷害、脅迫、恐喝、凶器準備集合
・「窃盗犯」・・・窃盗
・「知能犯」・・・詐欺、横領(占有離脱物横領を除く。)、偽造、汚職、背任、「公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律」に規定する罪
・「風俗犯」・・・賭博、わいせつ
・「その他の刑法犯」・・・公務執行妨害、住居侵入、逮捕監禁、器物損壊、占有離脱物横領等上記に掲げるもの以外の刑法犯

凶悪犯 粗暴犯 窃盗犯 知能犯 風俗犯 その他の刑法犯 刑法犯総数
平成21年(2009年) 17 48 3,220 663 27 136 4,111
平成22年(2010年) 13 58 3,077 538 17 112 3,815
平成23年(2011年)上半期 (12) (25) (1,321) (280) (15) (53) (1,706)


上記の通りネットカフェで起きている犯罪(刑法犯)の内、約8割ほどが窃盗犯になります。そして窃盗犯の内訳を見るとそのほとんどが「非侵入窃盗となっています。おそらく普通に客として来店して、他の客の荷物などを置き引きをするタイプの窃盗が多いのではないかと思われます。
このような状況で個室ブースを透明化した場合どうなるか?確かに中が見えるということで性犯罪やPCを使った犯罪などには効果があるかもしれません。しかし置き引きなどに対しては中が見えることで荷物の有無や場所、中に人がいるかどうかの確認が簡単に出来てしまうため、抑止効果よりもむしろ置き引きがしやすくなってしまう可能性があるのではないかと思います。
もっとも実際にどうなるかはネットカフェの個室の透明化が全国的に広まり、ある程度時間が経過してみないとわからないですが、警察がネットカフェで起こる窃盗についてどういう対策を考えているのかは気になるところです。