「小学6年生のマジコン普及率90%以上」という話について考えてみた

セガ澤田剛さん「我が家ではマジコンを買ってはいけない、としていることを息子達から悲しまれる。」 ほか : はちま起稿
http://twitter.com/ShineNaHito/status/15479882651

我が家ではマジコンを買ってはいけない、としていることを息子達から悲しまれる。「みんな持ってるのに、どうして?」と。周辺で聞く限り小学6年生のマジコン普及率はたぶん90%以上……。息子の友達のPSPにパンドラバッテリーが普通に装着されているのを見て愕然とする。う〜ん。

この小学6年生のマジコン普及率90%以上という話ですが、本当にそれくらい普及しているのかとちょっと疑問に思いました。とはいえマジコンがどれくらい流通、普及しているのかという具体的な数字はおそらくまだ無いと思われます。そこでマジコンを利用するために必要なものやマジコンの入手方法から「小学6年生のマジコン普及率90%以上」という事があり得るのかどうか考えてみようと思います。

マジコンを利用するために必要なもの

まずマジコンを利用するために基本的に必要なのが、パソコンインターネットです。マジコンでソフトを動かすためにはファームウェアカーネル)の入手、ROMの入手(違法DLにしろ吸い出しにしろ必要)、マジコン対策がしてあるソフトの場合はその解除など、パソコンとパソコンで接続できるインターネット環境(ROMの違法DLを考えるとADSL以上のブロードバンド環境)がないと利用するのはかなり難しい。
そのパソコンとインターネットが世帯レベルでどのくらい普及しているのかを調べてみると

一般世帯へのパソコンの普及率

内閣府ホームページ消費動向調査によると平成22年(2010年)の3月普及率では一般世帯へのパソコンの普及率は74.6%となっています

インターネットの普及率

総務省にある統計調査データ:通信利用動向調査平成21年度調査(PDF)によると

○インターネットの利用者は数は9,408万人、人口普及率は78.0%
インターネットの利用者数は、対前年比317万人増の9,408万人に達し、人口普及率は78.0%(対前年比2.7ポイント増)となった

自宅パソコンからのインターネット接続にブロードバンド回線を利用している世帯の割合は76.8%(対前年比3.4ポイント増)。このうち、光回線が41.1%(対前年比2.1ポイント増)と増加し、光ファイバーによるブロードバンド化が着実に進展。

他にも世代別のインターネット利用率もあり平成21年(2009年)末の6〜12歳のインターネット利用率は68.6%。男女別だと男性65.6%、女性71.6%となっています。またこの調査では出てきませんがインターネット、特にブロードバンドは都道府県によって普及率にかなり差があり普及率のトップ10とワースト10を全国のブロードバンド世帯普及率順位からみると
※数字は平成21年3月末時点でこの時の全国平均の普及率は58.0%

ブロードバンド普及率トップ10 普及率 ブロードバンド普及率ワースト10 普及率
東京 74.3% 鹿児島 32.6%
神奈川 69.4% 高知 34.8%
滋賀 65.1% 青森 38.8%
大阪 65.1% 宮崎 38.4%
愛知 65.1% 長崎 39.3%
千葉 63.5% 沖縄 41.2%
埼玉 63.3% 岩手 41.6%
京都 62.4% 熊本 41.7%
静岡 62.3% 北海道 42.6%
福井 62.2% 愛媛 42.9%

こんな感じになっており、主に都市圏と地方でかなり差があったりします。

マジコンの入手の現状

次にマジコンの入手についてですが、2008年の7月くらいまではネット通販(国内、海外)、Yahooオークション、店頭販売(地方のPCショップなんかでも結構取り扱っていた)と入手方法もいろいろあり誰でも普通に買えてしまうような状況でした。
それが2008年7月29日に任天堂がマジコンの販売業者に対して不正競争防止法で訴訟を起こし、その後も損害賠償請求や警告を行った結果、Yahooオークションでは出品禁止。店頭販売やネット通販は取り扱う業者が激減しています。それでも秋葉原のメインストリートに、マジコン屋が堂々オープン : アキバBlogという記事がありましたが大都市圏ではまだまだ店頭販売や路上販売をしているところもあります。またネット通販も国内に所在がある通販業者はかなり少なくなりましたが、海外(主に中国)に所在があり日本に配送可という通販業者は結構残っています。
ただ店頭(路上)販売はともかくネット通販だとクレジットカードやPayPalの登録が必要なところもあったり、この状況下でも残っている業者は怪しいところも多くニセモノを掴まされたとか商品配送が遅い、もしくは届かないなどのトラブルもあるようです。そのため任天堂のマジコン訴訟以前に比べるとそれなりに情報収集をしていないと、特にネット通販では入手が比較的難しくなってきていると思われます。

小学6年生のマジコンの普及率が90%以上という事はあり得るか?

これらの現状から考えるにパソコン、およびインターネット(ブロードバンド)の普及率が高く、かつマジコンの入手が比較的容易(店頭でも買えるような)である東京などの大都市圏なら「小学6年生のマジコンの普及率が90%以上」というクラスなり学校なりがあり得る可能性はあると思う。しかし全国的に「小学6年生のマジコンの普及率が90%以上」という状況なのかというとそれはちょっと考えにくいかなと。
もちろん実態は違う可能性も当然あります。できれば任天堂を含めゲームメーカー協同のような形で一度大規模なマジコンの実態調査をしたほうが良いと思います。現状を把握することでより効果的な対策も打てるでしょうし、マジコンが広まった理由をあらためて調査や考察する事でこれから新しいハードで起こり得ることへの対策や、もしかしたらその広まった理由から新たな需要の可能性も見いだせるかもしれませんしね。