FF14が発表されたので、あらためてFF11の現状を見てみる

4Gamer.net ― [E3 09]【速報】SCEプレスカンファレンスで「FINAL FANTASY XIV」が電撃発表。シリーズ2作目のオンライン対応作がついに,PS3と(たぶんPCに)登場!(FINAL FANTASY XIV)
FF14が発表されましたがFF11同様のMMORPGになるようです(公式サイト)。スクウェア・エニックス(以下スクエニ)は2009(平成21)年2月12日開催 第3四半期決算説明会概要(和文)(pdf)でオンラインゲーム事業について「次をどうするかという事で「ファイナルファンタジー11の次の大型タイトルを現在開発中です」と述べてはいたのでそのうちFF11に次ぐMMORPGが発表されるだろうと思ってはいましたが、まだFF13も発売していないこの時期に発表というのには驚きました。
さて、FF14が発表されたとなるとFF11が今後どうなるかですが、そのFF11の現状をスクエニのIR資料などからいろいろ見てみようと思います。

FF11の収益状況

まず、スクエニのオンラインゲーム事業の収益状況を2003年度(2004年3月期)から2008年度(2009年3月期)までの数字を見ていきます。
※各数字はIR情報 | SQUARE ENIX HOLDINGSの資料より抜粋。

年度 売上高 営業利益 営業利益率
2003 89億24百万円 23億48百万円 26.3%
2004 138億53百万円 49億86百万円 35.9%
2005 157億20百万円 59億07百万円 37.5%
2006 136億60百万円 67億67百万円 49.5%
2007 120億99百万円 58億80百万円 48.5%
2008 106億29百万円 30億87百万円 29.0%

スクエニが運営しているオンラインゲームはいくつかありますが、2009(平成21)年2月12日開催 第3四半期決算説明会(和文/スライド)(pdf)を読むと、

このような内訳になっていて、それぞれ4月〜12月までの第3四半期の状況ですがオンラインゲーム事業の売上高の内2007年度は91%、2008年度は69%がFF11からの売上になっており、だいたいオンラインゲーム事業の状況=FF11の状況と見てよいかと思います


それで、オンラインゲーム事業の収益状況で特筆すべきは営業利益率の高さ。2006年度、2007年度などは営業利益率が50%近くなっています。しかし、2008年度のは営業利益率が急落しています。ただ第3四半期までは売上高80億50百万円で営業利益が45億72百万円で営業利益率56.7%だったのでここまで営業利益が急落した要因がよくわかりませんが(決算短信や決算説明会資料でも特に触れられてはいないようなので)。ちなみに他の事業はこのような状況です
※資料は2009(平成21)年5月19日開催 決算説明会資料(和文/スライド)(pdf)より


営業利益率で見ると落ちてきてるとはいえまだまだ良い状況に見えるのですが、売上高や営業利益の数字だけ見ると売上高は2005年度、営業利益は2006年度をピークに減少が続いています。特に売上高は2005年度に157億20百万円だったのが直近の2008年度は106億29百万円と約50億ほど減少しています。上記にあるようにオンラインゲーム事業の売上のほとんどはFF11からなので、それだけFF11関連の売上が減少しているということになるかと思います。

売上が減少した理由は?

FF11は月額課金タイプのオンラインゲームですからその売上が減少しているのはまずはFF11をプレイしているアクティブユーザーの減少が考えられます。そして、もう一つ影響がありそうなのが拡張データディスクの売上。2008年度は拡張データディスクの販売が期末ギリギリにダウンロード販売された「石の見る夢」のみだったのでその影響もあるのかなと思ったのですが、過去最高の売上だった2005年度は拡張データディスクの販売が無かった事を考えるとやはりアクティブユーザー数の減少が主な要因では?と思います。といっても具体的なユーザー数が公開されているわけでは無いようなので*1、あくまで個人的な考えでしかありませんが。


ただ、不定期に公開されているヴァナ・ディール国勢調査*2を読んでみるとアクティブユーザーで特に新規の層が減少してるのでは?と思わせるような数字があります。

メインジョブレベルの分布(第5回と第8回の比較)

※数字は第5回 ヴァナ・ディール国勢調査(2005/05/09)第8回 ヴァナ・ディール国勢調査(2008/05/16)より

第5回(2005/05/09) 第8回(2008/05/16)
レベル2-10 38.94% 25.78%
レベル11-20 16.91% 20.84%
レベル21-30 8.74% 10.77%
レベル31-40 6.02% 16.46%
レベル41-50 5.18% 5.36%
レベル51-60 7.47% 3.54%
レベル61-70 7.44% 3.67%
レベル71-75 9.30% 13.59%



売上高が過去最高だった2005年度に行われた第5回と直近に行われた第8回のメインジョブレベルの分布ですが、比べてみるとレベル2〜10の層が減少してその分レベル20〜40あたりの層が増加しています。また、1レベル毎の分布だとFF11における現在のレベルMAXであるレベル75が最も多くなっています(第8回の調査で構成比12.41%)。もっとも時間がこれだけ経過してるのですから、全体のレベルが上がってくるのは当然の話ではありますが、見方を変えれば新規の層があまり増えていないといえるのではないかと思います。
でも、し本当に新規の層が増えていない、入って来づらい状況だとすればMMORPGとして先細りになることは間違いないでしょう。となると早めに手を打つべくこの時期にFF14を発表したのかもしれません。また、FF14はレベル制を止めるそうですが*3、その決断も新規層の事を考えた結果なのではないかなと個人的に思っています。


6/29追記
第9回 ヴァナ・ディール国勢調査が公表されたのでそちらも見てみて下さい。

*1:一応、決算短信を見ると2005年度の決算短信にユーザー数が50万人を突破したとあり、その後2006年度、2007年度、2008年度の決算短信には「日米欧で約50万人の会員を獲得している」という文言が並んでいる

*2:詳しくはこちらを参照。第1回から第8回までのリンクもあります

*3:4Gamer.net ― [E3 09]自信があるからこそのナンバリングタイトル! 「FINAL FANTASY XIV」開発陣インタビュー(FINAL FANTASY XIV)参照