公営競技のファンの立場で見た元SMAPの3人と森且行選手が共演した生放送の感想

元SMAP:香取、稲垣、草なぎが森且行と21年ぶり共演 抱き合って再会喜ぶ - MANTANWEB(まんたんウェブ)
私もAbemaTVの「72時間ホンネテレビ」でこの共演をリアルタイムで見てました。私はさほどSMAPに思い入れはありませんが、公営競技のいちファンとして生放送の内容には本当に驚かされました。
Twitterでも公営競技のファンらしき方がこの生放送についてツイートしていましたが、





公営競技のファンの人にとっては驚愕の生放送だったと思います。というのも、公営競技の本場開催に参加している選手は公正確保(八百長等、不正行為防止)のために様々な制約が課せられています。
放送中に森且行選手も言及していましたが主な制約として、

・通信機器の持ち込み、使用禁止。通信機器は携帯電話やスマートフォン以外にも、通信機能があるゲーム機等も含まれます。*1
・本場開催中に競技場及び選手宿舎からの外出禁止。
・外部の第三者との接見の制限。

などがあります。そのような制約がある中で、しかも「日本選手権オートレース(SG)」というビッグレースに参加している森且行選手が、まだ最終日の競走が明日あるにも関わらず自身のレース終了後すぐに元SMAPの3人と競技場内で会い、その上3時間以上かけて選手食堂、選手宿舎、走路、選手が競走車を整備する選手ロッカーを案内しながらのトークを生放送する。

リアルタイムで見ていた時は、よくこのような放送が出来たものだと本当に信じられない思いでした。生放送中のトークの発言内容や番組スタッフの行動によって公正確保に問題が生じれば、最悪開催中止になる可能性もあったでしょう。

おそらく、番組製作関係者、浜松オートレース場、JKA*2で綿密な交渉と調整があったと思われます。

浜松オートレース場からの生放送が実現出来た理由は?

ただ、このような放送が実現出来たのはオートレースだったからこそと個人的には考えています。もし、森且行選手が競馬の騎手や競輪、ボートレースの選手だったら、放送のリスクが高すぎて放送自体実現出来無かったか、もしくは10〜15分程度会うくらいが精一杯だったと思います。

それが、オートレースでは3時間以上も本場開催中の場内で生放送が出来た理由には、オートレース公営競技の中で最も苦境に立たされている事も関係していると思います。
現状、オートレースは平成3年度(1991年度)をピークに売上が長期下落傾向にあります。
産業構造審議会 製造産業分科会 車両競技小委員会(第2回)‐配布資料(METI/経済産業省)資料2-1 競輪・オートレースを巡る最近の状況について(PDF)より引用。

その影響を受けて2016年3月には船橋オートレース場が閉鎖となり、残るオートレース場は伊勢崎、川口、浜松、飯塚、山陽の5場となっています。このままの状況が続けば10年後にオートレース自体が廃止になる可能性もありえます。

それはオートレース関係者も理解しているでしょう。なので、リスクがあろうとも少しでもオートレース知名度と売上を高めるために、このような生放送に浜松オートレース場森且行選手も、そして日本選手権に出場していた選手も協力したのだと思います。

そのあたりの事を番組を見ていた人が感じてくれて、オートレース場に来場してくれる、もしくは100円でも車券を買ってくれれば、生放送に協力したオートレース関係者としては本望ではないでしょうか。

*1:実際に競輪で通信機能があるゲーム機を選手宿舎に持ち込んで、開催中のレース出場契約を解除されて即刻帰郷処分になったケースがあります。ゲーム機を選手宿舎に持ち込んだ競輪選手が失格 (デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース

*2:競輪とオートレースを統括する公益法人