コンビニはタバコから離れられるか?

年齢確認にキレてコンビニのレジ破壊 63歳非常勤講師逮捕  ― スポニチ Sponichi Annex 社会
このニュースについてhttp://lkhjkljkljdkljl.hatenablog.com/さんが面白い記事を書いています。
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そして、記事の中でタバコの販売についてこう述べています。

もし、この構造的な問題をどうにかしたいのであれば「未成年者の飲酒、喫煙はすべて犯罪行為であり、万引きや傷害と本質的にはなんら変わらない」ということを周知徹底する以外に方法はないと思ってます。じゃなきゃ政府直営の公的なタバコや酒の販売ショップ限定で扱うか。つーかいっそ交番で売れや……。

また、はてなブックマークのコメントを見ると、コンビニでタバコを購入する場合でもタスポを必須にしたら良いといった意見や、コンビニを含め店頭でのタバコの販売自体を止めるべきだといった意見も見受けられます。確かにそのような措置をすれば今回のようなトラブルや未成年のタバコの購入を防ぐには非常に効果的でしょう。しかし、全てのコンビニがタバコの販売についてさらなる制限を課したり、止めたりするのは難しいのではないかと思っています。
というのも、コンビニにおいてタバコというのは非常に売上が大きい商品だからです。このあたりローソンの資料からタバコの売上を見るとこんな感じになっています。

ローソンにおけるタバコの売上状況

※分類の詳細は以下のようになります。
・ファーストフード:米飯、麺、調理パン(サンドイッチ等)、デリカ、ファーストフードなど。
・日配食品:ベーカリー、デザート、アイスクリーム、生鮮食品など。
・加工食品:飲料、酒類、タバコ、加工食品、菓子など。
・非食品:日用品、本、雑誌など。
※各数字は後に訂正される可能性があります。

2012年度第3四半期累計の商品別販売構成の推移及び総荒利益率(単体、全店)

決算発表 - ローソン2012年2月期第3四半期決算補足資料(PDF)22Pより。

分類 売上 構成比 総荒利益率
ファーストフード 2671億円 20.8% 38.2%
日配食品 1624億円 12.6% 34.7%
加工食品 7225億円 56.2% 24.0%
(加工食品のうち、タバコ) (3608億円) (28.1%) (10.5%)
非食品 1329億円 10.4% 45.8%
合計 1兆2851億円 100.0% 30.5%
2007年度から2011年度までの商品群別構成比の推移(連結、チェーン全店)

アニュアルレポート - ローソンアニュアルレポート2012(PDF)45Pより。

分類 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度
ファーストフード 23.1% 21.4% 19.5% 19.1% 18.9%
日配食品 11.5% 11.9% 14.3% 15.7% 14.4%
加工食品(タバコを除く) 33.8% 32.2% 32.7% 30.6% 30.2%
タバコ 17.6% 22.0% 21.5% 22.7% 25.8%
非食品 14.0% 12.5% 12.0% 11.9% 10.7%


2007年度から2011年度までの商品群別売上高の推移(連結、チェーン全店)

アニュアルレポート - ローソンアニュアルレポート2012(PDF)45Pより。

分類 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度
ファーストフード 3275億100万円 3328億9400万円 3241億9700万円 3218億6500万円 3454億2400万円
日配食品 1626億2500万円 1861億900万円 2390億8800万円 2641億6900万円 2631億7900万円
加工食品(タバコを除く) 4770億500万円 5018億7400万円 5437億600万円 5152億5900万円 5519億5300万円
タバコ 2497億4500万円 3424億5000万円 3586億円 3821億6700万円 4706億6600万円
非食品 1982億3000万円 1954億5300万円 2005億4400万円 1993億5000万円 1945億8600万円



ローソンにおけるタバコの売上と全体の売上に占める構成比は、タスポの導入と増税の効果もあってか年々増加傾向にあり、直近の決算の2012年度第3四半期累計だと単体・全店でタバコの売上は全体の28.1%を占めています。そして、このタバコの売上状況は他のコンビニでもそう大きな違いは無いのではないかと思われます。
そのため、もしコンビニでタバコの販売についてさらなる制限を課したり、販売自体を中止したりするとこれだけの売上と、「タバコのついでに何かを買う」というような需要を見込めなくなる可能性があるかと思います。もっとも、コンビニの加盟店側としてはタバコは荒利益が低い商品のため、
酒タバコの年齢確認について - 24時間残念営業

ぶっちゃけタバコ売れたって儲け出ねえからどうでもいいわ。あれ値入圧迫するから売れかたによっては逆に店の利益減るん……。

というのが本音なのかもしれませんが、売上の数字を作りたい本部としてはタバコの販売についてトラブルや問題があっても現状を維持したいのではないかと。なので、さらなるタバコの増税や健康意識の高まりなどにより、タバコの売上が激減しない限りはコンビニはタバコから離れられないのでないかなと個人的にそう考えています。