コミケが東京ビックサイトの経営に与える影響について考えてみました
ビッグサイトの経営状態と余談 - Togetter
上記のまとめでコミケがどのくらい東京ビックサイトの経営に影響を与えているか?という事についていくつか意見が述べられています。それでコメント欄でも触れられている方がいらっしゃいますが、東京ビックサイトはサイト上で基本的な決算資料を開示していますので現在閲覧が可能な2008年度(平成20年度)から2012年度(平成24年度)までの収益状況からコミケがビックサイトの経営に与える影響について考えてみました。
※決算の数字は株式会社東京ビッグサイト 決算報告にある以下の資料より抜粋。
第68期 (平成21年3月期) 貸借対照表、損益計算書(PDF)
第69期 (平成22年3月期) 貸借対照表、損益計算書(PDF)
第70期 (平成23年3月期) 貸借対照表、損益計算書(PDF)
第71期 (平成24年3月期) 貸借対照表、損益計算書(PDF)
第72期 (平成25年3月期) 貸借対照表、損益計算書(PDF)
※千円以下の金額は切り捨ててあります。
株式会社東京ビックサイトの営業収益(売上)、営業利益、経常利益、当期純利益の推移
まず、2008年度(平成20年度)から2012年度(平成24年度)までの東京ビックサイトの収益状況を見てみます。
※当期純利益は税引き後の金額になります。
営業収益(売上) | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | |
---|---|---|---|---|
2008年度(平成20年度) | 247億3045万円 | 62億42万円 | 55億1948万円 | 34億7062万円 |
2009年度(平成21年度) | 210億7097万円 | 48億3043万円 | 52億9417万円 | 34億3872万円 |
2010年度(平成22年度) | 205億6732万円 | 48億3732万円 | 43億4264万円 | 24億9444万円 |
2011年度(平成23年度) | 194億7429万円 | 51億3825万円 | 47億5324万円 | 34億22万円 |
2012年度(平成24年度) | 200億5709万円 | 48億5647万円 | 45億6526万円 | 28億1959万円 |
上記の内、営業収益(売上)は「会場運営事業収入」、「主催事業収入」、「賃貸事業収入」、「その他事業収入」から成り立っており、以下の様に推移しています。
会場運営事業収入 | 主催事業収入 | 賃貸事業収入 | その他事業収入 | |
---|---|---|---|---|
2008年度(平成20年度) | 108億8886万円 | 23億7706万円 | 106億1736万円 | 8億4715万円 |
2009年度(平成21年度) | 103億3486万円 | 2億8779万円 | 98億4579万円 | 6億250万円 |
2010年度(平成22年度) | 94億1369万円 | 19億2101万円 | 87億4737万円 | 4億8524万円 |
2011年度(平成23年度) | 102億8651万円 | 7億3945万円 | 80億3104万円 | 4億1728万円 |
2012年度(平成24年度) | 97億2497万円 | 20億5871万円 | 78億6185万円 | 4億1155万円 |
コミケが東京ビックサイトの経営に与える影響と雑感
コミケの主催者がビックサイトにいくらの使用料を支払っているのか正確な金額はわかりませんが、東京国際展示場|主催者の方|料金表|展示ホール 利用料金表を見ると展示ホールを全て借りた場合の利用料金は1日約3200万円。それに電気、空調、通信回線等は別料金でかかります。
単純に展示ホールの利用料金だけで見るとコミケは展示ホールを全て使用し、開催期間は3日+準備に1日ですから1回で4日間。それが夏と冬の2回開催されますから計8日で約3200万円×8=約2億5600万円。東京ビックサイトの2012年度(平成24年度)の営業収益(売上)が200億5709万円ですから営業収益(売上)に占める割合は約1.28%、「会場運営事業収入」で見ると約2.63%になります。先に述べたようにこれは展示ホールの利用料金のみで電気や空調等の料金は含まれてはいませんが、東京ビックサイトは利益面で見ても堅実な経営をしており仮にコミケが無くなったとしても経営に与える影響は軽微でしょう。一方、コミケは8月のお盆時期と12月の年末とビックサイトを使用するような大きい展示会などを開催しづらい時期に全ホールを使って開催してくれるため、周辺のホテルや飲食業なども含めて比較的良いお客さんでもあるでしょうから、東京ビックサイトとしては大きい問題でも起きない限りは現状コミケの開催を断るといった事をするつもりは無いのではないかと思います。
ただ、これは経営的な考え方であり東京ビックサイトは東京都が間接的に73.51%の株式を保有*1しているため、東京都の意向を強く受けざるを得ない会社でもあります。特に現在の都知事や都議会の勢力はお世辞にもコミケに対して好意的とは言えないでしょうから、今後も東京ビックサイトでコミケを開催できるかどうについては不透明な状況が続く可能性が高いのではないかと思います。
*1:東京ビックサイトの親会社は東京臨海ホールディングスで株式を73.51%保有しています。その東京臨海ホールディングスは東京都が85.12%の株式を保有しているため間接的に東京都が東京ビックサイトの株式を73.51%保有している事になります。