家計消費状況調査から見る「電子マネー」の普及状況

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私はSuica楽天Edyのようないわるゆる「電子マネー」を所持していないのですが、こういう電子マネー関連のニュースを見るたびに実際どのくらい電子マネーが普及しているのものなのか気になりました。それで、ちょうど総務省統計局が公開している家計消費状況調査電子マネーの利用状況などの調査がされているICT関連の2013年(平成25年)の平均結果が公開されましたので、電子マネーの利用状況が調査対象になった2008年(平成20年)からの普及の推移等をまとめてみました。


※各数字は以下の資料より抜粋。

2008年(平成20年) : 家計消費状況調査−IT関連項目−2008年電子マネー等関連の利用状況−全国・地方・都市階級別(xls)
2009年(平成21年) : 家計消費状況調査−IT関連項目−2009年電子マネー等関連の利用状況−全国・地方・都市階級別(xls)
2010年(平成22年) : 家計消費状況調査−ICT関連項目−2010年電子マネー等関連の利用状況−全国・地方・都市階級別(xls)
2011年(平成23年) : 家計消費状況調査−ICT関連項目−2011年電子マネー等関連の利用状況−全国・地方・都市階級別(xls)
2012年(平成24年) : 家計消費状況調査−ICT関連項目−2012年電子マネー等関連の利用状況−全国・地方・都市階級別(xls)
2013年(平成25年) : 家計消費状況調査−ICT関連項目−2013年電子マネー等関連の利用状況−全国・地方・都市階級別(xls)

※この調査の対象となっている電子マネー

統計局ホームページ/家計消費状況調査 用語の説明 ICT関連項目
この調査での電子マネーとは、事前に現金と引き換えに金銭的価値が発行されたICカードプリペイドカード等のこと。
 例) SuicaICOCAPASMOnanacoWAON楽天EdyWebMoneyBitCash、クオカードなど。

電子マネーの普及状況の推移(全国平均)

最初に全国の電子マネーの普及状況と利用する場所の状況になります。

電子マネーを"持っている"世帯員がいる 電子マネーを"利用した"世帯員がいる 電子マネーを利用した1世帯当たり平均利用金額
2008年(平成20年) 24.4% 18.0% 8,104円
2009年(平成21年) 28.3% 21.0% 8,431円
2010年(平成22年) 33.9% 27.4% 9,325円
2011年(平成23年 35.6% 29.0% 10,457円
2012年(平成24年 38.7% 32.6% 10,283円
2013年(平成25年) 43.2% 36.4% 10,803円
電子マネーの利用回数が最も多かった場所の推移
2008年(平成20年) 2009年(平成21年) 2010年(平成22年) 2011年(平成23年 2012年(平成24年 2013年(平成25年)
交通機関(定期券での利用は除く) 12.5% 14.3% 15.3% 15.4% 17.3% 16.6%
コンビニエンスストア 3.2% 3.9% 4.6% 5.8% 6.3% 6.2%
スーパーマーケット * * 6.0% 6.2% 7.2% 9.2%
飲食店 0.3% 0.3% 0.3% 0.3% 0.3% 0.3%
ドラッグストア 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% 0.1%
大型電気店 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% 0.2% 0.1%
自動販売機(飲料等) 0.2% 0.2% 0.1% 0.3% 0.2% 0.3%
インターネットショッピングの決済 0.3% 0.2% 0.2% 0.3% 0.2% 0.6%
その他 1.0% 1.7% 0.6% 0.5% 0.7% 0.6%

地域別の普及状況

次に、北海道、東北*1、関東*2、北陸*3、東海*4、近畿*5、中国*6、四国*7、九州・沖縄*8の普及状況になります。

地域別の電子マネーを持っている世帯員がいる割合
 北海道   東北   関東   北陸   東海   近畿   中国   四国  九州・沖縄
2008年(平成20年) 11.1% 12.2% 44.3% 12.7% 11.8% 18.8% 13.4% 10.5% 11.3%
2009年(平成21年) 17.9% 17.0% 48.0% 16.3% 17.7% 22.7% 16.6% 14.1% 11.6%
2010年(平成22年) 19.2% 23.8% 52.7% 24.4% 21.7% 28.3% 23.8% 19.5% 20.1%
2011年(平成23年 30.6% 23.8% 54.7% 16.3% 29.9% 26.6% 25.5% 12.9% 20.8%
2012年(平成24年 27.1% 24.5% 58.9% 21.8% 31.3% 33.2% 24.5% 18.6% 22.2%
2013年(平成25年) 27.8% 33.8% 60.3% 22.7% 37.7% 35.9% 31.4% 38.5% 29.3%
地域別の電子マネーを利用した世帯員がいる割合
 北海道   東北   関東   北陸   東海   近畿   中国   四国  九州・沖縄
2008年(平成20年) 5.4% 7.1% 36.9% 6.7% 6.5% 11.4% 7.6% 6.3% 6.4%
2009年(平成21年) 9.5% 9.3% 40.6% 6.9% 10.9% 14.5% 9.5% 7.9% 6.5%
2010年(平成22年) 14.2% 16.8% 45.9% 15.2% 15.5% 21.4% 18.4% 13.1% 15.1%
2011年(平成23年 22.2% 16.4% 47.0% 10.5% 24.7% 20.8% 17.2% 9.0% 16.1%
2012年(平成24年 19.3% 19.6% 52.3% 16.1% 24.7% 27.7% 19.2% 13.3% 16.3%
2013年(平成25年) 21.6% 26.6% 54.3% 14.1% 30.8% 29.5% 23.9% 26.9% 22.0%

2013年(平成25年)の地域別の「電子マネーの利用回数が最も多かった場所」

最後に2013年(平成25年)の地域別の「電子マネーの利用回数が最も多かった場所」になります。
家計消費状況調査−ICT関連項目−2013年電子マネー等関連の利用状況−全国・地方・都市階級別(xls)より抜粋。

 北海道   東北   関東   北陸   東海   近畿   中国   四国  九州・沖縄
交通機関(定期券としての利用は除く) 3.4% 2.1% 32.9% 3.0% 9.5% 13.1% 2.6% 3.0% 4.5%
コンビニエンスストア 4.5% 6.8% 8.2% 4.1% 6.6% 4.0% 4.8% 3.1% 4.6%
スーパーマーケット 11.1% 14.9% 6.5% 4.8% 10.4% 8.6% 14.0% 17.7% 10.5%
飲食店 0.3% 0.0% 0.4% 0.2% 0.3% 0.2% 0.2% 0.2% 0.1%
ドラッグストア 0.0% 0.1% 0.1% 0.1% 0.2% 0.1% 0.1% * 0.1%
大型電気店 * 0.0% 0.1% 0.1% 0.1% 0.1% * * 0.1%
自動販売機(飲料等) * * 0.4% * 0.1% 0.3% 0.0% 0.1% 0.2%
インターネット上(ショッピング等の決済) 0.2% 0.4% 0.7% 1.0% 0.4% 0.8% 0.4% 1.2% 0.1%
その他 0.6% 0.7% 0.6% 0.3% 0.6% 0.5% 0.4% 0.6% 0.7%

四国の電子マネーの所持率について思うこと

電子マネーの普及状況は地域でかなり隔たりがあり、関東が突出して高く60%以上電子マネーを所持している世帯員がいるのに対して、他の地方は20%後半〜30%後半となっています。さて、その地域別の電子マネーを「持っている世帯員」と「利用した世帯員」の割合を見ていて気になった地域がありまして、それが「四国」です。2012年と2013年を比較すると電子マネーの持っている世帯の割合は全地域、利用した世帯員がいる割合は北陸以外の地域が伸びているのですが、四国は持っている世帯員が18.6%→38.5%。利用した世帯員が13.3%→26.9%と倍以上となっており他地域と比較して圧倒的に高い伸び率となっています。
何故こんなに伸びているのかなと疑問に思ったのですが、ちょっと調べてみると四国の大手スーパー「フジ」が2013年3月から電子マネー機能付きの会員カードを導入という記事をみかけまして、
フジ、電子マネー付き会員カード導入。 | リテールテックJAPAN

【松山】中四国が地盤のスーパー大手のフジは3月1日から、電子マネー付きの顧客向け会員カードを導入する。名称は「エフカ」で既存のポイントカード「エフカード」など3種類は8月末でサービスを終了する。電子マネーの機能が加わることで、レジでの支払いを素早く済ますことができる。

これが大きく伸びた理由の一つなのではないかなと。というのも、公共交通機関が発達している首都圏や大都市近郊だと交通系の電子マネーを持っていると便利で、それが電子マネーを持っておこうという動機になると思われます。しかし、私が住んでいる所もそうなのですが公共交通機関が貧弱な地方だと自家用車での移動が基本となり交通系の電子マネーはあまり利用する機会が無い。では、何が電子マネーを持とうという動機になるかというと身近な買い物での利用ではないかと思います。特にスーパーは電子マネーにポイントの増額・還元や割引、さらに電子マネーの作成時にポイント付与などのサービスを行うところがあり、「フジ」の電子マネーもポイントの増額サービスがあるようなので、それに惹かれて電子マネーを所持した人がいた結果が四国の電子マネーの所持率の伸びに少なからず影響したのではないかと。そう考えると今後、電子マネーの普及が遅れている地方での普及を拡大するなら、スーパー等で利用できる買い物系の電子マネーをいかに増やせるかがポイントになるのかもしれません。

*1:青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県

*2:茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県

*3:新潟県富山県、石川県、福井県

*4:岐阜県静岡県、愛知県、三重県

*5:滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県和歌山県

*6:鳥取県島根県岡山県広島県山口県

*7:徳島県香川県愛媛県高知県

*8:福岡県、佐賀県長崎県熊本県大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県