私的録音補償金をどこの団体にいくら分配している?
この記事で私的録画補償金の分配状況を見てみたので、ついでに私的録音補償金の分配状況もまとめてみました
※資料は私的録音補償金管理協会のhttp://www.sarah.or.jp/info/info04.htmlより
分配の原資
まずは私的録音補償金の受領額ですが、平成20年度(2008年4月1日〜2009年3月31日)の受領額は673,911,903円になり、内訳は特定機器*1 からが362,992,831円、特定記録媒体*2からが310,919,072円になります
そしてそこから管理手数料及び共通目的基金の控除と平成19年度の収支差額や受取利息の加算があり635,192,216円が各団体に分配する基金となります
私的録音補償金管理協会の構成団体に対する分配額
私的録画補償金管理協会(以下sarah)の構成団体は日本音楽著作権協会 (JASRAC)、日本芸能実演家団体協議会、日本レコード協会 (RIAJ)の3団体で、それぞれの分配額はこうなっています
権利者区分 | 団体名 | 分配額 | 分配比率 |
---|---|---|---|
著作権者 | 日本音楽著作権協会 (JASRAC) | 228,669,198円 | 36% |
実演家 | 日本芸能実演家団体協議会 | 203,261,509円 | 32% |
レコード製作者 | 日本レコード協会 (RIAJ) | 203,261,509円 | 32% |
そしてそれぞれの団体の権利者への分配ですが日本芸能実演家団体協議会と日本レコード協会 (RIAJ)は、クレーム基金や手数料の控除や過去のクレーム基金の加算などを差し引き、以下の金額をそれぞれの団体の規定により権利者に分配している
団体名 | 権利者への分配額 |
---|---|
日本芸能実演家団体協議会 | 177,333,442円 |
日本レコード協会 (RIAJ) | 206,591,877円 |
日本音楽著作権協会 (JASRAC)についてはちょっと複雑で、まず分配された資金を音楽(219,141,314円)と言語(9,527,884円)に区分し、言語に分配されたほうの資金を日本脚本家連盟へ分配しています
次に音楽に分配された219,141,314円を日本音楽著作権協会 (JASRAC)への委託者分と非委託者分に区分し、日本音楽著作権協会 (JASRAC)の委託者への分配金は211,861,747円(分配手数料控除)になります。また日本音楽著作権協会 (JASRAC)と同じく音楽著作権の委託業務をしている(株)イーライセンスと(株)ジャパン・ライツ・クリアランスにも合わせて5,243,485円が分配されています
私的録音補償金制度の今後
私的録音録画補償金制度の見直しについてにある資料を見ると、私的録音補償金の受領額は平成12年度には4,036,248,000円もありました。それが平成20年度は673,911,903円ですから私的録音補償金の受領額は非常に減少しています
理由はMDに代わり売上を伸ばしたiPodなどのハードディスク内蔵型のデジタルオーディオプレーヤーが私的録音補償金の補償対象になっていないからですが、これについて日本音楽著作権協会、日本芸能実演家団体協議会等の権利者団体はiPodなどのデジタルオーディオプレーヤーに加え汎用のハードディスクにも補償対象にするように求めていますが議論は平行線のままです
ただ、ここまで私的録音補償金の受領額が減少してしまうと制度を維持すること自体に問題も出てくる可能性もありますし、もしかしたらそのうち裁判などの強攻策に出る可能性もあるのかなと思ったりしています