放送番組も納本されるべきじゃないのかな

納本制度の話でもう一つ。現在国立国会図書館法で規定されている納本対象は

一 図書
二 小冊子
三 逐次刊行物
四 楽譜
五 地図
六 映画フィルム
七 前各号に掲げるもののほか、印刷その他の方法により複製した文書又は図画
八 蓄音機用レコード
九 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつては認識することができない方法により文字、映像、音又はプログラムを記録した物

以上の物です。ただし映画フィルムは対象ではあるんですが附則の規定により納本を免除されていて、現状は東京国立近代美術館フィルムセンターがその代わりの役目を負っている形になっています


そして2002年に「ネットワーク系出版物」(インターネット上の情報)を納本制度に組み入れるかどうかの諮問が行われました。その後何回か審議会や小委員会が開かれてまあ結論としては現状の納本制度には組み入れないという事*1になったのですがその議論の中に「放送番組」も納本対象にすべきでは?という話もありました

放送も広義で見ればネットワークに含まれるわけでそういう事から議論があったのですが比較的早い時点で納本制度には組み入れないという結論になりました。ただ個人的には放送は納本制度に組み入れるべきじゃないのかなと思っています。その理由の一つとして放送法上の保存期間が短すぎる
e-GovSearch

(放送番組の保存)
第五条  放送事業者は、当該放送番組の放送後三箇月間(前条第一項の規定による訂正又は取消しの放送の請求があつた放送について、その請求に係る事案が三箇月を超えて継続する場合は、六箇月を超えない範囲内において当該事案が継続する期間)は、政令で定めるところにより、放送番組の内容を放送後において審議機関又は同条の規定による訂正若しくは取消しの放送の関係者が視聴その他の方法により確認することができるように放送番組を保存しなければならない。

つまり何かしらの請求がないかぎり3ヶ月間保存していればいいことになる。もっとも放送局も後で使用する場合もあるかもしれないからそれ以上の期間でも保存してはいるでしょうけど


まあ放送番組を納本対象にしようとすると著作権、肖像権、出演者の許諾、納本されることによる二次使用(納本されれば当然閲覧できるようにするわけでそれによるDVDの売上げ等)への影響などなど難しい問題が多いのはわかるのですが、放送は影響力が大きいにも関わらず新聞や雑誌などと違い内容の事後検証等ができにくい現状はどうかと思うのです。できればニュースや報道番組だけでも納本対象にして後からでも閲覧できるようにするべきじゃないかなと。もしかしたらそれがさまざまな放送局の問題を解決してくれる手立ての一つになってくれるかもしれませんしね

*1:あくまで現状の納本制度に組み入れないという話で新しい法律、制度を作って収集をやろうという動きはあるようです(問題多すぎで実現は困難とも言われてる)。実際国立国会図書館WARPというインターネット情報の収集事業を行っています。ただしこれはあらかじめ登録しているサイトや電子雑誌を収集するだけですが