バンクーバーオリンピックに派遣された「役員」の人数について

ちょっと前の話ですがバンクーバーオリンピックの開催中にスピードスケートのメダリストである清水宏保さんがasahi.com(朝日新聞社):スポーツ後進国 日本 - @バンクーバー - バンクーバーオリンピック2010というコラムを書いて話題になっていましたが、このコラムの中でJOCの役員についてこう触れています


asahi.com(朝日新聞社):スポーツ後進国 日本 - @バンクーバー - バンクーバーオリンピック2010

バンクーバー五輪では、JOCの役員、メンバーが大挙して現地入りしている。予算は限られている。そのため、選手を手塩にかけて育てたコーチや、トレーナーがはじき出され、選手に快適な環境を提供できていない。お金の使い方が逆だろう。


実際JOC - バンクーバー2010日本代表選手団 編成数を見ると選手団の総数205人の内、選手数が94人に対して役員数が111人と一見するとたしかに役員の数が多く無駄に見えます
しかし、これは「役員」という言葉が悪いと思うのですが、この役員の中には監督、コーチ、トレーナー、ドクター等が含まれています。それで監督、コーチ、トレーナー等の人数を日本が出場した競技ごとにまとめるとこうなります

競技ごとの選手数と役員数
競技名 選手(男子) 選手(女子) 選手合計数 監督 コーチ トレーナー ドクター 総務 技術スタッフ 役員合計数
アルペン 2 0 2人 1 4 1 0 0 0 6人
クロスカントリー 2 4 6人 1 3 1 0 0 0 5人
ジャンプ 5 0 5人 1 2 1 0 0 0 4人
ノルディック複合 5 0 5人 1 2 1 0 0 0 4人
フリースタイル 5 5 10人 1 5 3 0 0 0 9人
スノーボード 5 7 12人 1 6 1 0 0 0 8人
スピードスケート 10 9 19人 1 8 3 1 2 2 17人
フィギュアスケート 4 4 8人 1 10 4 0 1 0 16人
ショートトラック 3 5 8人 1 2 1 1 0 2 7人
バイアスロン 1 1 2人 1 1 0 0 0 0 2人
ボブスレー 4 2 6人 1 2 0 0 0 0 3人
ケルト 2 1 3人 1 1 1 0 0 0 3人
リュージュ 1 2 3人 1 1 0 0 0 0 2人
カーリング 0 5 5人 1 2 1 0 0 0 4人
合計 49 45 94人 14 49 18 2 3 4 90人

カーリングの「チームリーダー」はコーチに含めています


そして競技以外の本部の役員数は以下のようになります

本部の役員数
団長
副団長 1
総監督 1
本部役員 2
アタッシェ 1
本部員 4
ドクター 3
トレーナー 1
本部員(輸送) 3
本部員(情報) 1
その他 3
合計 21人

※その他の内訳はプレスアタッシェ1名、競技・成績・記録収集及び報告書作成のため人数が2名となっています


役員の数111人の中で監督、コーチ等の競技のスタッフが90人、本部が21人。その本部にもドクターやトレーナーなどがおり、また本部員(輸送)は近畿ツーリストの人でおそらく添乗員、アタッシェは在バンクーバー日本国総領事館の人だったりするので、JOC関連の役員自体はおそらく10〜13人くらいじゃないかと。なので役員と言ってもいわゆるJOCや各競技団体のお偉いさんばかりでは無い事は注意が必要かと思います

雑感

さて、上記コラムで清水宏保さんは「選手を手塩にかけて育てたコーチや、トレーナーがはじき出され、選手に快適な環境を提供できていない。」と述べていますが、選手を育てたコーチ、トレーナー等とオリンピックに派遣されたコーチ、トレーナー等は違う人なのでしょうか?そのあたりもう少し詳しく知りたいかなと
あとこれは私個人が思った事ですが競技によってはコーチの数が多すぎじゃないかと。まあコーチと言ってもバイアスロンのように
<五輪バイアスロン>日本勢惨敗、風間監督「情報収集不足」(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

 今回の派遣スタッフは当初、風間監督だけだったが、関係者の尽力でワックス担当者を1人追加できたという。「1人増やしてもらい感謝している。ワックス担当者も朝から晩まで1人で頑張ってくれた」

用具の整備担当みたいな人もいるのでしょうが、アルペンのように代表選手が2人なのにコーチが4人もいたり、結果を出したとはいえフィギュアスケートも代表選手8人に対してコーチが10人いたりというのはどうなんだろうと。もっとも私は競技の事情もよく知らない単なる外野なので、実際のオリンピックの関係者であるJOC、各競技のスタッフ、選手などがこういう役員の数についてどう考えているのかちょっと聞いてみたいですね