M1・F1総研の調査結果とHUTの推移をみて思ったこと

若者は“テレビ離れ”していない--M1・F1総研の調査で明らかに:マーケティング - CNET Japan

 同社は1月28日、首都圏在住の20歳〜34歳男女のテレビ視聴動向に関する調査レポート「若者におけるテレビの存在価値の考察」(PDF)を発表した。

 それによると、M1層(男性20歳〜34歳)、F1層(女性20歳〜34歳)は、M2(男性35〜49歳)、F2(女性35〜49歳)と比べてもテレビを平日、休日ともによく見ており、自宅で1番長い時間していることでも「インターネットをする」を上回り「テレビ番組を見る」がトップ。テレビ好きが多く、CMを見ない人は圧倒的に少数派であることがわかったという。

 1日あたりの平均テレビ視聴時間は、平日はM1層が2時間25分、F1層が3時間4分。休日になるとそれぞれ、3時間36分、3時間49分に増加する。平日、休日ともにM1層とF1層がM2層(平日2時間3分、休日3時間)とF2層(平日2時間54分、休日3時間33分)を上回った。

という調査があり、M1、F1層のテレビ離れは起きていないという結果になっているようです。ただHUT(総世帯視聴率)の推移を見ると


用語集(アルファベット順)|ビデオリサーチ

HUT
Households Using Television
総世帯視聴率。調査対象となる世帯全体で、どのくらいの世帯がテレビ放送を放送と同時に視聴していたのかという割合。

テレビ東京 - 会社・IR情報世帯視聴率の推移より

GH(19:00〜22:00) PT(19:00〜23:00) 全日(6:00〜24:00)
97年度上期 69.0% 67.7% 43.4%
97年度下期 71.2% 69.7% 45.5%
98年度上期 70.2% 68.9% 45.0%
98年度下期 70.7% 69.5% 45.7%
99年度上期 69.2% 68.1% 45.1%
99年度下期 69.7% 68.6% 45.6%
00年度上期 68.4% 67.3% 44.7%
00年度下期 68.8% 67.8% 44.9%
01年度上期 68.4% 67.6% 44.9%
01年度下期 69.0% 67.9% 45.3%
02年度上期 67.2% 66.4% 44.0%
02年度下期 68.8% 67.6% 45.4%
03年度上期 66.6% 65.9% 43.9%
03年度下期 67.3% 66.4% 44.3%
04年度上期 67.8% 66.9% 44.5%
04年度下期 68.8% 67.7% 45.2%
05年度上期 67.5% 66.7% 44.3%
05年度下期 67.7% 66.9% 44.8%
06年度上期 65.7% 65.2% 43.6%
06年度下期 66.0% 65.1% 43.0%
07年度上期 65.2% 64.1% 43.0%
07年度下期 66.4% 65.0% 43.6%
08年度上期 65.6% 64.3% 43.1%
08年度下期 66.3% 64.9% 43.7%
09年度上期 63.7% 62.5% 42.2%


全体としてはテレビ離れが起きているのがわかる。特にGH帯、PT帯のテレビ離れが著しく、また2009年上期は全時間帯とも大幅にHUTが下落しています。それで「若者におけるテレビの存在価値の考察」(PDF)を読むと、M1、F1層が主にテレビを見ている時間帯は



M1はPT帯(19:00〜23:00)から深夜、F1はGH(19:00〜22:00)となっており、そしてテレビの平均視聴時間は

平日 休日
M1 2時間25分 3時間36分
M2 2時間03分 3時間00分
F1 3時間04分 3時間49分
F2 2時間54分 3時間33分

となっています。この視聴時間は「2005年国民生活時間調査報告書(NHK放送文化研究所発表)(PDF)」の2005年の数字と比べてもそう大きな変化はないようです*1

M1、F1以外の層のGH帯、PT帯でのテレビ離れが起きている?

さて、ちょっとまとめてみると

1・M1、F1層のテレビの視聴時間にあまり変化はない
2・M1、F1層は19:00〜23:00あたりにもっともテレビを見ている
3・しかしGH帯、PT帯の世帯視聴率は下落している


ということはM1、F1層以外のテレビ離れ、特にGH帯、PT帯のテレビ離れが起きている層があるということなのでしょうか?ちなみに、現在視聴率に与える影響が最も大きい層は関東地区の推定世帯数、人口を見るとわかるのですが

2009年9月 ビデオリサーチ社の推計データ
世帯数・人口:2000年・2005年国勢調査、2005 年・2009年住民基本台帳
ビデオリサーチエリア内特性調査結果より推計

人口 割合
C(男女4才〜12才) 327万2千人 8.1%
T(男女13才〜19才) 270万5千人 6.7%
M1(男性20才〜34才) 417万1千人 10.3%
F1(女性20才〜34才) 386万7千人 9.5%
M2(男性35才〜49才) 485万5千人 12.0%
F2(女性35才〜49才) 455万6千人 11.2%
M3(男性50才以上) 810万6千人 20.0%
F3(女性50才以上) 904万3千人 22.3%


M3(男性50代以上)、F3(女性50代以上)なので、もしかしてこの層のGH帯、PT帯でのテレビ離れが起きている可能性がある?でも、現在のテレビ欄やCMを見てるととてもそんな印象は受けないような。まあ「若者におけるテレビの存在価値の考察」(PDF)ではM3、F3層の調査はしていないので、その層の調査もしてあればそのあたりが見えてくかもしれないと思うのですが

*1:ただし国民生活時間調査報告書のほうは対象年齢層が少し異なります(国民生活時間調査報告書は20代、30代という形で調査している)