2011年11月の全国接触率調査から見る地デジ完全移行後の普及状況
以前2011年6月の全国接触率調査から見る地デジの普及状況という記事で、地上デジタル放送(以後地デジ)完全移行直前の普及状況をNHK放送文化研究所が公開している「全国接触率調査」から見てみましたが、12月19日に地デジ完全移行後初めての全国接触率調査が公開されましたので、その調査から完全移行後の地デジの普及状況も見てみようと思います。
2011年11月の全国接触率調査から見る地デジの普及状況
※資料はNHK放送文化研究所の2011年11月全国接触者率調査(PDF)より。
※調査時期や調査方法は以下のようになっています。
2.調査時期
2011年11月14日(月)〜20日(日)
3.調査方法
配付回収法(日記式調査票に1日単位で記入)
4.調査対象
全国7歳以上の国民
5.調査相手
住民基本台帳から層化無作為2段抽出3,600人(12人×300地点)
※東日本大震災のため、福島県の1地点で調査中止
2011年11月の調査では地デジ完全移行後という事もありテレビの台数に対する質問が2011年6月までの調査とは変わっています。これまでだとテレビの台数に対する質問は、
質問5 「お宅には、テレビが何台ありますか。」
質問6 「それでは、「地上デジタル放送」を受信しているテレビは何台ありますか。」
という形でテレビの台数と地デジを受信している台数と別々に質問していたのが、今回からは、
質問5 「お宅には、テレビが何台ありますか。(7月24日のデジタル化により、テレビ放送が受信できなくなったテレビは除いてお答ください。)」
という質問のみになり、地デジを受信できるテレビの台数だけを質問する形になっています。
この質問に変わり2011年11月の回答結果はこうなっています。
質問5 お宅には、テレビが何台ありますか。(7月24日のデジタル化により、テレビ放送が受信できなくなったテレビは除いてお答ください。)
台数 回答結果 1台 32.4% 2台 32.5% 3台 18.9% 4台 9.4% 5台以上 5.1% ない 1.7% 無回答 0.1%
前回の2011年6月の回答結果*1と比べると以下のようになっています。
2011年6月のテレビ台数(地デジ受信不可のテレビも含む) | 2011年6月の地デジ受信可能テレビ台数 | 2011年11月のテレビ台数(地デジが受信できるテレビのみ) | |
---|---|---|---|
1台 | 27.0% | 38.1% | 32.4% |
2台 | 31.7% | 28.5% | 32.5% |
3台 | 21.5% | 12.7% | 18.9% |
4台 | 10.8% | 5.6% | 9.4% |
5台以上 | 7.3% | 2.9% | 5.1% |
ない | 1.5% | 10.8% | 1.7% |
わからない | * | 1.1% | * |
無回答 | 0.2% | 0.3% | 0.1% |
さらにこの調査が公開された2008年6月からの「それでは、「地上デジタル放送」を受信しているテレビは何台ありますか。」の回答結果*2と、今回の調査の回答結果を合わせた推移はこうなっています。
2008年6月 | 2008年11月 | 2009年6月 | 2009年11月 | 2010年6月 | 2010年11月 | 2011年6月 | 2011年11月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1台 | 27.8% | 31.9% | 35.9% | 38.6% | 39.0% | 43.1% | 38.1% | 32.4% |
2台 | 7.6% | 8.9% | 11.6% | 13.5% | 18.5% | 21.9% | 28.5% | 32.5% |
3台 | 1.7% | 2.2% | 3.0% | 4.3% | 6.1% | 9.5% | 12.7% | 18.9% |
4台 | 0.4% | 0.5% | 0.8% | 1.3% | 2.4% | 3.0% | 5.6% | 9.4% |
5台以上 | 0.2% | 0.1% | 0.3% | 0.5% | 0.9% | 1.3% | 2.9% | 5.1% |
ない | 59.2% | 53.8% | 46.5% | 39.8% | 31.3% | 20.1% | 10.8% | 1.7% |
わからない | 2.5% | 2.2% | 1.3% | 1.7% | 1.6% | 0.9% | 1.1% | * |
無回答 | 0.6% | 0.4% | 0.3% | 0.2% | 0.2% | 0.2% | 0.3% | 0.1% |
雑感
地デジへの完全移行から約4ヵ月後に行われた今回の2011年11月の調査では地デジを受信できるテレビが「ない」と回答している割合が1.7%となっており、また保有台数も3台以上保有している世帯の割合がかなり増加してきているなど、世帯にあるテレビの地デジ移行はだいたい完了したのかなと思います。
となると今後しばらくの間はテレビの需要が大きくなる事は無いかと思われます。実際、JEITA 一般社団法人電子情報技術産業協会で公開されている2011年民生用電子機器国内出荷統計の「薄型テレビ」の出荷実績を見てみると、
2011年 民生用機器主要品目国内出荷実績(数量)
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
数量 | 143万9000 | 162万2000 | 215万3000 | 171万9000 | 161万1000 | 282万6000 | 270万2000 | 126万2000 | 113万8000 | 74万6000 | |
前年比 | 129.2% | 116.4% | 97.1% | 124.3% | 128.0% | 174.2% | 164.8% | 73.8% | 52.1% | 26.3% |
8月以降は出荷実績が大幅に減少してきています。ここ最近は日本の家電メーカーがテレビ事業の縮小や撤退などのニュースが出てきていますが、国内の需要減少に加え円高傾向という状況からすると、それもやむを得ないのかなと思います。
*2:放送に関する世論調査 | NHK放送文化研究所にある2008年6月からの全国接触率調査から抜粋。